Misskeyにおける絵文字リアクションの危険性(怪文書)
あすかです。
Fediverse Advent Calendar 2023の16日目の記事にするつもりだったのですが、全方位を砲撃するような内容、せっかく盛り上がってきたFediverseに水をさすような内容、論理が破綻してないか自分ですら判断がつかないような内容なのでカレンダーのオーナーに迷惑かかるのもアレだと思い、カレンダーには全く別の記事を急いで書いてあてがいまして、こちらはカレンダーから外すことにしました。
この記事、最初は全く別のこと(自作Mastodonフォークkmyblueの宣伝)を書こうと思ってたんですが、やっぱこうね、何書いてもみなさんMisskey使うと思いますんでね、面白みのない宣伝を書いても仕方ないんじゃないかというふうに思いまして、
みなさんがMisskeyを使い続けるのを念頭に、あすかが絵文字リアクションをしばらく使ってみて思ったことを書いてみます。
この記事には誇張表現が多く含まれます。ツッコミどころも多いと思います。なんならこの記事を読む前に、DHMOについて調べたほうがいいです。
この記事に価値はないうえに冗長なので、アドベントカレンダーの記事全部読むマンはこの記事だけは別にしたほうがいいです。あなたにも家族がいると思いますので。
あすかは絵文字リアクションに対して否定的ではありませんし、むしろ自分の運営するMastodonサーバーもわざわざ独自に改造して実装しています。自分も絵文字リアクション毎日使ってますよ。誰かにつけたりつけられたり。コミュニケーションを手軽にする手段として、日常の一部だと思ってます。
でもこれから先Fediverseがさらに発展して、多くの人が絵文字リアクションを扱うようになった時に何が起きるか考察する一助となれば幸いです。
絵文字リアクションと日常
この記事の最も重要な前提条件となるんで、最初に書いておきます。
misskey.ioというサーバーは汎用向けって言ってる人いますがあれ明らかにオタク向けですよ。汎用サーバーとオタク向けサーバーは違います。別物です。おはぎとぽたもちくらい違います。おみおつけと味噌汁くらい違います。じゃがいもとばれいしょくらい違います。
例えばいわゆる左翼さん右翼さんとか、政治系の話題を中心に扱う方。ワクチンはよくないとお考えの方。囲碁、将棋、萌え文化とは程遠い華道、習字、水墨画。海外旅行ばかりして周囲と交流を深めてる人、野球とかサッカーとかしてる人。井戸端会議されてるタイプの主婦さん、意識高い系のビジネスマン、自分は1回も起業してないのになぜか起業好きな人、どっかの社長さん。それらも全員集めるのが汎用サーバーというものです。今のmisskey.io見てください。エロ絵やダメ口、冗談とかアニメのパロティとかおはぎとかネコちゃんとかめっちゃ流れてます。男性向け多いですね。オタクじゃない人はあまり見かけません。
たいていの場合、ネットってお互い頭おかしいって罵り合う場のように使われているんですけども、少なくとも似たもの同士を集めるのでは汎用サーバーの意味がないです。MisskeyやMastodonに本当の意味の汎用サーバーは存在しないと思っています。むしろ分散型SNSに汎用サーバーを求めてはいけないとまで思ってますけれども。
なぜmisskey.ioがそういう事態になったのかというと、いろいろ経緯はありますけども、サーバー管理者の立ち回り。これが大きいと思いますけども、それ以外にも機能の影響もあるんじゃないかと思います。
とりわけカスタム絵文字+絵文字リアクションとMFM、これらは個人的に大きいかなと思ってます。今回は特にカスタム絵文字+絵文字リアクションに焦点を絞ってみます。
例えば『偉業』というカスタム絵文字があります。これMisskeyでは頻繁に使われていますけども、そもそもとして『偉業』って誇張表現です。普通は大物とか素晴らしい業績を残した人に対して使う言葉です。それがMisskeyでは、ちょっとしたことにもすぐ『偉業』という言葉が使われている。明らかにフランクな用法になっているのです。さらにこれを絵文字リアクションとして使うことで、相手に『偉業』という言葉を送る。同時に、相手には『おはぎを1個買っただけで偉業と言われても疑問を持たない/怒らない/怖がらない/不快にならない/ネタとして楽しむ』ということを暗黙の上で要求しているのです。それは他のふざけたようなカスタム絵文字でも同様です。
そういう言葉を知らない人が使っても構わないという雰囲気、暗黙の了承、それが土壌にあることは、絵文字リアクション(に限らず全ての機能)を使う上で常に意識したほうがいいです。逆にこのようなものになじめない人はmisskey.ioから離脱します。
みなさんこれ毎日見てますから慣れてるし怒る人なんていないと思うけども、前提として、SNSっていうのはその雰囲気に合うと思った人だけが残るものなんです。特に分散型って、サーバー変えてもつながれますから、同じ場所に固執する理由が他と比べてない。オタクじゃない人がこれ見たらどう思うのとか、そういうのはmisskey.ioの中にいる人だけで客観視するのが大変難しいです。
なお補足しますと、これはmisskey.ioに限らず全ての分散型SNSの問題でもあります。
絵文字リアクションが中傷に利用できる危うさ
ここで、ほとんどの人もう忘れてるかもしれませんが、今年4月26日に実際に起きた一つの事件を紹介します。とあるT(仮名)というサーバー、これはMastodonでしてもちろん絵文字リアクションなんてないんですけども、ここのアカウントの投稿に大量の「お気に入り」がついていた。そのほとんどが、MisskeyのとあるサーバーM(仮名)の方だった。何だろうと思ってサーバーMを見に行ったら、それはこのアカウントの発言を誹謗中傷するような絵文字リアクションが大量についていたわけです。なのでサーバーTはMをドメインブロックせざるをえなかった。
中傷の絵文字が大量につくに至った背景はあすかも理解してませんけども、原因はアレかもという噂は聞いてます。
この事例を技術的なところで軽く解説しますと、Misskeyでは他のサーバーの投稿にも絵文字リアクションをつけることができるんです。でも相手のサーバーがMastodonなど、絵文字リアクションに対応していない場合があります。そういう時のために「これは本来お気に入りだけど絵文字リアクションとしても認識できるよ」というデータを送るんです。そうすることで未対応サーバーではお気に入りとして認識されます。
あちらのサーバーの方もその知識があったから、Misskey方面から来てる大量のお気に入りは実際には絵文字リアクションだろうということが分かっていたからサーバーMを見に行ったんです。
Misskeyのユーザーがそれを知っていたかはわかりませんけども、結果的に『サーバーMにいる大量のユーザーがサーバーTのアカウントを誹謗中傷していた』ということになるんです。
絵文字リアクションの5つの問題点
