今回の市長選ポスター報酬未払い控訴審判決で、市長は完全敗訴したにもかかわらず、相手業者の担当者とのメールを添付して次のようにXにポストしています。
両者が「公費負担で」と思って発注・受注をしたところ、受注者側が「公費負担の金額(水準)を確認・認識していなかった」という事案です。
「営利企業が赤字になることを厭わず業務を請け負う理由は乏しい」という1審判決は、業者の単なるミスを評価していません。
逆に、公費負担を超えて候補者が発注する理由とは何なのか気になります。
そもそも、公費負担が相場でないならば、選挙公営制度の根幹を揺るがす事態です。
Xに添付されたメールは次のとおりです。
石丸 いまさらですが、今回の発注でお支払いの総額はどれくらいのものになるものなのでしょうか。
選挙運動の費用に制限があるため、念のためお伺いする次第です。
(黒塗りで隠されたメール有)
業者 ビラ・ポスターは弊社から安芸高田市へ請求書を指定の用紙で提出し、安芸高田市から入金されるものだと思います。
したがって、石丸様へは負担がないかと思いますが、説明会資料にそういった説明書や提出書類はございませんでしたでしょうか?
石丸 はい、ポスターとビラの費用は公費負担です。
ただ、選挙運動に関連して無尽蔵に支出できる訳でもなく、総額に制限が設けられているとの認識です(今回の場合は500万円)。
残りどの程度の支出が可能なのかを把握しておきたくお伺いしました。
正確なルールは改めて確認しておきます。
(黒塗りで隠されたメール有) (以下略)
このメールで、両者が「公費負担の範囲内に収まる」と認識していたことがわかりますが、業者だけでなく市長も「公費負担の金額(水準)を認識していなかった」ことが明らかになっています。
つまり、両者は公費負担の上限額を承知しないまま発注し受注しているのです。
前号でも指摘しましたが、業者は時間がない中で作業をしていますので、時間外や休日勤務等をする過密な作業日程であったことが想定されます。
また、レイアウト、デザイン等の作業量や紙、インク等の質によって制作費も大きく変わってきます。
こうしたことから、公費負担の上限額を超えることは当然ありうることです。
しかも、業者の請求にはビラの新聞折込み費用も入っています。
業者は実際に掛かった費用を請求し、一方で、後に公費負担の上限額を知った市長は「公費負担額額を超えた部分は払わない」と主張しているのです。
裁判長は、市長が証拠として提出したメールのやり取りを基に「業者が公費負担の上限額を請負代金とする意思を示していたとは認めがたい」とし、ポスター等の納品時に提出した見積は「業者の見積額は作成時期や経緯に不自然な点はなく、内容は総じて相当」と判断して、石丸被告完全敗訴を言い渡したのです。
市長の「ポスター等の制作費は公費負担の上限額を超えない、上限額を超えた代金を請求されるはずがない」という思い込みで条例を都合よく解釈した結果、市長という公人にあるまじき行動に走らせているのです。
「選挙制度の根幹」を理解できない市長こそ恥じるべきでしょう。
両者が「公費負担で」と思って発注・受注をしたところ、受注者側が「公費負担の金額(水準)を確認・認識していなかった」という事案です。
「営利企業が赤字になることを厭わず業務を請け負う理由は乏しい」という1審判決は、業者の単なるミスを評価していません。
逆に、公費負担を超えて候補者が発注する理由とは何なのか気になります。
そもそも、公費負担が相場でないならば、選挙公営制度の根幹を揺るがす事態です。
Xに添付されたメールは次のとおりです。
石丸 いまさらですが、今回の発注でお支払いの総額はどれくらいのものになるものなのでしょうか。
選挙運動の費用に制限があるため、念のためお伺いする次第です。
(黒塗りで隠されたメール有)
業者 ビラ・ポスターは弊社から安芸高田市へ請求書を指定の用紙で提出し、安芸高田市から入金されるものだと思います。
したがって、石丸様へは負担がないかと思いますが、説明会資料にそういった説明書や提出書類はございませんでしたでしょうか?
石丸 はい、ポスターとビラの費用は公費負担です。
ただ、選挙運動に関連して無尽蔵に支出できる訳でもなく、総額に制限が設けられているとの認識です(今回の場合は500万円)。
残りどの程度の支出が可能なのかを把握しておきたくお伺いしました。
正確なルールは改めて確認しておきます。
(黒塗りで隠されたメール有) (以下略)
このメールで、両者が「公費負担の範囲内に収まる」と認識していたことがわかりますが、業者だけでなく市長も「公費負担の金額(水準)を認識していなかった」ことが明らかになっています。
つまり、両者は公費負担の上限額を承知しないまま発注し受注しているのです。
前号でも指摘しましたが、業者は時間がない中で作業をしていますので、時間外や休日勤務等をする過密な作業日程であったことが想定されます。
また、レイアウト、デザイン等の作業量や紙、インク等の質によって制作費も大きく変わってきます。
こうしたことから、公費負担の上限額を超えることは当然ありうることです。
しかも、業者の請求にはビラの新聞折込み費用も入っています。
業者は実際に掛かった費用を請求し、一方で、後に公費負担の上限額を知った市長は「公費負担額額を超えた部分は払わない」と主張しているのです。
裁判長は、市長が証拠として提出したメールのやり取りを基に「業者が公費負担の上限額を請負代金とする意思を示していたとは認めがたい」とし、ポスター等の納品時に提出した見積は「業者の見積額は作成時期や経緯に不自然な点はなく、内容は総じて相当」と判断して、石丸被告完全敗訴を言い渡したのです。
市長の「ポスター等の制作費は公費負担の上限額を超えない、上限額を超えた代金を請求されるはずがない」という思い込みで条例を都合よく解釈した結果、市長という公人にあるまじき行動に走らせているのです。
「選挙制度の根幹」を理解できない市長こそ恥じるべきでしょう。
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