新人の教育や指導担当になった介護職員なら、どのような教え方をすれば良いのだろうと悩むことがあるでしょう。新人介護職員の指導では、介護における仕事の意義や職場の理念を教えることが基本です。新人とコミュニケーションを図り、気持ちを理解した叱り方やほめ方が大切になります。この記事の内容を参考に、新人が成長できるような働きやすい環境を整え、指導者自身のスキルアップにつなげましょう。
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目次
新人介護職員に教える5つの内容とは
指導者は新人に介護職員としての心構えや職場の理念を説明する必要があります。心構えや理念は、仕事をする上での根本的な部分です。新人が理解しやすいように、5つの内容に分けてじっくりと教えていきましょう。
1.介護の仕事をする上での心構え
介護は、利用者さんが安心して日常生活を送れるようにサポートする仕事です。介護職員は、介護の知識やスキルを常に磨き続けることが求められます。どれだけ多忙であっても利用者さんとのコミュニケーションを図ることを絶やさず、信頼関係や寄り添う気持ちを忘れない心構えを指導しましょう。
2.1日のスケジュールと具体的な業務内容
職場によって1日のスケジュールや具体的な業務内容は異なります。新人は自分がきちんと仕事をできるか不安に感じるため、職場のマニュアルを渡し、現場におけるルールをしっかりと説明しましょう。新人は、実際に指導者と業務を経験することで、1日の流れを掴めるようになります。
3.利用者さんとの関わり方やマナー
介護現場では、新人のうちから基本的な接遇マナーを身につけることが必要です。接遇マナーは、挨拶・身だしなみ・言葉遣い・表情・態度が原則になっています。人生の先輩にあたる利用者さんに対して失礼のないよう、共感や傾聴、心遣いの大切さを伝えましょう。
4.介護現場での事故の危険性
介護の現場では、事故の危険性が常に潜んでいます。新人には、報告・連絡・相談の方法や、事故が起きやすい場面、緊急時の対処法などをしっかり指導しましょう。不安や悩みを解決できて業務に慣れるまでは、指導者と一緒に実践しながら仕事を覚える(OJT)研修期間を設けることが大切です。
現場のスタッフは事故が起きやすい場面を想定し、未然に防ぐための対策を整えておく必要があります。もしも事故が起きた場合は、原因や今後の対策を全員で共有しましょう。
5.働く事業所の経営理念や方針
自分たちの働く職場がどのような事業所を目指しているのか、職員が働きやすい環境になるためにどのような福利厚生があるのか、新人が理解できるように説明しましょう。事業所の経営理念や方針をもとに、スタッフ全員の向かう先が一致して、足並みを揃えて仕事ができるよう、日頃の介護の仕事は実施されます。新人が今後どのように成長していくかは、最初の教育や指導次第といえるでしょう。
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新人介護職員を指導する7つの教え方
新人を教育する際は、指導者自身がやりやすい方法と新人が理解しやすい方法を合わせて、指導の計画を立てることが大切です。ここでは、新人を教育する際に注意する教え方のポイントを8つご紹介します。
1.育成の計画を事前にたてておく
新人教育は、年間計画や3ヵ月ごと、毎月、毎日の計画というように、小刻みに育成の計画をたてることが大切です。決めた期間までにできるようになってほしい業務や介助内容を分かりやすく表にしましょう。事前に育成計画を立てておくことで指導の目安を掴みやすくなります。
2.指導の責任者を明確にする
新人が仕事において混乱しないよう、予め指導の責任者を決めておきましょう。スタッフによって指導内容が異なると、新人は何が一番正しいのか分からない状態になります。指導するスタッフは何人いても良いですが、新人が安心して仕事に集中できるよう、指導体制を整えることが重要です。
3.まずはお手本を見せる
新人に指導をする際は、指導者がお手本を見せるようにしましょう。言葉だけで業務を指導するのは難しいため、先輩がお手本を見せれば効率的に流れを教えられるはずです。お手本なしで実践を求めると新人側が緊張してしまい、トラブルが発生する恐れもあるので注意しましょう。
4.ほめて伸ばす