誹謗中傷って、実は絵文字リアクションだけの問題ではないです。返信やダイレクトメッセージでも同じことは起きます。でも絵文字リアクションには、サーバーTのようなケースを招きかねないくらい中傷の手段として扱いやすい固有の事情があると考えます。それは複数あります。
1つ目は、自分の感情を伝える行為が手軽であること。3つ目とも混ざりますが、絵文字リアクションはつけるのがとても気軽に、手軽にできます。他の人のつけた絵文字にも相乗りできます。これは手軽すぎます。
例えば返信、RN(リノート/ブースト/リツイート)、引用ってありますよね。返信は相手のためにわざわざ文章を作らなくちゃいけない。RNはフォロワーにも伝わるし、自分の感想が相手に伝わりにくい。引用もフォロワーに伝わる上に文章を書かなくちゃいけない。そう考えると、絵文字リアクションって先述した3つの手段を凌駕する、フォロワーの目を迂回しつつ、自分の感想を手軽に相手に伝える手段です。多くのMisskey紹介記事でも挙げられているように、心理的な障壁は大変低いです。
やりやすいのは便利である反面、負の感情も簡単に表現できる危険性もはらんでいます。手軽にできるってことは、誰もが使うってこと。例えば返信なんかよりも使う人がめちゃ多いんです。なので数の暴力が発生しやすい。
2つ目は、絵文字リアクションは画像であること。画像は文字と異なり、多様の表現が可能です。文字を使ったカスタム絵文字も多くありますが、それらも色やフォントで特徴を付けて感情を表現しています。
画像であるとどうなるか。小さい画像にいろいろ情報を詰め込めるわけです。自分の感情を絵文字リアクションに込めて送ることができる。感情だけでなく、印象も追加できます。例えば「楽しい」という文字を「AP-OTF 翠流ゆゆポップ StdN」で表現するか、「RoTB古印体Std」で表現するかで全く印象違います。色もサイズも添加イラストもおはぎもありますね。こういうのを組み合わせて、ひとつの(あるいは複数の)印象をひと目ですぐ表現できるのです。それは非常に多彩です。
特にMisskeyでは横長画像を使用することができます。横に細長いと、大量の情報を詰め込むのが容易。様々なバリエーションの絵文字が使えてしまいます。
これも絵文字リアクションの手軽さ、返信ではなく絵文字リアクションを選ぶという行為に拍車をかけています。
3つ目は、他人の絵文字リアクションを簡単に一覧できること。これが一番大きいと思います。
絵文字リアクションと返信/引用の決定的な違いとして、1つの投稿に対する反応が全部タイムラインに流れちゃうんです。返信/引用は仮にタイムラインに流れるとしても断片的なもので、他の読者の反応を見たければ投稿をいちいち開かなければいけない。絵文字リアクションはタイムライン上の1つの投稿に全部表示されるからこそ、その投稿に対して肯定的な人が多いか、否定的な人が多いか、丸見えです。しかも、返信・引用が大量にあった場合は画面をスクロールしなければいけないけれども、絵文字リアクションはたいていの場合、一画面におさまる。全部見えてしまう。ひと目で理解できてしまう。分かった気になってしまう。
しかもこれ、MisskeyってMastodonと違って投稿がリノート(=ブースト/リツイート)されたら、それがもう一回ローカルタイムラインに流れちゃう。公開リノートされたらその数だけローカルタイムラインに流れちゃう。中傷がそれだけ反復されちゃう。
あすか心理学を専攻してるわけではないんで、こういう誰も読まないくだらない記事であるからこそ適当なことを断言できるわけですけども、集団心理がたいへん発生しやすい状況です。
4つ目は、絵文字リアクションでネガティブな感情を表現できること。そもそもの前提として、投稿に対して返信や引用など言葉以外でネガティブな感想を簡単に伝えてそれを投稿者や世間に公開するための機能は、Twitterにすらないんです。Twitterはいいねだけですよね。数字があるかないか、プラス方面に評価されてるかどうか。それしかない。Youtubeにも前はあったけど今は数字が表示されないようになった。自分の投稿に低評価がつくのって、繊細な人にとっては恐怖なんですよ。特にこのご時世、簡単にあちこちで炎上が起きるようになってるんです。それでいろんなサービスが配慮していることを、Misskeyは絵文字リアクションでいとも簡単に表現できるようにした。投稿に簡単に低評価をつけられるようになったんです。
これは現状Misskeyではほとんど問題になっていません。misskey.designなど、登録するカスタム絵文字に一定の配慮をしているサーバーもあります。絵文字リアクションに関してポジティブな使い方をすればさほど気にならないでしょう。しかし炎上とか、利用者がいったん歪んでしまえば、一瞬で凶器になる不安定さをはらんでいます。
5つ目は、悪意に転用可能な絵文字が簡単に紛れ込めること。どんなものも同じ属性の人が集まると、動もすれば先鋭化します。「うち誹謗中傷関係の絵文字なんて登録してないよ?」ってサーバーのほうが多いと思いますけども(そうじゃないサーバーは名乗り出てねドメブロするから)、こういうサーバーこそが陥りやすい問題です。
例えば「家に帰ろう」という絵文字があるとして、これ仕事が終わったやったーって投稿にみんなつけます。一見ただのあいさつに見えますけども、でも、何かに怒ってる投稿、批判してる投稿にも使えます。いったん落ち着けって意味もあるでしょうけど、「韓国人は家に帰れ」「中国人は家に帰れ」というネット上の書き込みがこれまで多くあった例を知っている人なら、投稿本文の書き方次第ではありますが、この絵文字は全く別の意味に見えてきます。
このような絵文字は非常に多くあります。サーバーkmyblueは登録する絵文字を絞っていると何度か紹介されることがありますが、例外ではないと思っています。misskey.ioなど特に先鋭化しているところでは命令形の絵文字も多いですが、あれは特に危ないと思います。
実はこういう絵文字はカスタムですらないUnicode絵文字でも、ある任意の共通認識(スラング)さえ存在すれば起こり得ます。例えば猫同士が抱き合う絵文字に民族差別の意図が込められてるというのがあったとしても、知識がないと見抜けないでしょ。最近だと「Z」もありますね。でもカスタム絵文字は文字が入るので、最低限の知識で理解できます。これもひとつの恐ろしさです。
また、1つの単語に複数の意味があること、批判する人あるいは投稿者がそれを見抜けない状況が起こりうること、そしてその状況が起こったとして投稿者やサーバー管理者に意味を理解してもらうのが難しい場合もあること、これも被害者の立場からみれば一種の恐怖でしょう。
それにもかかわらず、そういう絵文字全部排除するのは不可能です。言語というものは自由だからです(※言論ではなく言語ね)。あからさまなものでない限り、あくまで絵文字ではなく使う方の人間に罪を見出してモデレーションレベルで対応するのが現実的でしょう。
