磁気ストライプつきカードの排除

ICカードのスキミング対策について考えたついでに,今さらだが安全面に懸念のある磁気ストライプがついた金融カードをなくすことも考えてみる。海外では地域によっては磁気ストライプに頼るしかないこともあろうが,さしあたりは日本国内に限定して考える。

日本国内であれば即磁気ストライプを全廃しても良いように思うが(ICカードに対応していないATMとか結構残っているのか?),米マスターカードが磁気ストライプを2024年から2033年まで10年間かけて段階的に廃止する,などと聞くと,まだまだ金融カードに磁気ストライプが最初からない,という時代にはならないのかもしれない。

今日本国内で発行されるクレジットカードはまずICカードだが,銀行のキャッシュカードにはいまだ磁気ストライプのみのものがある。現金が必要になることはまだしばらくはなくならないだろうから,そのニーズを満たせることも要件になる。クレジットカードのキャッシングは可能でもそれには料金が発生するので,最初から考慮に入れない。

アプローチとしては以下が考えられる:

  1. ICカードにも通常磁気ストリップが搭載されている。一部サービスでは磁気ストライプの利用の停止を設定できるのでそういったサービスを選んで利用する。
  2. 磁気ストライプを持つカードの使用をやめる。現金のATMでの入手は以下で代替する。
    • [a] スマホのNFCでATMから出金できるサービスを利用する。
    • [b] スマホのアプリでATMから出金できるサービスを利用する。

1.  は結構普通に提供されているサービスかと思いきや,磁気ストライプ利用停止サービスといった名称で明示的に提供しているのはスルガ銀行のみだった。ただ,例えばSMBCでは特にそういう名称のサービスは提供していないものの,キャッシュカードの設定で磁気ストライプを使う場合とICチップを使う場合と,上限額を別々に設定できるようになっており,前者を0円とすることで実質的に磁気ストライプによる取り引きを止めることができる(右図)。パラパラ見てみたところ,キャッシュカードがICカードである銀行では,同様の設定ができることが多そうだ。

今までメインに使ってきた新生銀行はICカードのキャッシュカードを提供していない…。券面の色を32色から選べるとかそんなどうでもいいことやってる場合ちゃいまっせ。新生銀行のキャッシュカードが磁気ストライプしか使用していないのが,本件を考えようと思った端緒だが,実は新生銀行の方が特に普通じゃなかったのか…。新生銀行がSBIに仕掛けられたTOBを受け入れた今,新生銀行は住信SBIネットバンクと業務を統合していくのだろうか…。

2a. は自分が調べた範囲では1例しか見当たらなかった。2017年に大日本印刷がNFC対応スマホをATMにかざし入出金が行えるサービスを提供することが発表されたが,これの対象はイオン銀行。それに使用するスマッとATMアプリについての記載によればNFCのType-A準拠らしい。ただ,兵庫県神戸市中央区のATMでスマホ取り引きに対応するのは4店舗しかないため,これに依存すると使えるATMを探すのに苦労しそうだ。

イオン銀行ATMで現金出金,というと他の意味でも着目しているRevolutが, イオン銀行ATMで一定額まで無料で出金できるが,物理カードが必要

今回もっとも驚いたのが2b. 知らなかったが,2b.は既にいくつかの銀行等で実現されている。「アプリ ATM 出金」で検索するといくつかヒットする。2a. がスマホにNFC機能があることを要求するのに対し2b.にはそういう要件がない分より優れているといえる。アメリカでは2016ないし2017年頃から2a.を採用した銀行が既に何行もあるのだが,日本ではNFCリーダを追加したりする必要のない2b.の方が普及しそうだ。

これらサービスに共通するのはセブン銀行ATMをサポートすること。他のATMをサポートするかはサービス次第,ということのようだ。例えば兵庫県神戸市中央区セブン銀行のATMを見ると,繁華街ではまあまあアクセスしやすそう。

スマホの電子マネー・電子決済アプリでATMでの出金が可能なのは “残高の「出金機能」があるスマホ決済アプリは? 使い方や手数料を比較 – 価格.comマガジン” によれば,d払い,Line Payがそれぞれ220円/回の手数料,pringその月の1回目は手数料が無料で、2回目以降は220円/回。どれもセブン銀行ATMのみ。この記事には入ってないが,Kyashもセブン銀行ATMからの出金に対応(220円/回)

これらを見ると,結論としては住信SBIネット銀行に分がある印象。キャッシュカードを利用したATM出金でよければ,選択肢は他にもいろいろあるが,ここはスマホ利用によりカードレスで出金できることを要件としたため「普通」とは違う結論となった。たまたま住信SBIネット銀行に口座は随分前から作っていたので,とりあえずスマホでATM出金できるよう手続きをした。

自分の生活圏のセブン銀行ATMとローソン銀行ATMの位置が把握できたら,新生銀行のキャッシュカードはもう持ち歩かなくていいかな。今までさまざまな出費の引き落とし先を新生銀行にしてきたのだが,その役割は我が家の財務大臣の扱いやすい他行に移すかな…。SBIに買収された後の新生銀行の方向性が見えてから決断しよう。

ちなみに,セブン銀行は「取引中に停電が発生した場合でも取引きが正常に完了できるよう、ATMにUPS(無停電電源装置)を搭載」しているそうな。

 

磁気ストライプつきカードの排除」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: ICカードのスキミング対策 | あくまで暫定措置としてのブログ

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください