イスラエルとハマスの激しい軍事衝突が続くなか、ユダヤ人とパレスチナ人がともに協力して平和に生活できないか、そうした試みを続けている村があります。
エルサレムから車で30分ほどののどかな田園が広がる丘の中腹に、その村はあります。村の名前「ネベ・シャローム」には「平和のオアシス」という意味があります。
ネベ・シャロームの広報 サラメさん:「それぞれが相手を殺そうとしたり、生き残るために争うといった考え方に、私たちは挑戦しているのです。違うんだと。平和に生きられる民主的なコミュニティーを作れるんだと」
この村の子どもたちはパレスチナ人もユダヤ人も同じ学校に通い、両方の言語で授業を受けます。
村の決まりごとも双方の住民がまず話し合い、そして投票で決められます。
この村で生まれ育ったパレスチナ系のシレンさんは、今は4人の子どもの母です。
シレン・ナジャールさん:「(Q.他とは何が違う?)安全なことです!緊張がないし、検問所もない。警察もいないし、軍の管理もないですし、ここにはそうした懸念はないんです。ここは天国です。ただ、簡単ではありません。天国であり続けるためには努力しないといけません」
自宅の庭でシレンさんの息子が遊んでいたのは、一番の親友だというユダヤ人の男の子でした。
ガザ地区で続く戦闘とはほど遠い形がそこにはありました。ただ、衝突が始まった時、村には緊張が走ったといいます。
ネベ・シャロームの村長 エルダッド・ジョッフェさん:「私たちは話し合いの場を持ち、一緒にいることに多くの時間を使いました。話し合いでは、意見を共有しました。感情を吐き出すこともありました。相手方には聞くに堪えないこともありました。ただ同時に、自分たちは同じコミュニティーだという事実を再認識することもできました」
2つの民族の共存。まだ試行錯誤の途中ですが、村の人々は口々に、お互いの意見を聞くことが大切だと語っていました。