これらの要素が揃ってしまったからこそ、絵文字リアクションによる攻撃が起きやすいと考えています。
特にね、その1でも書きましたけど絵文字リアクションは相乗りができます。その3で書きましたけど、公開リノートはローカルユーザーの間で反復されます。この反復はTwitterやMastodonにすらない仕様です。一度流れができてしまうと、なかなか止めづらくなります。
絵文字リアクションと炎上
炎上って批判と言い換えるメディアもありますけど、これあすかの個人的な感想ですけど、最初はまともな批判から始まります。それを投稿者が受け付けない、もしくは最初から考え方ややってることが極端すぎたってのがあれば、まともに議論する人以外にも低評価を押す人が続出するようになる。
叩くほうが正しいとは限らないという点にも注目してください。これは政治的な対立でよく見られます。炎上はもはや日常的に発生するようになったものであり、SNSをやる以上はうまく付き合わなければいけません。
絵文字リアクションは炎上への消極的な加担を助長する
で、炎上は絵文字リアクションとどう関係あるかというと、大いにあります。基本は返信や引用などTwitterと同じことが起きますが、絵文字リアクションを利用した炎上として、ちょっとこれ絵文字リアクションの特殊な事情も絡んでくると思います。
Misskeyには投稿が大量に流れます。リアクションシューティングなんて言葉もあります。MisskeyやFedibirdに限らずSlackでも、その投稿にすでに他の絵文字がついているときは相乗りする人が多いという話を聞きます。
これらの話を聞いていると、よく考えずにつけちゃう方も一定数おられるんじゃないかって思います。後でしまったと気づいても、タイムラインの流速が速いとどれだか分からなくて外せない。でも所詮他人なんで、自分が過去に付けた絵文字リアクション一覧あると思うんですけどそこまでは多分見ない。
そういう1つ1つの積み重ねが、炎上投稿の数字としてあらわれるわけです。Twitterの場合はRTやいいねの数字だけで出てきます。RTやいいねは単なる機能でしかなく、それを受け取る方の気持ち次第ですよね。Misskeyの絵文字リアクションは常に感情や印象を表現します。それに直接数字がついているわけで、Twitterよりたちが悪いのではないかと思います。たとえ実際にその大半分が『軽い気持ちで』つけられた絵文字リアクションだとしても、投稿者が受ける精神的ダメージはTwitterを上回ります。
Facebookにも絵文字リアクションは存在します。存在しますが、あらかじめ用意された絵文字しか使えません。Misskeyは個人が運営していることが多く、どんな絵文字でも気軽に自作・追加できるので、そこのコンプライアンスが曖昧になります。
なので結果として、強い言葉を使った絵文字が簡単に登録でき、他のサーバーの投稿につけられる。これほど恐ろしいことはありません。
Misskeyにおける炎上の実例はない
おそらくこれあすかが把握していないだけかもしれませんが、Misskeyでこれまでそういった炎上の話はあまり聞きません。
炎上に近い例は一つ記憶があります。どこの誰だか忘れてしまったので実際のソースが出せない状態で申し訳ないのですが、Misskeyの開発方針を批判したPleromaのアカウントに、大量の否定的かつ攻撃的な絵文字リアクションがついた例を覚えています。
否定的な絵文字リアクションが2~3個ついた投稿が300個あって、こういったものが29回あれば1回の大規模な炎上につながるわけです。
水面下ではいろいろあるでしょうけど、今のところ目立った炎上の話を聞かないのは、Misskeyがまだ考え方の近いオタクの集まりであることも大きいと思います。先鋭化した絵文字リアクション自体も、一種の門番としての役割を果たしているのでしょう。
Misskeyがオタク向けというイメージを持たれたことは、Misskeyにとっては奇跡的な幸運です。利用者をオタクと限定することで共通認識を持った人だけで固め、絵文字リアクションの脆弱性に関する問題を先送りにし、絵文字リアクションの長所だけを抜き取ってわいわい楽しむことができます。それはまた、絵文字リアクションに関する議論が十分に進みづらいことを意味します。
例えば今年7月ころ、反ワクチンの投稿がmisskey.ioにあったんですよ。その時に大量の批判的な絵文字リアクションがついた。そのあとに、『自分の投稿に絵文字リアクションをつけられなくする機能』というのをMisskeyは作ったんです。それから、isSensitiveというフラグを追加しました。それ以降、絵文字リアクションの話はあまり聞かないです。
実際に次の問題が起きてから対応というのも、実際に起こる問題が想像つかない現在では遅すぎるということはないと思います。ただ、複数のMisskeyユーザーがすでに、自分の頑張って描いたイラストに変なネタ系絵文字リアクションをつけられたくない(意訳)ということをおっしゃっています。絵文字リアクションのマナーに関する問題は、水面下で増えていくでしょう。油断しないことが一番です。
絵文字リアクションと文化・思想・イデオロギー
というふうに絵文字リアクションは炎上すら手軽にしてしまうんですが、もうひとつ、思想に関係した問題があります。
絵文字リアクションは単なる機能です。でもオタクはMisskeyに集まって、自分たちのセンスに合った大量の絵文字リアクションを作った。そして、それを色々なサーバーの投稿にとばした。絵文字リアクションはそういうネタばかりのものであるというイメージができてしまった。先程も書いたように、自分の投稿に「偉業」「スーパー偉業」「紛争を開始」「にゃんぷっぷー」「おはぎ」「おやすみすきー」「かわいい祭り」などのオタクならではの絵文字リアクションを無作為につけられるようになった上に、それをネタとして受け取ることを要求されるようになった。オタクが絵文字リアクションを支配したのです。
この項ではそういう前提で絵文字リアクションを考えてみます。話がはっきり分かりやすいようにオタクじゃない人の視点で考えてみますけど、オタク同士でも尖った人とそうでない人がいますから、同様の問題はあるんじゃないかと思います。
絵文字リアクションと文化侵略
で、このオタクによる支配が起こると何が起きるか。先にも書きましたけど、Misskeyの絵文字リアクションって連合するんです。例えばオタクとは関係のない、例えば医療大学の学生や教授がまじめに医療について議論するMisskeyサーバーがあったとしますね、そこのオタクとは無縁の学生が「おやすみ」と書いただけで「おやすみすきー」という絵文字リアクションが他のサーバーからとんでくる。つくだけならまだいいんです。それがタイムラインに流れ、他の学生や教授の目に入ります。まじめな雰囲気にふさわしくない絵文字リアクションが、ローカルタイムラインに載ってしまうわけです。
