私家版・プロ野球ユニフォーム史 2004-2020 Vol.31
【広島東洋カープ①】
・ホーム(2002〜2008・2009〜)
カープといえば、赤。これはもう揺るぎない。リーグ初優勝を果たした1975年から取り入れられたチームカラーは、現代でもあらゆるユニフォームに遺伝子として受け継がれている。
2002年から旧広島市民球場のラストゲームとなった2008年まで使用されていたのは、全身白地に球団創設時以来となる赤のピンストライプ、Carpの筆記体ロゴが入ったユニフォーム。野村謙二郎や前田智徳の2000安打達成、主砲・新井貴浩の成長、黙々と役目を全うしてきたエース・黒田博樹などを支えてきたデザインである。願い叶わず、このユニフォームでBクラスからの浮上とはならなかった。
2009年、新しい本拠地・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島(マツダスタジアム)が開業するタイミングで、ホーム・ビジターともにユニフォームも一新することとなった。ホームは白地に赤と紺色の袖のライン、それにCarpの筆記体ロゴだけ。背番号やCarpのロゴには紺色の縁取りが入る、実にシンプルで無駄のないデザイン。当初は力をつけている途上にあり成績もなかなか振るわなかったが、2016年に25年ぶりの優勝を果たすと、この年からリーグ3連覇の偉業を達成。このユニフォームがファンの記憶に長く刻まれることは間違いない。
今後もしばらくデザインの変更はないであろうと、期待を込めて予想する。イベントのユニフォームであれこれと実験を重ねる一方で、戻るべきホームがそこにある安心感を与えてくれている。
・ビジター(2002〜2006・2007〜2008・2009〜)
ビジターユニフォームの基本も、カープではもちろん赤である。2002年からのデザインはグレー地に赤いピンストライプ、そして袖は赤く染められた。赤のアンダーシャツがロングスリーブだと余計にユニフォーム部分がノースリーブのように見えたものだ。胸に入るブロック体のHIROSHIMAのロゴは球団で初めてのフォントとなる。このロゴは2007年からHiroshimaの筆記体のフォントに変更される。(※2007年からのユニフォームは公式サイトにも画像が掲載されていませんでした)
2009年、ホームと同時にビジターも新しいユニフォームが登場する。赤一色に染められ、紺色のラケットラインと袖のライン、それにHiroshimaの筆記体ロゴにも紺色の縁取りが入る。チームカラーとはいえここまで真っ赤に塗り固められた公式戦用のユニフォームは例がなく、発表当初から現在にいたるまで大いに人気を博している。ビジター球場はもちろんのこと、ホームのマツダスタジアムであってもビジターユニフォームを着用するファンが非常に多い。当然ながら売上の面でもホームよりビジターユニフォームの方が大幅に上という、NPBの中でも類を見ない事例となっている。
広島のみならずカープファンが全国に急増したここ数年、アイコンとなったのが現在のビジターユニフォームであることは間違いないだろう。マツダスタジアムを含めて各地の球場を真っ赤に染め、スクワット応援に揺れ動くスタンドは相手チームにとっては大いなる脅威だ。この先、どこまで勢力図を広げていくのだろうか。
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