本取扱説明書は中文・英文をKM003Cに特化して和訳してある。正確性には十分配慮したが、本書運用による結果の責任は負えないので留意されたい。
POWER-Z KM003C USBテスター取扱説明書
バージョン履歴
履歴 バージョン |
変更 | バージョン 日付 |
REV 1.0 | 初版 | 2022/3/1 |
REV 2.0 | KM003Cの説明を追加 | 2022/10 |
REV 3.0 | KM003Cリップル機能追加 | 2023/8 |
特徴
インターフェース
- USB4対応Type-Cレセプタクル×1 (双方向)
- USB4対応Type-Cプラグ×1 (双方向)
- PC接続・電源用HIDポート(USB-C)×1
電圧・電流測定
- 20Bit/16Bit ADC高精度計測IC内蔵
- データ収集最大1000回/秒
- 2W/20PPM入力電流サンプリング抵抗
- ワイド電圧0~50V測定
- 高電流0~6A測定
- 可変データ収集速度 1,10,50,100回/秒
データストレージ
- 4MBフラッシュメモリ
- 最大40セットの電気容量/電力量データを記録可能
- プログラム可能なセルフスタートおよびセルフストップ記録
- プログラム可能な記録時間
急速充電プロトコルトリガ
- PD 2.0/PD 3.0/PD 3.1/PPS/QC 4+/QC 5/Xiaomi/UFCS/VFCP/VOOC/MTK等プロトコル検出をサポート
- PD関連の急速充電プロトコルトリガ
- スマホ急速充電(UFCS)プロトコルトリガをサポート
- Qualcomm QC 2.0/QC 3.0/QC 3+などのプロトコルトリガをサポート
- FCP/SCP/AFC/VFCPなどの独自プロトコルトリガをサポート
- PD/UFCSプロトコル・データ解析をサポート
- SOP/SOP'/SOP"通信データパケットをサポート
- 充電器のプロトコルを自動的にテスト
HIDインターフェース
- 複合USBポート、ドライバ不要
- 開発用オープンAPIを提供
パソコンソフト
- 新しいインターフェイス
- Windows/Mac OSプラットフォームを提供
- 操作が簡単で使いやすいソフトウェア
- 複数のテスターを1台のコンピュータに同時接続可能
- リアルタイムのオンライン曲線プロット
- 1秒間に最大1000回のデータ収集がプログラム可能
- 曲線データのエクスポートとインポートが可能
- 超高精細4K曲線画像をエクスポート可能
- 最大1000万個のデータを遅延なくプロット可能
- 電圧と電流に加えて、電力、容量、エネルギー、温度の曲線を記録
- テスターのさまざまな急速充電プロトコルをトリガする
- より完全なPDプロトコル制御インターフェイスで、最大10000個のプロトコルパッケージリスト表示をサポートし、1万ドルのプロ用機器に匹敵するPDプロトコル分析をする
- テスターの各種急速充電プロトコルをトリガする
- オフラインデータ曲線読み取りをサポート
- テスターファームウェアのアップグレード
- 英語・中国語対応
その他の機能は拡張モジュールで実現可能
- iPhoneケーブルのMFi情報読み取りと真偽識別
- データケーブルの内部抵抗テスト(開発中)
用途
製品技術仕様
項目 | 範囲 | 単位 |
連続パラメーター | ||
VBUS入力電圧(Vstd) | 0~50 | V |
VBUS入力電流 (Istd) | 6.0 | A |
D+/D-端子の耐電圧 | 50 ※1 | V |
CC1/CC2端子の耐電圧 | 50 | V |
瞬間パラメーター | ||
VBUS入力電圧 (Vmax) | 50 | V |
VBUS入力電流 (Imax) | 8.2 | A |
精度インジケーター | ||
データ取得初期ビット数 | 20 | Bits |
電圧測定ゲイン誤差 | 0.05~0.25 | % |
電流測定ゲイン誤差 | 0.05~0.25 | % |
測定ゲイン誤差と温度 | 5~20 | ppm/℃ |
電圧表示桁 | 0.000001 | V |
電流表示桁 | 0.000001 | A |
動作温度範囲 (TA) | -10~+65 | ℃ |
保存温度範囲 (TSTG) | -45~+110 | ℃ |
電圧測定入力インピーダンス | >800 | kΩ |
耐サージ電圧 | 4 | kV |
※1 理論的裏付けのある実験を行わず、信号ピンに高電圧をかけない
警告
- USBテスターに50Vを超える電源を入れない
- 急速充電プロトコルトリガ機能を使用する場合、高電圧が印加されるとデバイスが焼損したり発火する可能性があるため、各種USB 電源機器を接続しない
- 機器が故障した場合は、専門のメンテナンス担当者 (1:元の工場、2:代理店) に送る
注意
- USBテスターを分解しない。分解すると保証が無効になる
- USBテスターには逆電圧保護機能がない。メーターの正極と負極を入れ替えると永久的な損傷を引き起こす可能性がある
- 別途電源を供給しない場合は充電器とUSBテスターをデータケーブルで接続し、右ボタンを長押しして起動する。しかし、使用するデータケーブルのCC1ピンとVBUSが短絡している場合は押すとメーターが焼損する可能性がある
機器操作インターフェイス
機器の機能説明
①USB-Cプラグ |
標準のType-Cプラグは、完全なUSB4 Gen3機能を維持し、電流の方向に関係なく双方向動作をサポートする |
②USB-Cレセプタクル |
標準のType-Cレセプタクルで、完全なUSB4 Gen3機能をサポートする |
③HIDポート |
オンラインインターフェース、ドライバファイル不要、Windows/Mac OSプラットフォームをサポート、機器機能の拡張、ファームウェアのアップグレード、オンライン高精度曲線の描画、機器オフライン曲線ファイルのロード、PDプロトコルアナライザー、高速充電プロトコルトリガ、機器設定などに使用される |
④リターンキー [<] |
3つの機能
|
⑤メニューキー/決定キー[□] |
メニューキーには、対応するメインメニューの下にさまざまなフィードバック機能があり、長押しと短押しをサポートする
|
⑥左ボタン◀ ⑦右ボタン▶ |
|
⑧ディスプレイ | LCD画面IPS 240×240 dots |
メインメニュー
次のコンテンツでは、上記の4つの主要なインターフェイスについて詳しく説明する
データストレージ
容量テストとオフライン曲線描画の知識
電源端子からデバイスに流れ込む電力量を記録するために使用される。DCメーターで、単位はmAhとmWhである。
用語の説明
- 容量mAh:1時間あたりの電流(mA)を意味する。例えば1000mAで1時間充電すると1000mAhになり、1000mAhは1Ahに等しい
- エネルギーmWh:電圧(V)X電流(mA)時間当たりの累積値、例えば、負荷1000mAで5V電圧のバッテリーを1時間放電すると5000mWh(5Wh)に相当する
- オフライン曲線:測定期間のプロセスを観察するために使用され、記録後、観察するにはパソコンソフトを使用してインポートする必要がある
- ストレージのグループ化:合計40グループのストレージスペースが記録データに割り当てられており、削除や切り替えが可能
使用するシーン
- モバイルバッテリーの実際の容量をテストする
- 携帯電話の実際の容量をテストし、バッテリーの状態を推定する
- ワイヤレス充電器の充電効率推定
操作方法
- 新しいレコードを作成する
- 決定キーを押す。 OKですぐに開始する
- 保存間隔を変更する必要がある場合は、設定(決定長押し)メニューに移動する
- トリガ条件を設定して自動的に開始および停止する
- 自動開始:Setting > Storage >Start rule > 適切な電流の設定(Manualはルールなし)
- 自動停止:Setting > Storage >End rule > 適切な電流の設定(Manualはルールなし)
- 保存間隔:各ファイルは10000ポイントのデータ記録なので必要に応じて保存間隔を設定する
- 記録が完了したら、パソコンソフトで読み取る