こういうことがあちこちのサーバーで起きる。サーバーが絵文字リアクションに対応するということは、オタクの輪に入らなければいけなくなる。オタクの輪の片隅でやらなくちゃいけない感じになる。ストレートに言えば、思想や慣習を押し付けられるんです。オタクとはおおよそ無縁のサーバーにいるのにです。
上記で出した例のケースには、大きく分けて2つの問題点があります。
1つ目の問題は、知らない人にも気軽に絵文字リアクションをつける人たちが結構いることです。これは絵文字リアクションの気軽さだけでは片付けられず、オタクや一部ユーザーの間で暗黙の了承になってる。公開タイムラインに露出した投稿は全部そうなるってのが暗黙の了承になってる。
オタクの場合、使われる絵文字も、たいていは「おやすみすきー」やさらにくだけたものになります。もっとまじめでフォーマルなあいさつですら、知らない人から来たものは気持ち悪いと感じる人がいるっていうのに、これですから。自分のサーバーのローカルの雰囲気を外部に漏らしちゃってる。
もう1つの問題として、上でも書きましたが、絵文字リアクションはお気に入りや返信や引用などと違い、ローカルタイムラインにそのまま掲載されます。投稿の詳細をわざわざ開く必要はありません。誰でも手軽にすぐ見ることができます。嫌でも目に入ります。これは他のサーバーから来た絵文字リアクションであっても例外ではありません。
言い換えると、ローカルタイムラインのはずなのに、他のサーバーの雰囲気が入ってきてしまう。誰でも見れてしまう。これは他のリアクション機能と比較して特異な点であり、相手の文化の影響を一番受けやすい機能であるのです。
引用やMisskeyのRNも実は他サーバーのコンテンツをローカルタイムラインに載せられるのですが、その前にまずそのサーバーに登録しないといけないでしょう。つまるところ、外部サーバーのユーザーがローカルタイムラインに自分の任意のコンテンツを自由に掲載できるようにした唯一の方法が、絵文字リアクションなのです。同じことはアカウントの過去投稿一覧にも言えます。絵文字リアクションって多くのタイムラインにとって深刻なセキュリティホールなんです。
あまりに当たり前のこと過ぎたからかもしれませんが、オタクに特化したカスタム絵文字ばかりが使われているからかもしれませんが、この点について論じている人は今まで見かけたことがありません。ですが、この点を突いて、自分と敵対するグループのSNSのLTL全投稿に絵文字リアクションをつけちゃう、そういう攻撃も成立します。
こういう習慣や文化やおはぎの違いってのは盲点なんです。特にリモートのアカウントに対して配慮しなければいけないってのはTwitterと変わりませんが、特に同じ趣味嗜好の人が集まっているところではそれになかなか気づかない。気をつけようではどうにかなるのか分かりません。
絵文字リアクションを使えるソフトウェアは増えている
絵文字リアクションを使うには、ソフトウェアは特にMisskeyである必要はありません。Akkomaやkmyblue・FedibirdなどMastodonを独自に改造して絵文字リアクション使えるようにしたソフトウェアが次々と出てきています。Misskeyというソフトウェアはオタクをメインターゲットとされているようですが、他のソフトウェアはそうではない。絵文字リアクションは他のソフトウェアにも連合する以上、もはやMisskeyだけの専売特許ではなくなっていくんです。
でも、Misskeyが絵文字リアクションの世界に大きく貢献したという事実は変わらない。オタクは今後も絵文字リアクションの中心的存在であり続けるでしょう。だから厄介なのです。
現状、オタク以外の人にとって絵文字リアクション対応のソフトウェアは運用上の理由で実用的ではないと思います。これには、オタクを特にメインターゲットとしないほとんどの企業も含まれます。
恐ろしいことに、Mastodonにglitch-socというフォークがありまして、これけっこう有名でsongbird.cloudやlibera.tokyoなど多くのサーバーが導入してらっしゃる。これに絵文字リアクションを導入しようって議論が今あるんです。ソースコードはすでに完成してますがglitch-soc開発者の都合で反映までかなり時間がかかりそうです。せめて無節操に実装することはやめてほしいんですよね。
Misskeyではリモートからの絵文字リアクションを拒否する機能確かにありますけど、あれ同じ仲間のサーバーからの絵文字リアクションも一緒に拒絶してしまう。オタク以外は1つのサーバーに閉じこもって連合すんなって言ってるようなものですよ。それをやるくらいなら最初から絵文字リアクション全部捨ててMastodonを選んだほうが精神的に楽だというのが私見です。
でもそういった結論は、企業参入など拡大を求めるMisskeyにとっては不都合なものです。たとえMisskeyはオタクしか受け入れないとしても、企業ってオタク以外も顧客あるのがほとんど。オタク向けの文章が、オタク以外に対しても読めるものであることは、企業イメージと炎上対策のために必須です。ましてや自分の投稿に他のサーバーから変な絵文字がついたら、それを放置するしか手段がないとしたら、企業イメージに関わるかもしれない。どんな絵文字がつくかって制御できないんですよ。絵文字リアクションは連合しますから。
企業以外にも、まじめなオタク、今の先鋭化したノリについていけないオタクってのも一定数いらっしゃる。オタクも一枚岩ではない。これ以上オタクを集めたいなら、皮肉なことに、今の客層以外にも配慮しなければいけないんですよ。
これらも考慮すると、分散型SNSだから~で片付けずに、ソフトウェア側で何らか対応することもこれからますます重要になるでしょう(現在行っている具体的な対策内容はこの記事の後半にあります)。
絵文字リアクションと分散型SNSと言論の自由
かなり小規模な例になりますが、これは実際にMisskeyで発生したことです。反ワクチン関係の書き込みに否定的な絵文字リアクションが大量についたことがあります。書き込みの是非はともかく、オタク向けに先鋭化されたサーバーではオタクの言論の自由は保証されますが、それ以外に関してはその限りでありません。このような現象はおおむねローカルサーバー内で完結しているうちは分散型SNSの理念に照らし合わせて問題はないと考えますが、リモートサーバーに波及するようなことがあればFediverseの信頼にかかわる大きな問題になるでしょう。
そういうのはたいていの場合ドメインブロックで十分ですが、周辺にオタクしかいない場合は話が別です。オタクを排除するには、サーバーがあまりに多すぎます。絵文字リアクション、場合によっては返信のすべての連合を止めなければいけません。オタク以外は不便をこうむることになります。何度も言いますけど、オタクが絵文字リアクションを支配するというのはこういうことです。
でもこの問題は「オタク」という集団に固有のものではないと考えます。
ひとつ想像してみます。仮にオタクよりも政治系の方が先にMisskeyにとびついたら、きっと今までとは全く違う未来があったはずです。あちこちのサーバーの投稿にアベシネとか今日も元気に自民打倒とかワクチンは悪とか政府の犬とか、あちこちにそういう絵文字リアクションが大量にとんでいたはずです。オタクはそういう光景を殺伐していると表現しますが、この絵文字リアクションをつける活動は日本の将来のためにどうしても必要なことだと評価する人たちもいます。現在の構図が逆になっただけで、オタクもあっち側もやること考えることは結局一緒だと自分は思ってます。そしてどちらも、自分の付ける絵文字に問題はないと信じているという点は共通するでしょう。
これは、絵文字リアクションをオタクに限らず特定の思想集団にもたせてしまった時におこる、重要な問題点です。絵文字リアクションは手軽かつ(カスタム絵文字と組み合わせると)自由度が非常に高い、またひとつのミームや流れを作りやすいので、特定の思想と癒着しやすいと考えます。
必要なのは、相手の思想を尊重し、自分の考えを押し付けないこと。尊重できない場合はドメインブロックするなりワードミュートするなりして関わらないこと。ですが、巨大インスタンスの存在がちょっと考えものです。
前者を巨大インスタンスが数十万人いる利用者全員に守ってもらうのは現実的でないでしょう。
後者についても、例えばmisskey.ioのような大きなサーバーをドメインブロックしてしまうと、こっちが盛り下がる。misskey.ioと繋がってた人が自分のサーバーから離れかねない。人数で力関係ができるんですよ。これは、分散型SNSの関係をかなり複雑にしています。
例えば、サーバーkmy.blueとmisskey.ioを一緒にブロックしたのにmisskey.ioだけ後で解除しましたと。こういうのは本当に厄介。さらに問題を厄介にしているのは、『巨大インスタンスであり多数のインフルエンサーを抱えること』『特定思想に先鋭化されていること』この2つの条件をmisskey.ioが同時に持ってしまったことです。このサーバーとの接続を切りたいけど切れない、でも切らないと自分のサーバーがオタクオタクにされてしまう。そんな状況に対して解決が非常に難しいことです。SNSってはまって楽しくて続けられてなんぽなので、いくら気持ちがあっても長い目で見るとやっぱり管理者の思想や信念は二の次になる。そのバランスをとるのは難しいと思います。
一応の解決策として、Mastodonではドメインブロックで「制限」と「停止」を選べます。制限にすると、相手の投稿はすべて非収載として来ます。連合タイムラインに流れませんし検索も自由にはできませんが、つながりは完全には途切れません。そういう感じでソフトウェアのレイヤーで対応することもまた重要でしょう。しかしそこに絵文字リアクションを結びつけるかは開発者の思想に依存します。例えばkmyblueでは、制限しているサーバーからの絵文字リアクションは、フォロー関係にない限り受け入れません。これはつい最近修正したばかりの部分であり、現時点で未発表のバージョン10.0に搭載予定ですが、逆に言うと、開発者が意識しない限りこういうものは作られないんです。
これは絵文字リアクション固有の問題ではありません。仮に絵文字リアクションが存在しなくても、返信機能などを介してこのような問題はいずれ起きていたはずです。その点において絵文字リアクションを一方的に悪者にするべきではありませんが、しかし、絵文字リアクションはその手軽さ、利用者の殆どを特定の思想が占めている、使用される画像が特定の思想向けに先鋭化されているという特異な状況から、炎上など問題の端緒としての重要な役目を果たすことになるでしょう。
絵文字リアクションの安全性に関するMisskeyやkmyblueの取り組み
上記でもちょろっと書きましたが、この問題はすでに考えている人もそれなりにいらっしゃいます。現在把握している対策というのを例として書いてみます。
ソフトウェアMisskeyの場合
上にも書きましたが、カスタム絵文字にisSensitiveというフラグを付けることができます。ただしこのフラグは管理者がつけるもので、結局はサーバー管理者の思想によって管理されるものです。
オタクの間でもisSensitiveの基準に差があるだけでなく、isSensitive単体でオタクとか政治系とかの属性の相違が考慮されないことも明白であり、「スーパー偉業」などのふざけたような絵文字を頭の硬いおじさんの集まるサーバーに投げられる問題の本質的な解決にはならないでしょう。
また、投稿を行うものは投稿に対して以下の絵文字リアクションの受け入れポリシーを設定できます。
全て
全て(リモートはいいねのみ)
非センシティブのみ
非センシティブのみ(リモートはいいねのみ)
いいねのみ
当記事に書いたオタクのセンスについていけない人たちの問題はたいていこれでクリアできるものと思います。特に「リモートはいいねのみ」の設定は役に立ちます。絵文字リアクションについて何らかの問題が発生した場合、サーバー管理者はこの設定を案内するでも十分でしょう。
ただしオタク以外の利用者が複数のMisskeyサーバーを立ち上げる場合、他のサーバーがもし自分と似たものだとしても、そこから絵文字リアクションを受け入れられなくなるという難点は残ります。この選択肢しかない限り、オタク以外全員から絵文字リアクション機能を大きく制限することになるでしょう。(ただしMisskeyは思想として連合を軽視しているようですので、Misskey的にはこれでいいのかもしれません)
この対策はまた、炎上に関しては不十分です。炎上は大抵「過去にあった投稿」に対して行われるものであり、「今このときの投稿」が炎上することが予め分かっているとしたら、それは炎上に対する謝罪文を掲載する場合です。すでに炎上してます。
見たところMisskeyでは過去の投稿に対してこのポリシーを設定する方法は見当たりません。
また、こちらがNoteのActivityを確認した限りですが、この拒否設定が連合しているようには見えませんでした。投稿者自身に届くかどうかは別として、他のサーバーのユーザーが絵文字リアクションを誹謗中傷に使い、さらにそれを同じサーバーのアカウントやフォロワーと共有することは防げません。ただしこれはMisskeyというよりは分散型SNSの問題であり、仮にMisskeyが連合したとしても気休めに過ぎず、本質的な解決は不可能でしょう。
ただしMisskeyには投稿を「ローカル限定」にすることができます。これが設定された投稿は連合しないため、拒否設定は100%生きます。分散型SNSのメリットは無くなるものの、よく炎上しがちな人は、これらの設定を組み合わせることも選択肢の一つでしょう。
サーバーmisskey.ioの場合
misskey.ioでは、カスタム絵文字作成及び申請のマニュアルで以下の記述が確認できます。 isSensitive
「リアクションの受け入れを非センシティブのみ」に設定しているノートやアカウントに対して使用した場合、ハートマークに変換されます。
主に攻撃的な内容を含むカスタム絵文字に対して運営チームが設定しています。
少なくとも自分のサーバーが攻撃者にならないようにするためには、自分のサーバーに登録するカスタム絵文字を制限することが有効な手段の1つです。この対応が行われている限り、カスタム絵文字によって攻撃が発生するリスクは下がるでしょう。
この節の前後に紹介しているのは、すべて「自分のサーバーが攻撃を受ける場合」の対策です。しかし本節のように「自分のサーバーが攻撃元にならないようにする」対策も重要でしょう。misskey.ioに限らず、絵文字リアクションの使えるサーバーは、自分のサーバーに登録するカスタム絵文字には細心の注意を払うべきであると思います。でないとまたサーバーTのような問題が出ます。
(isSensitiveフラグの付いた絵文字が連合先の投稿につけられないようになってるかは分かりませんが、isSensitiveとは別に「ローカルのみ」というフラグの付いた絵文字は相手のサーバーに届かないらしいです。ただしこっちはライセンス管理が目的のようです)
ソフトウェアFedibirdの場合
現在Fedibirdでは自分の画面から絵文字リアクションを非表示にするのみであり、自分の投稿にそもそも絵文字リアクションがつかないようにする機能、自分の投稿についた絵文字リアクションを他人から隠す設定は存在しません。
でもって仮に絵文字リアクションって断ったところで、相手のサーバーでは付けられるままなんですよ。Misskeyやkmyblueのような対策をとったところで、見えないところで誹謗中傷できるのには変わりない。そういう機能は基本信じちゃだめ。これは絵文字リアクションではなく分散型SNSの問題。Fedibirdは連合重視で、連合を考慮した上での現実的な路線をいっているのだと思います。なので何も対策しないという選択も、現実的なところから考えると悪くないというよりはやむを得ない側面もあると思ってます。
ただし管理者は上記と類似の機能について検討中と過去に発言しています。
フォークkmyblueの場合
※サーバー https://kmy.blue/ とは異なります。このサーバーにおいて開発を行っている、同名のMastodonフォークの話です
kmyblueでは、以下の範囲内のみ絵文字リアクションを受け入れ、他を全てはじく設定が可能です。
全員に許可
フォロー中、またはフォロワーのみに許可
フォロー中のみに許可
フォロワーのみに許可
相互のみに許可
全員禁止
これらの設定はMisskeyと異なりアカウント単位で行われ、過去の投稿にも遡及します。連合はしますがkmyblue以外はこの設定に対応しないうえに、Misskeyと同様、連合先から絵文字リアクションも共有も可能である、見えないところで中傷できるという問題は存在します。重ねて書きますがこの問題の解決は不可能です。
制限の単位がMisskeyと異なる点にも注目してください。Misskeyではカスタム絵文字の種類で分類していますが、kmyblueでは絵文字リアクションをつけるアカウント単位で分類しています。これはもともと絵文字のダブルミーニングによる攻撃、上でちょろっと書いたように自分の意図しない絵文字をつけないでほしいというお願いを聞いてくれる相手に限定、という意図があって設計したものですが、オタクを苦手にされる方が、オタクというイデオロギーを意識することなく絵文字リアクションが使える・他のサーバーから受け取れるという面でも有効でしょう。
ただしオタク以外の人に不便が強いられる状況は完全には改善されません。オタク以外は別途手動で設定する手間が発生する・ローカルユーザーと交流できる設定が存在しないうえ、オタクほど自由自在に絵文字リアクションをつけられなくなるという状況は解決できていないままです。また、他の人と比べて絵文字リアクションが少ないからこのアカウントは人気がないなどと誤認される事態も防げません。それらは今後の課題です。
この設定は過去の投稿に遡及するため、炎上した投稿に対する新しい絵文字リアクションを防ぐことができます。また、炎上と直接関係ない投稿にまで批判的な絵文字リアクションが来ることも防げます。ただし返信までは防げません。また何回も書いてますが、あくまで主役は自分のところへ絵文字リアクションが届かないようにすることであり、連合先のMisskeyなどの中で絵文字リアクションを共有されることは防げません。
この設定の最大の特徴は、許可されていないアカウントは絵文字リアクションを付けられないだけでなく、その投稿にすでについた絵文字リアクションを見ることも一切出来ない点です(これもMisskeyなどkmyblue独自仕様非対応サーバーからは見える場合があります)。これはもともとUIの使いやすさを理由にした仕様ですが、当記事で挙げている集団心理による攻撃をわずかに軽減することにも結果的には役立つでしょう。
ただし投稿ごとの制限が存在しないため、Misskeyのように特定の燃えやすい投稿だけ制限するといった運用はできません。また、Misskeyのようにローカルの絵文字リアクションに限って受け入れる設定も不可能(こちらは今後実装予定)なので、ローカルのカスタム絵文字が信頼できる場合でもことごとく受け入れられないというデメリットがあります。なお前者のデメリットについては、そもそも炎上した場合、関係ない投稿にまで被害が及ぶことが多いので、個別設定を可能にしたところであまり意味はないかもしれません。
またkmyblueはMisskeyにあるisSensitiveもサポートしません。データベースに項目はありますし連合もしますが、自分のサーバー内で設定を行うことはできません。
モデレーター向けの設定として、ドメインブロックにおいて絵文字リアクションのみをブロックする設定をサポートしています。
管理者向けの設定となりますが、サーバー全体で絵文字リアクション機能そのものを無効にすることも可能です。この設定はLTSにも搭載されています。
ただし無効にした場合、外からくる絵文字リアクションはお気に入りとして認識されるので、サーバーTと同様の問題が発生する余地は残っています。
絵文字リアクションには、当記事で挙げた以外にも道徳上の欠陥がまだあるかもしれません。当記事では紹介しませんでしたが、スパムとして悪用することも可能です。今後またMisskeyのほうで絵文字リアクションに新しい制限がかかるかもしれません。kmyblueフォークとしては、そんな中で絵文字リアクションを一番の売りにするのはよくない、もっとローカル公開とかプライバシーとか堅実な機能を売りにしたいというふうに思ってます。
今のFediverseはまだTwitterほどカオスではないけど、だからといって独創的な思考をお持ちの方がいつまでもTwitterにいると思ったら大間違いです。サーバーの民度は、連合先のサーバーにも影響されます。それが分散型SNSの難しさです。