新人介護職員を指導するときは、ほめて伸ばすことを意識しましょう。怒られながら指導されたのでは、誰でも嫌な気持ちになります。ほめることで新人の意欲が高まり、先輩職員によっても働きやすい環境になるはずです。
5.理解できているかこまめに確認する
利用者さんを安全にケアするためにも、新人職員が業務内容を理解しているかどうかこまめに確認しましょう。新人の場合、何が理解できて何が分からないのかを把握できていない可能性もあります。一度教えたからとそのままにせず、確実に理解できるまで根気よく指導する姿勢が必要です。
6.チェックシートを利用してスキルを可視化する
新人がどの程度仕事を理解しているかを把握するには、介助・スキル・必要な日常業務などに分けたチェックシートの活用がおすすめです。チェック項目は「できる」「できない」だけではなく「自信がない」「練習が必要」というように、細かく分類する方がより評価しやすくなります。新人側も自分のスキルレベルを確認しやすく、指導側も定期的にチェックすることでサポートがしやすくなるでしょう。
7.年齢や経歴で相手を決めつけない
新人介護職員の中には、指導者よりも年上の方や、他業界の仕事を経てから介護職員になった人もいます。年齢や過去の経歴を理由に、「このくらい分かっていて当然」「このレベルはできないだろう」と決めつけるのは避けましょう。相手の属性を決めつけることにより、新人のモチベーションを下げてしまう可能性もあります。新人と指導者はしっかりとコミュニケーションを図り、お互いを理解することが大切です。
新人を上手にほめるための7つのコツ
新人介護職員が意欲的に仕事をできるようにするためには、指導者が積極的にほめましょう。ここでは、新人を上手にほめるためのコツを7つご紹介します。
1.その人ならではの良い点をほめる
指導者は、新人介護職員の良い点を見つけてほめるようにしましょう。たとえミスが多い新人であっても、利用者さんに優しく常に笑顔でいられる人ならそのポイントをしっかりほめます。ほめられることで自分に自信がつき、苦手な業務に対してもやる気が出てくるでしょう。
2.良かった点を具体的にほめる
新人介護職員をほめる場合は「すごいね」「上手だね」と全体的にほめるのではなく、どのようなところが良かったのか具体的にほめるのがおすすめです。具体的にほめられた方が、指導者が自分のことをしっかりと見てくれていると感じられ、指導者を信頼できるでしょう。お互いが気持ち良く、良い関係になれるように小さなことでもほめることが大切です。
3.明るい表情でほめる
新人は初めての環境下で上司のサポートを受けるので、不安や緊張を抱えている場合も考えられるでしょう。指導側が明るい表情でほめれば、新人は安心できます。表情1つで、お互いの関係や指導のしやすさに影響が出ることを理解しておきましょう。
4.文章でほめる場合はほめ言葉を多くする
新人が提出したレポートや書類にコメントをする場合は、ほめ言葉を多く使いましょう。文章では、指導者側のおもっていることが読んだ新人に伝わらない可能性があります。意識的にほめ言葉を多く使い、相手のモチベーションアップにつながる書き方をしましょう。
5.第三者からの称賛を伝える
ほかの介護職員や利用者さんが新人をほめていたら、本人に伝えてあげましょう。第三者からの称賛を知ると、周りのスタッフから良い評価を受けていると分かります。そのため本人の仕事へのやる気が高まり、より仕事を頑張ろうと思える良いきっかけになるでしょう。
6.ほめながら新たなアドバイスを伝える
介護業務で何か注意したいことがある場合は、ほめながら新たなアドバイスを伝えましょう。ただアドバイスを伝えるよりも、ほめたあとに指導を入れた方が受け入れやすいというメリットがあります。アドバイスも教え方次第で相手への伝わり方が変わるため、意識的にほめるようにしましょう。
7.普段からほめる材料を探しておく
新人をいつでもほめられるように、普段から良いと思えるポイントを探しておきましょう。ほめるポイントを見つけておくと、今後の介護業務の教え方にも良い影響を与えます。普段から良いところをしっかり見ていることを新人に伝えられれば、より意欲的に介護業務へ取り組んでもらえるでしょう。
新人を上手に叱るための8つのコツ