ダッシュボード
- 最もよく使う機能はダッシュボードである。 この画面で決定キーを押すと、速度表示が2/10/50/1kSPSに切り替わる
- 緑色は測定ラインの電圧を示しVBUSと表示される
- 赤色は測定ラインの電流を示しIBUSと表示される
- 青色は測定ラインの電力を示しPWRと表示される
- 黒色はモニター中の急速充電プロトコルを示し、一部の補助電圧も表示される(プロトコルは100%正確でない場合がある)
D+/D- 電圧とプロトコルの関係
D+(DP) | D-(DM) | プロトコル | D+(DP) | D-(DM) | プロトコル |
2.7V | 2.7V | Apple 2.4A | 0.6V | 0.6V | QC 2.0 12V |
1.2V | 1.2V | Samsung 2.0A | 0.6V | 3.3V | QC 3.0 |
0.6V | 0.0V | QC 2.0 5V,FCP AFC 9V | 3.3V | 0.6V | QC 2.0 9V |
0.0V | 0.0V | DCP 1.5A,SDP 0.5A,USB 2.0 HIGH SPEED | 3.3V | 0.0V | USB 2.0 FULL SPEED |
リアルタイム曲線
この画面で決定キーを押すと、VBUS,IBUS/D+,D-/CC1,CC2の曲線を切り替えることができる
急速充電プロトコルテスト
この機能を使用する場合は、以下の準備をする
KM003Cは低負荷を内蔵し、VOOC/MTK PE/SFCPプロトコル検出をサポートする
図は順にメニュー(ファームウェアを最新バージョンに更新する)機能スイッチ、ケーブルeMarkerチップシミュレーションのオプション、PDタイプの要求、およびVOOC / MTKプロトコル自動スキャン
急速充電プロトコルがトリガされ、充電器に含まれるプロトコルを自動的にテストする
自動テスト:Application > Charging protocol > Be ready! > Auto detection
自動検出できるプロトコルは、PD 2.0/PD 3.0 PPS/PD 3.1 EPR/QC 2.0/QC 3.0/QC 3+/QC 4+/QC 5/AFC/FCP/SCP/VFCP/UFCS/APPLE 2.4A/SAMSUNG/Xiaomi/VOOC/MTK PE/SFCP
単一の急速充電プロトコル/トリガ
自動テスト:Application > Charging protocol > Be ready! > Power Delivery
トリガ可能なプロトコルは、PD 2.0/PD 3.0/PPS/EPR/QC 2.0/QC 3.0/AFC/FCP/SCP/VFCP/UFCS/VOOC/Xiaomi
VOOC/SVOOCプロトコルをトリガするには、純正負荷入りケーブルが必要
サポートされていない急速充電プロトコルはMTK PE/SFCP
以下のPD急速充電プロトコルの使い方を紹介する
STEP1:HIDポートにUSB電源を接続する
STEP2:充電器にUSB-Cプラグを接続し、USB-Cレセプタクルは空にしてデータケーブルは挿入しない。テスターは50V/5Aケーブルシミュレーション機能がある。もちろん、シミュレーションケーブルは完璧な解決策ではない。5A電流を識別するために失敗する場合は、USB-Cプラグを切断する必要があり、USB-Cレセプタクルに5A対応eMarkerのケーブルを接続する
STEP3:電源情報が正しく読み取られると、メニューの2番目の画像が表示される
STEP4:◀▶キーを使用して対応するキーを選択し、決定キーを押して対応する電圧/または電流をトリガする
他のプロトコルトリガ方法も同じで、Type-Aポートの電源をテストする場合は、データケーブルをUSB-Cレセプタクルに挿入する。USB-Cプラグを使用する必要はない
TYPE-C電源試験時のプロトコルに関する補足事項