各ユーザーや開発者が気をつけること
「今のMisskeyは治安がいいので、今のうちに全力で楽しんでおけ」があすかから言えることになります。そのあとは知らないとしか言いようがない。
だいいち、今回記事に書いたことは、事実もありますけど大半があすかの妄想です。ほんまに起きるかは分からない。未来のことは誰にもわからないんです。究極的に言えばこの記事は、いずれこうなるから対策しろではなくて、あすかの根拠のない妄想にどこまで付き合えるかなんですよ。他人の妄想を信じるなんて時間と労力の無駄。なので信じるか信じないか。信じないからって悪いとは思いません。
自分で言うのもあれですが、この記事は、分散型SNSと中央集権型SNSの動きを一部混合してたり(特に分散型SNSはその性質上、属性の違うサーバーとのつながりは薄くなりやすい部分)、分散型SNSにおけるドメインブロックの可能性について十分に考慮されていないと思います(もっとも炎上に関しては、思想の似ているサーバー同士ブロックしづらいと思いますが)。それらを考慮した記事を書くなら最初から書き直したほうが早いと思うんですが、そのための時間がないのでこのまま公開って感じです。
それだけではない。今、カスタム絵文字をふんたんに使った個性的な絵文字リアクションを使ってるのはほとんどがオタクだと思います。絵文字リアクションといえばオタクというイメージがめちゃあります。しかも治安もよい。問題の片鱗を感じさせません。そんな現状で、この記事を理解できる人自体がほとんどいらっしゃらないんじゃないかって思ってます。でも自分はそれを特に懸念だとは思ってません。仮に信じる人がいたとして、misskey.ioのような巨大なインスタンスの治安を今からどうすればいいっていうんでしょうか。この記事について各所に理解を求めるよりも、まず自分が開発してるkmyblueの耐久度を上げたほうが早いんじゃないかって思ってます。
あと自分は何でも悲観するほうの人間です。なので、誰がどう考えても起きないってことを自分は起きるって信じてるかもしれない。そういう意味でも、信じてほしいと強くは願っていません。
そんなもんなので仮に信じるとしてもあくまで参考程度に。萎縮し過ぎはよくない。今はまだ治安がいいんです。オタクやそれ以外との対立・衝突、炎上の連鎖などはまだ起きていません。分散型SNSを楽しむのは、今しかできないことです。
しかし治安が良いのはMisskeyだからではなく、まだ集まる人が限定されているからってことは常に意識しておく必要があります。その前提が崩れるのは、3年後か、5年後か、もっと遅くか、もしくはBlueSkyや(絵文字リアクションのない)Threadsにほとんど奪われて機会自体来ないかもしれない。利用者が今すぐ行動を起こすのは逆に非合理的だと自分は思います。
利用者に今すぐ行動してもらえるのでしたら、自分が使う絵文字リアクションに気をつけてください。オタク以外の人に安易に変なのを送らないように、攻撃的なものを送らないように。
特に人の少ないサーバーでは、あなたのつける絵文字リアクションを他の人が参考にしたり相乗りしたりして、そういうのがサーバーの雰囲気を作るかもしれません。人が増えたらそれすら困難になりますが、自分の居場所がいずれ戦場になるとしても、平和な時間は長いほどいいですよね。
設計者、開発者、管理者に対しては、今すぐである必要はないと思いますけども、やっぱり絵文字リアクションが炎上に繋がらないよう配慮ができればと思います。どういう配慮をすればいいかはあすかにもちょっと断言は難しい。いろいろな人の意見を集めるところだと思います。前項でkmyblueの中での絵文字リアクション拒否機能を紹介しました。あれが私の一介の意見ということで。
ただこの議論をする上で注意しなければいけないのは、攻撃者の行動は常に設計者の予想を上回るということです。見えないところで実はもう破壊が進んでいたり、対策したのにその対策を上回る方法で攻撃されたり。完璧な対策なんて存在しませんから、これで終わったと思わずに情報を引き続き集めることが大切です。
絵文字リアクションだけじゃない。どんな機能もおはぎも悪用はできます。悪用のつもりはなくても、多くの人が濫用することで意図とは異なる結果になります。例えば7月上旬にMisskeyがめちゃ拡散されたときに、MFMが使われてローカルタイムラインが大変見づらくなった。そこでMFMを多用するアカウントは無条件で規制されるって噂(真偽不明)が広まった。そういうところです。
Misskeyは自由度が高い反面、機能の濫用も起こりやすいです。そういう機能を最初から作るなって声が一部でありましたけども、でもそれを前提に設計できるかというと大変難しい。Misskeyって50人100人の時代が長く続いたので、当然機能もその規模を前提に設計してしまう。自分の作ったシステムが10万人100万人に使われるってそうそうないことなんですよ。予想できる方がおかしい。MastodonですらRedisとか負荷対策始めたの、一気に人増えてからだったらしいんですよ。
人がこれから増えていくにつれて、50人100人を前提に設計していた機能の後片付けが進んでいくと思います。今のMisskeyは素晴らしいと思いますけど、絵文字のライセンスとかなんとか、我慢しなければいけないことは少しずつ増えていくでしょう。それに不満を訴えるのは自由ですが、人口だけはどうにもなりません。ただひとつ、Misskeyがいじめのツールにならないことを願います。
同時に、こういう問題はMastodonなど他のソフトウェアでも起こりうることです。これからどんどん人が増えていくのであれば、同時に思想・機能レベルの淘汰もどこかで起きるでしょう。Mastodonは政治的な理由があって画像認証に対応してなかったんですけども、あるときスパムがめちゃ増えて、やむなくhCAPTCHAを導入してしまったんです。一時のスパム急増で方針をあっさり変えてしまったんです。
理想、理念、やりたいこと、そういうのは結構ですけども、どんな機能にも悪意は入ります。やりたくないこともやらなくちゃいけないという覚悟は、悪意への対策にあたって、開発者・利用者双方に求められていくものになるでしょう。
補足
繰り返しになりますが、よくMisskeyユーザーが絵文字リアクション楽しいとかオタク向けに宣伝してるのをよく見てますが、あれ絵文字リアクションというシステムをオタクがほぼ独占していることが前提の話です。これからFediverseの人が増えるのであれば、気にした方がいい部分だと思います。
無題
こうやって散々間違いばかりの持論を展開した後にこういう記事を見つけました。この記事と同様、絵文字リアクションの批判です。なるほどそういう視点もあるのか。
ていうかこんな2万字もあるMastodon初心者による間違いだらけのだらだら長いクソ素人記事読むよりも、こっちの記事のほうがすっきりまとまって時間の節約になると思います。(6月19日時点の記事です。サーバーTのドメインブロックは4月26日ですからそれよりも後になります。ただしMisskeyが絵文字リアクションを制限する機能を実装するより前だと思います)
