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沖縄県恩納村沖。青空の下、ボートから垂らされたロープにつかまっていたダイバーの一人が、大きく息を吸って海面下に消えた。大きなフィン(足ひれ)で蹴り、まっすぐに海底に向かう。ロープに設置された深さ約20メートルを示す板に触れると、小さくガッツポーズをして身を翻し、海面を目指した。
5月末にあったフリーダイビング(素潜り)のトレーニング合宿の一場面だ。フリーダイビング競技のうち、より深く海に潜る種目の記録を伸ばそうと、初級者を含む10人が集った。
主催したのは、世界選手権のメダリストらでつくる一般社団法人「人魚JAPAN」(千葉県浦安市)。フリーダイビングは、複数の団体による認定制度があり、国内外で大会も開催されている。人魚JAPANは、安全に潜る技術指導や指導者の育成を図っている。
メンバーの一人で世界選手権金メダリストの岡本美鈴さん(50)は、「自分の進化を楽しめるスポーツ」と魅力を語る。海の中で自分と向き合う孤独なスポーツだと思われがちだが、「いざという時に助けてくれる仲間がいるからこそ、記録を伸ばすことができる」と言う。
メダリストらの指導を受けた横浜市青葉区の会社員山口円花(まどか)さん(31)は競技歴1年半。魚のようにしなやかに10メートル以上潜るのが目標だ。「きれいなフォームを見て呼吸の整え方も教わった。私も人魚になれるかな」と笑顔を見せた。(写真・文 加藤学、原田拓未)
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