USBテスト機器は、PD急速充電プロトコルをテストするように設計されているので、慎重にこの章の内容を読むこと。USB-IFが新しい電力伝送ソリューションをリリースし、近年のPDプロトコルは従来の急速充電プロトコルと大きな違いがあり、このマニュアルの具体的な内容は、議論を展開しないが、PDプロトコルをテストするためにKM003C機器の使用では、いくつかの重要な問題を整理する。
- PDプロトコルはType-Cに基づいており、この新しいインタフェースが誕生し、以前のインタフェースはPDプロトコルと互換性がないが、PDプロトコルはType-Cインタフェースに依存する
- 標準のType-Cは新しい機能があり、ポートは5Vの電圧を出力せず、0Vを維持する(コールドソケット)。5Vをアクティブにするにはステータス信号を与える必要がある。これはUSB-Aインタフェースとは異なるが、携帯電話のOTGに少し似ている。そのため、テスターを充電器に差し込んでも画面は点灯しない。急速充電プロトコルをトリガする際に、電源が必要な理由でもある。
モジュール
USB-C eMarkerのテスト
使い方:Application > Modules >USB-C eMarker
USB-C eMarker情報を読む。3A/5A/50V/EPR/TBT3/TBT4データラインをサポートする。
EPRが表示される場合、最新のPD 3.1プロトコルをサポートしている。20V/100W を超える電源はこれを使用する必要がある。
注: Appleの C-Magsafe3データケーブルは特別な構造を持っており、HIDポートに5.1V超を与えないと読み取れない
Apple Charger電源の個別情報をテストして、アダプターの信頼性を識別する
使い方:Application > Modules > Apple Charger
純正のアップルUSB-C電源アダプタの情報が読み取れる。
VBUS波形
使い方:Application > Modules > VBUS Ripple
最大8Mの高周波リップルスペクトルをサポート
1行目:瞬間値
2行目:1秒あたりの平均値、最大値、最小値
3行目:周波数、ピーク to ピーク値
拡張ツール(改良予定)
MFIケーブル情報の読み取り(開発中)
使い方:Application > Modules > Extended tools > Lightning Reader
Apple USB-C-Lightningケーブルのケーブル刻印情報が現在はまだ読み取れない。
ケーブル内部抵抗テスト(開発中)
使い方:Application > Modules > Extended tools > Cable Resistance
設定
設定>ディスプレイ
- 明るさは調整可能で、何も操作しないと明るさが下がる
- スクリーンセーバー:インターフェイスにはデフォルトでPOWER-Zが表示される。または、起動画面パターンを自分で設定でき、ホストコンピュータ上で削除および変更できる
- テーマは背景色を切り替える
- 画面の自動回転は、重力感知をサポートして画面の方向を調整する
設定>メモリ
- オフラインデータの表示と自動実行ルールの設定に使用する
- 保存データ:データ使用量の各グループの簡単な表示、データはホストコンピュータを介して読み取ることができる
- 保存間隔:データを記録する間隔を1~120秒の間で設定できる。各グループ最大10000点までで、5秒に1回とした場合は約13時間保存できる
- 開始ルール::デフォルトではオフになっている。適切な値を設定すると、レコーダーが自動的に動作を開始する
- 終了ルール: 記録を自動的に終了する適切な値を設定する。これは、携帯電話デバイスの充電曲線を監視するのに非常に適している
- 全データ削除:ワンクリックで全ての記録データを削除、ホストコンピュータでも管理可能
設定>言語
- 英語と中国語を切り替える
設定>概要
設定>すべての設定をリセット
- 工場出荷時の状態に戻すと、初めて使用するときの画面となり、ファイルシステムがフォーマットされ、オフラインデータは失われる
パソコンソフト(ダウンロード)の取扱説明書は本取扱説明書とは別になっている。詳細は公式ウェブサイトpower-z.cnを参照する