新人がミスをした場合は、責めるような𠮟り方をせず、相手の気持ちを理解して叱りましょう。注意を含めた上手な教え方をしなければ新人が落ち込んでしまい、今後の仕事にマイナスな影響を与えることになりかねません。ここでは、新人を上手に叱るためのコツを8つご紹介します。
1.なぜダメなのかをしっかり伝える
新人介護職員によってミスやトラブルが発生した場合、指導者はその行動がなぜダメなのかを新人にしっかりと伝えましょう。介護現場では、利用者さんが快適に過ごせるよう慎重にサポートする必要があります。ミスやトラブルが起こると、新人には想像もつかない危険が隠れている可能性も。今後の介護や介助が安全になるように、その都度ダメな理由を伝えていきましょう。
ただ叱るだけでは、相手は「今日も怒られた」という思いが強く、叱られた理由が分からない状態になってしまいます。
2.感情的にならずに叱る
新人介護職員と指導者がお互い良いコミュニケーションを図るためにも、叱るときの姿勢には注意が必要です。新人のうちは、単純なことでミスをする可能性があります。そのようなときでも感情的にならず、冷静に言葉を発するようにしましょう。感情的に叱ってしまうと自分も気分が悪くなり、相手も傷つけることになりかねません。
3.1対1で叱る
新人介護職員への教え方で注意すべきポイントは、1対1で叱るということです。常に一生懸命で頑張っている新人にとって、誰かの前で叱られることは恥ずかしい上につらい気持ちになります。ほかの介護職員や利用者さんがいる前で叱らないように注意しましょう。
ただし、誰も見ていないからといって厳しく叱るのは避けるのが無難です。感情的にならずに叱ることを忘れないようにしましょう。
4.改善するための方法を伝える
介護現場における教え方のポイントとして大切なのは、叱るのであれば改善するための方法も一緒に伝えることです。ただ叱るだけでは新人介護職員は成長しません。叱るだけの指導では新人のやる気が失われてしまう可能性があるため、具体的な改善策を伝えることを意識しましょう。
5.過去のことを持ち出さない
新人介護職員を叱るときは、過去のことを持ち出すのではなく、これからミスしない方法に目を向けることが大切です。過去のことを反省している新人は、同じミスをすることで落ち込んでいるため、「前にも言ったよね」と注意すると精神的なダメージが大きくなってしまいます。新人側がなぜミスをするのか原因を突き止め、自身の教え方を振り返るようにしましょう。
6. ミスや失敗の理由を聞いてから叱る
指導者側が発言する前に、新人介護職員へミスや失敗の理由を聞くことを意識しましょう。その理由次第では、叱らなくても改善できる場合もあります。先に叱られてしまうと、新人側は本当の気持ちを言いづらくなってしまうでしょう。いきなり叱る姿勢にならず、新人の気持ちや考えを理解することが重要です。
7.ほめる言葉を伝えながら叱る
新人介護職員の教え方で効果的なのは、ほめる言葉を伝えながら叱ることです。ただ注意の言葉を並べるだけでは、相手にとっては叱られた記憶しか残らなくなります。「利用者さんへの声がけは、とても安心できるものだったけれど、介助はもう少しこうした方が安全」「あなたの笑顔は素敵だから、これからも続けてね」というように、優しい言葉をかけるように意識しましょう。
8. 期待しているからこそ叱っていることを伝える
叱るということは、相手の行動を改善させたいと思って伝えるものです。新人介護職員には、期待しているからこそ叱っていることを言葉にして伝えましょう。新人側が自分のためを思っていると判断できれば、指導者からの注意を素直に受け入れやすくなり、今後どのように改善していこうか一緒に考える前向きな姿勢になります。安心して仕事ができるように叱る理由を伝えましょう。
新人介護職員が抱えやすい4つの悩み
新人介護職員の気持ちに寄り添いながら前向きに仕事ができるようにサポートすることも、指導者にとって重要な役割の1つです。ここでは、新人介護職員が抱えやすい悩みを4つご紹介します。
1.時間をかけて指導をしてもらいたい
介護現場で実践しながら指導をする場合、利用者さんがいるためどうしてもゆっくりとサポートできないことがあるでしょう。1回きりの説明をされただけでは、新人にとって難しく感じてしまいます。実践しながらの指導のほかに、時間をかけてゆっくり指導をすることを意識しましょう。
2.人によって指導内容が違って混乱する
新人介護職員にとっては、先輩職員全員が指導者になります。最終的な責任者は1人ですが、人によって指導内容が違うと新人は何が正解なのか分からなくなってしまうでしょう。新人が混乱しないよう、介護技術や利用者さんへのアプローチ方法について分かりやすく伝えてあげることが大切です。
3.忙しい現場では話しかけるタイミングが分からない
常にバタバタと忙しい介護現場では、何か聞きたいことがあったときに、どのタイミングで話しかけたらいいのか分からないことがあるでしょう。「いつでも聞いてね」と指導者が言ったとしても、実際にいつでも話しかけていいわけではありません。指導者は常に新人の様子を見て、何か不安そうな顔をしていたら、こちらから声をかけてあげましょう。
4.上司に意見を聞いてもらえるか不安
新人であっても、先輩に伝えたい意見や考えを持っているものです。ただ上司に意見を言っても聞いてもらえるか不安になって、言い出せずにいる場合もあるでしょう。先輩介護職員では気づけないことが、新人の意見によって分かるということは不思議ではありません。上下関係の風通しを良くして、誰でも意見が言えるような職員環境を整えましょう。
新人に嫌われない教え方をするための3つのポイント
新人介護職員に嫌われないようにするには、教え方を統一したり根気よくサポートしたりすることが重要です。新人と良い関係を築けるよう注意すべきポイントを3つご紹介します。
1.教え方を統一させる
介護現場では、考え方を統一させて指導を行うことで、新人介護職員から信頼してもらえるでしょう。説明する度に違う内容を伝えると、新人側から不信感を持たれてしまいます。一貫性のある指導を行えば、指導者側にとっても介護スキルの向上につなげられるはずです。
2.教育環境を整えて指導にあたる
新人介護職員を効率的に教育するためにも、指導の計画や内容を決めてから指導を行いましょう。先の見通しのない指導をうけると、新人側も自分がどこまで業務をできているのか把握できなくなります。教育環境をしっかりと整えれば、新人介護職員も安心して仕事に携われ、介護技術を高められるでしょう。
3.仕事ができるようになるまで根気強く教える
人によって仕事に慣れる時間は異なります。安全に仕事ができるようになるまで、根気強く教えることが大切です。指導者側が新人の頃にすぐできた介護技術だったとしても、急かすような声掛けはしないようにしましょう。新人にとって指導者が安心できる存在となるよう、気持ちに寄り添った教え方を意識することが重要です。
介護職の新人教育の教え方についてよくある質問
介護職の新人教育の教え方についてよくある質問に回答します。「新人教育ってどうすれば良いの?」と、お悩みの方は、ぜひご一読ください。
新人教育では何を教えれば良いの?
新人教育では、「介護を行うための心構え」や「具体的な仕事内容と1日の流れ」「利用者さんへの接し方とマナー」「事故の危険性」「施設の経営理念・方針」を教えます。
新人職員が自身の仕事の目標を立てられるように、教えてあげると良いでしょう。
「新人介護職員に教える5つの内容とは」で、教えるべき内容を詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
新人教育をするうえで大切なことは?
新人教育をするうえで大切なことは、相手が理解できているかこまめに確認することです。新人職員は緊張から、分からないことを質問できないこともあるので、確認してあげることで、質問しやすい場を作れます。また、褒めて伸ばすことで話しかけやすい雰囲気もできるでしょう。新人教育をする際は、実際にお手本を見せることで効率よく教育ができます。「新人介護職員を指導する7つの教え方」で、新人教育をする際のポイントを詳しく解説しているので、ぜひご一読ください。
まとめ
新人介護職員への教え方は、指導の計画を立てて取り組むことが大切です。新人介護職員は、「時間をかけて指導してもらいたい」「自分の意見をきちんと聞いてもらえるのだろうか」といった、不安や悩みを抱えながら出勤しています。仕事に慣れるまで、指導者側が積極的にコミュニケーションを取り、気持ちに寄り添った教え方を意識することが重要です。この記事で紹介した教え方のポイントを掴み、新人介護職員と自身のスキルアップにつなげましょう。
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