ドイツのEV補助金、1年前倒しで停止 電動化に失速懸念
【フランクフルト=林英樹】ドイツ政府は17日から電気自動車(EV)の購入時に支給する補助金を停止すると明らかにした。2024年末まで継続予定だったが、新型コロナウイルス対策で使わなかった過去の予算の転用が違憲となり、補助金を捻出できなくなった。欧州の旗振り役だったドイツの突然の支援停止で、電動化に失速懸念が出てきた。
独政府は車体価格が4万ユーロ(約620万円)までのEVを購入する個人に対し、4...
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(更新)- 山本真義名古屋大学未来材料・システム研究所、名古屋大学大学院工学研究科電気工学専攻 教授ひとこと解説
CAFE等の二酸化炭素排出量の制限規格を盾に、世界をコントロールしようとした欧州の電動車戦略が失速しています。この記事にある通り、ドイツでは予定の1年前倒しの補助金廃止されたのに対して、中国政府は電気自動車(EV)など新エネルギー車に対する自動車取得税の減免措置を2027年末まで延長すると発表しています。それぞれの電動車に対する補助金戦略は、各国における電気自動車業界の活況を反映しています。 米中経済対立を経て、既に中国では電動車部品のほとんどを内製できるようになってきており、今後はその低コストの中国製EVが欧州を席巻していく可能性が出てきました。 ドイツと共に中国のEVの動きにも注目です。
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(更新) - 白井さゆり慶應義塾大学総合政策学部 教授ひとこと解説
EUはグリーンディールのもとで再生可能エネルギーやグリーン水素の供給拡大を目指しています。この分野ではまだ多額の投資や技術革新が必要で、それを支える経済政策が不可欠になります。気候変動はマクロ経済とくにインフレに影響を及ぼす可能性が高いため、世界では金融政策でも脱炭素を支援できないか議論がありましたが、現在のようにインフレが目標を超えており金利が大きく引き上げられた状況では企業の脱炭素を間接的に支援するのが難しくなっています。本来気候変動対応は政府の対策が不可欠なので財政政策で比較的長く支援することが必要です。裁判所決定を受けて、気候対策としてより長期的に財政措置がとれるか早急に検討が必要です
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(更新) - 今村卓丸紅 執行役員 経済研究所長別の視点
内燃機関車とその部品産業が経済と雇用を支えてきたドイツにとっての政策選択の優先順位も垣間見えた気がします。EV普及が何よりも優先するのなら、違憲の可能性が高まった時点で代替策の準備に動き、切れ目のない対応をしたのでは。 気候変動対応の諸施策と多額の補助金も、産業構造や雇用に大きな変化をもたらすのなら影響を受ける業種や労働者から抵抗を受けるのは当然では。気候変動対策が絶対、最優先という覚悟ができている国はまだないと思います。 また、各国で多額の補助金が使われる業種や製品なら公平な自由競争はあり得ず、保護主義に正当性が与えられ、政策と優先課題に振り回されるビジネスになると割り切るべきだと思います。
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