収入は日本人平均の6倍
医師という仕事はしばしば「聖職」と呼ばれる。
たしかに世間には、献身的に患者に寄り添い、儲けは二の次で治療に邁進する「心ある医師」がいる。しかしその一方で、平均すると医師がかなりの儲けを得ていること、あるいは「やたらと儲けけている医師」がいることもまた事実だ。
とりわけ「開業医」の収入は一般的な水準と比べると驚くほど高い。
じつはその「儲けけの実態」が、11月24日に厚生労働省が発表した「医療経済実態調査」で明かされている。これは、全国の病院(病床が20床以上の施設)や診療所(いわゆるクリニック。病床が19床以下の施設)の経営状況をまとめたもので、医師の「儲けけ」についても知ることができる。
いわゆる「開業医」の多くを占める「診療所」の数字を見てみよう。診療所には、「個人で診療所を経営するパターン」と「医療法人をつくりそこから給料をもらうパターン」があるが、施設数が多く、収入がより明確にわかる後者では、院長の平均給料はじつに2652万9548円('22年度)だ。収益を得やすい「入院ができる診療所」に限れば3437万7821円まで跳ね上がる。
しかもこの調査はサンプル数が少なく、より厳密な調査をすれば平均収入はさらに高くなるという専門家もいる。
日本人の平均給料は、国税庁によると458万円('22年)。開業医の院長の給与は、日本人の平均の6倍にもなるのだ。
さらに診療所は、院長の給料などを支払ったあとでも法人として平均で1844万2000円もの利益(損益差額)を出しているという点にも注目だ。ちなみに病院の勤務医の年収は、医療経済実態調査によれば1460万円ほどである。
開業医は3000万円近い年収を得て、しかも法人としても大きな利益を得ている―十分すぎる儲けけと言えるだろう。