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来季からJリーグクラブ名称に企業名「解禁」へ 発足から30年 収入増へ改革実施 19日にも正式決定

 Jリーグが、スポンサー企業名入りのクラブ名称を認める方向で最終調整に入ったことが12日、分かった。19日に開かれる理事会で承認されれば、来季から施行される。1993年のリーグ開幕から、地域密着を打ち出すために企業名を入れることを認めていなかった。複数の関係者によると、開幕から30年が経過し、Jクラブのあり方が周知、理解され、コロナ禍明けで苦しむクラブ経営のメリットを拡大する狙いがあるという。

 Jリーグが企業名入りクラブ名称の“解禁”に踏み切る。関係者の話を総合すると、クラブ経営のメリットを増やすために議論されてきた同案は、すでにJリーグ、各クラブの代表者間で協議され、実施の方向で合意に達したという。実施時期については最終調整中だが、早ければ来季からクラブの権利として認められる可能性が高くなった。

 Jリーグは93年の発足時、当時の川淵三郎チェアマンが、地域密着を前面に押し出すべく、企業名をチーム名に入れずに地域名と呼称のみ、という決断を下した。宣伝効果が必要な企業側から猛反発が起きたが、振り切った。川淵氏は今年11月30日、都内の講演で「当時は地域に根差すのは空疎と言われた。日本の人ほとんどが『地域に根差したスポーツクラブ』って何ぞやと思っていた」と振り返り、地域性を重視した決断だったことを明かした。

 開幕後30年が過ぎ、Jクラブは他のプロリーグのモデルケースにされるなど、地域に必要とされる存在になった。発足当初の10クラブから計60クラブ(来季よりJ1、J2、J3が各20クラブ)に拡大し、全国で地域との結びつきが熟成された。一方で、クラブ経営はコロナ禍による観客収入減などで受けたダメージが残り、助っ人契約形態の変化による費用増、円安の影響を受けて苦境が続く。企業名をチーム名に組み込めれば、絶大な宣伝効果が期待でき、資金確保につながる可能性がある。

 関係者によると、Jリーグは今後、制限されている外資企業によるJクラブスポンサー参画条件を緩和する見通し。外資が日本市場に名前を広めるメリットを感じれば、今回の変更が動機づけの一つになる。海外の大きな資金力を持った企業が、Jリーグに参加することにもつながりそうだ。

 サッカー界では韓国・Kリーグで全北現代モーターズ(自動車メーカーのヒュンダイ)など、企業名がクラブ名に含まれる例はある。日本ではプロ野球が企業名とともに発展を続けてきたが、Jリーグは広く地域密着の道を歩んできた。さらなる発展に向けて新たな一歩を踏み出す。

 ◆ラグビー 「リーグワン」。正式名称は「NTTジャパンラグビー リーグワン」で、22年1月に開幕。各チームがホストエリアを設けて地域と連携しながら進めるリーグで、選手はプロとアマが混在。今月開幕した23―24年シーズンは全23チームが参加。前身の「トップリーグ」(03~21年)は母体の企業名を冠したチーム名だったが、現在は東芝がBL東京、クボタが東京ベイ、キヤノンが横浜など地域名が入っている。

 ◆バスケットボール男子 「Bリーグ」。05年から分裂・対立していた国内統括2団体を、初代チェアマンを務めた川淵三郎氏の主導で統合。16年秋に野球、サッカーに次ぐ日本で3番目のプロスポーツのリーグとして誕生した。10月に開幕した23―24年シーズンは全38クラブが参加。呼称から企業名が外れることで、地域に根差したスポーツクラブを目指すことを概念にしている。企業名を入れることは可能だが、呼称には入れられないルール。

 ◆バレーボール 「Vリーグ」。今年10月に6季目が開幕し、チーム数は男子が30、女子が26。クラブの活動領域となる本拠地=ホームタウン名を含めたチーム名称で展開。現在は東レやNEC、JT、パナソニックなど企業名を冠したチーム名がほとんど。来季からは世界最高峰を目指した新リーグ「SVリーグ」を新設。

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