うちの記事は終始、絵文字リアクションをどんな人にも扱える有用なものだという前提で書いていましたが、以下の記事では、そうではない人もいるんじゃないかって話、絵文字リアクションという機能そのもののコミュニティにおける欠陥についての言及もあります。
絵文字リアクションという機能は連合や数関係なくもともとオタク以外と相性があまり良くないということももしかしたらあるかもしれません。いまだにジョーク系、かわいい系以外の絵文字ほとんど見ないですし。それについて以下の記事もいいですが、もっと具体的に考察した記事が出るなら出てほしいなーと思います。
(うちみたいなくだらない無価値な記事が引用してしまって上記記事の価値を下げてしまったなら申し訳ないです) 動員に長ける巨大インスタンスの集団が中小規模インスタンスのユーザをいじめる事例が幾度となく観測されている。
上に書いていたサーバーTといい、Pleromaさんといい、あすかが観測したものは氷山の一角で、本当は水面下でもっとたくさんあるかもしれないですね。そもそもあすかMisskeyには定住してないので、Misskeyにいた人から見ればそういうことなんだろうと思います。
うちの記事はTwitterであれこれあったのでオタク対オタク以外という視点ばかりが先行してましたが、オタク同士の争いというものもありますね。腐女子界隈でもそういう話は聞きます。ドメインブロックがしづらい分、そちらのほうがもっと厄介かもしれません。
人数の差でいじめが起きるという話ですが、これは絵文字リアクションに限ったことではないです(うちの記事でも散々書いてます)。が、絵文字リアクションはやっぱり、いじめを行うには手軽すぎるということでしょう。
もうこれ、この記事の紹介を本体にしてしまっていいのではないでしょうか。なんか上の方で2万字くらいだらだら書いてましたがあれ全部前置きだったってことにしていいですか。
でもあすかはこれからも絵文字リアクションを使い続けるつもりです。あくまで挨拶程度ではありますが、自分が楽しいと思える範囲で。
絵文字リアクションは万能ではなく、あくまで交流の一環としてほどほどに楽しむのがいいかもしれません。
もし自分の露出を減らす必要に迫られたら
これ、Mastodon素人が適当なことを言っているだけなのであまり参考にしないでほしいんですけども、もし炎上したら自分の露出を減らす必要も出てきます。
個人情報の載った投稿は、たとえ鍵付きでも内部から漏らす人がいるかもしれないので削除するのが一番です。削除してもきちんと連合したすべてのサーバーから消えるとは限らないですが、これは分散型SNS全体の根本的な問題なので気にしても仕方ないです。とりあえず消すだけ消します。
そしてアカウントにも鍵をかけたほうがいい。これはMastodonとMisskey両方でできます。
あとMastodonにもMisskeyにも「アカウントを見つけやすくする」という設定がありまして、これも必ず切ってください。これ切れば(Mastodonの場合は)自分や他のサーバーのトレンドにあがらなくなります。なので炎上したらトレンドで晒し上げってのをある程度は避けられる。
で、投稿の公開範囲を「フォロワーのみ」またはそれ以下にしてください。「ホーム/非収載(未収載)」に設定してはいけません。
Misskeyの検索やアンテナは、そういう投稿を無差別に拾います(Firefishは修正入ってるので大丈夫です)。そうでなくても、炎上するってことはそのアカウントの注目度も上がりますので、多くの人たちが手動でアカウントページを開いちゃう。たくさん監視されてしまうわけです。
でも落とし穴として、連合先のサーバーの管理者が炎上に加担してデータベースを直接覗いて公開しちゃうなんてことも考えられます。他のサーバーはそことの連合を切ればいいんですけど、そのきっかけになった最初の1人にとったらたまったものではない。そこはもうどうしようもないと思います。
そもそも炎上って、正義感にかられてやることもあるので、こういうことが起こる可能性はゼロではない。あと正義感が介在する以上、他のサーバーにもドメインブロックするなって圧力がかかったりしないかとか、それもちょっと心配してます。
kmyblueやFedibirdにはサークル機能(相互限定も含む)がありまして、フォロワーの中でも特定の人を選んで、そこだけに投稿を送ることができる。ただしこのサークル機能に対応してるのはkmyblueとFedibirdだけなので、そこ以外にはまず投稿が届かないです。MisskeyにもデフォルトのMastodonにもおはぎにも届かないです。(ここらへんいろいろ事情はありますが詳細省略)
フォロワーの中に疑わしい人がいる、フォロワーに罪はなくてもそのフォロワーのいるサーバーの管理人がちょっと心配、そういうケースがあればサークルを使うのもひとつの手です。(Misskeyでもダイレクトメッセージで同様のことはできますが、いちいち相手に通知が行きます。サークルは他の投稿に混じってタイムラインに自然に流れるので壁打ちに適しています)
絵文字リアクションの対策としてさっきもいろいろMisskeyやkmyblueの設定を紹介しましたが、投稿の公開範囲を「フォロワーのみ」にするならあまり意味はないです。でもほとぼりが冷めて徐々に露出増やすってなったときに様子を見るために設定するのはありだと思います。
Misskeyでは、ローカル限定投稿、投稿への絵文字リアクション制限設定などを組み合わせつつ、少しずつ様子見る感じになるでしょう。
kmyblueでは、ローカル公開(※よく勘違いされますがMisskeyのローカル限定とは全くの別物です)、Misskeyのアンテナにかからなくするちょっと強硬的な配送制限機能など、露出の程度を調整するための機能もありますが、それでもリスクがなくなったわけではありません。
可能かは別にして、連合制限モードのあるサーバーを建てて管理するなど方法は他にもあります。
ここが一番難しいところではあります。やっぱり炎上はないのが一番いいですね。
謝辞
文責
あすか
原文
あすか
監修
あすか
翻訳
あすか
編集
あすか
担当
あすか
見直し
あすか
何度も見直し
あすか
死ぬほど見直し
あすか
見直してこれ
あすか
文章削り担当
あすか
文章削ったら増える
あすか
解読班
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アンチ
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信者
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香具師
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