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ぺりぺそ。
退職する七海くんとワンナイトしたらうっかりデキちゃった話 - ぺりぺそ。の小説 - pixiv
退職する七海くんとワンナイトしたらうっかりデキちゃった話 - ぺりぺそ。の小説 - pixiv
4,396文字
退職する七海くんとワンナイトしたらうっかりデキちゃった話
タイトル通りです。
n番煎じ書きたくなりました。
ぬるーいせっせ表現あります。
子供産まれます。ぬるい目で見てください。
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2021年4月16日 13:39


たった一夜の過ち、だった。

退職者の送別会。
そのうちの一人、後輩の七海くんに絡み酒した挙句、俗に言う"ワンナイトラブ"にもつれ込んだ。どういう流れでそういうことになったかは覚えていないけど、きっと私から誘ったんだと思う。

そもそも七海くんはわたしのタイプの男性だった。容姿端麗、頭脳明晰。仕事はできるし気配りもできる。でも理想と現実は違うし、こんなガサツな先輩と恋愛するようなタイプに見えなかったから自然と諦めがついた。が、しかし…。

(やっちゃったなぁ〜)

彼の首筋に流れる汗、快楽を感じている表情、甘い吐息…七海くんとのセックスの部分的な記憶がわたしの中に残っていた。今までの経験の中で一番気持ちよかった。七海くんってこんなにセックス上手かったんだな、と。
しかも問題は避妊していたかどうかだ。酔った勢い。はっきりと覚えていなかった。きっと彼のことだから避妊はしてるだろうとなんとなく思っていた、というかそう信じていた。

「おめでとうございます。今大体12週目くらいですね」

‥ここ最近ずっと調子が悪かった。食欲もないしずっと眠いし匂いに対して過敏になっている。
そしてなんとなく、気付いてしまった。

(生理来てない‥)

必ず予定日には来ていたものが来ない、ということはもうそれを疑うことしか出来なくて。こんなドラマみたいなことが自分に起きていることに驚きしかなかった。

そう、七海くんは避妊していなかった。いや、多分七海くんはしようとしていたはずだ。きっと私がそうさせなかったんだと思う。七海くんはそのワガママに付き合っただけだ。彼は悪くない。
デキてしまった事実は彼に伝えなくてもいい。きっと彼のことだ、きっと何かしらの責任を取ろうとするだろう。でもわたしのワガママの延長戦に付き合わせるわけにはいかない。

こうして私は密かにシングルマザーになる決意をした。
幸いこのクソみたいなブラック企業に勤めていただけあって稼ぎはある。子供一人育てていくのには困らないだろう。あとは両親の説得、周りからの理解を得ること、だろうか。
やる事がいっぱいだ。体調も優れないし不安もたくさんあるけど、お腹の中の命の事を考えると自然と大丈夫な気がした。
幸い両親は理解を示してくれたし、田舎に帰ってくるように勧めてくれたが、そうなれば両親に負担が行くことは目に見えていた。こちらで頑張って育てることを伝え、必要があれば駆けつけてくれることになった。
職場の方も上司に掛け合って時短勤務にしてもらったりとなんとか仕事を続けられそうな環境も整えた。
あとは産まれてくる我が子を待つのみ。
性別は男の子。七海くんに似た可愛い男の子が産まれてきて欲しい反面、いつかどこかで出会った時の事を考えると私に似て欲しい気持ちもある。
ここ最近は胎動もはっきりわかるようになって、内臓を蹴られる痛みにも慣れてきた。その動きに愛しさを感じ、幸せだ。

でも、神様は意地悪らしい。

「妊娠されてたんですね。おめでとうございます」
「あ、ありがとう…」

ばったり会ってしまったのだ。
産休を取り、運動がてら散歩していた帰り道。あの時とは違うスーツに身を包んで、変わったサングラスをかけていたけどすぐに彼だとわかった。すぐに逃げようとしたが先に彼に見つかってしまって今に至る。
冷や汗が止まらないけど、バレるわけにはいかない。

「ご結婚はいつされたんですか?」
「あ、え、っと…送別会の後かな!プロポーズされちゃってさ〜!はは…」
「あの時、お付き合いされている方はいないと」
「…じつは、いた、んだよね…。騙しちゃってたね〜!悪い先輩でごめんね!」
「‥‥指輪、されてないんですね」
「に、妊娠中は浮腫んじゃうから外してるんだよね〜!抜けなくなっちゃうからさ」
「今、妊娠何ヶ月ですか」
「あ、え、…と、…」
「覚えてないわけないですよね?」
「いや、その…」

質問責め。これは確実にバレている。そもそも私は嘘がつけない性分だった事を忘れていた。…ツメが甘かった。

「立ち話では貴女の身体のご負担になるでしょうから、続きはあちらのカフェで」
「いや、!もう話すことなん、…っ!?」
「…!?」

突然ぱしゃり、と股から大量の水。これは。

(うそ‥破水‥!?)

予定日は来週のはず。ーーまさか、このタイミングで…?
たしかに朝から生理痛みたいな鈍い痛みがありはしたけど、前駆陣痛だと思っていた。七海くんの方をチラリと見ると珍しく慌てた表情をしている。きっとこの状況を察しているんだ。

「とりあえず、あちらのベンチへ」

私の手を引き、近くにあったベンチに座らせ自身のジャケットを下半身にかけてくれる。
段々と腹部の痛みも強くなっている気がする。スマホ取り出し陣痛の間隔を測ると、すでに10分を切っていた。まずい、10分以内になったら産院へ連絡しなければいけない…。でも入院セットは家だし、両親は予定日の3日前に来る予定だ。痛みと焦りでだんだんパニックになってきている自分がいる。しっかりしなければ。

(もう背に腹は変えられない)

一人ではまずい状況、頼るしかなかった。

「…七海くん、時間ある?」
「あります。私は何をすれば」
「アハハ、相変わらず理解が早いね。とりあえず一旦自宅寄って荷物取りたい。それから病院かな」
「わかりました。タクシー呼びます」
「ありがとう」

彼はすぐタクシーを手配してくれそのまま一緒に乗り込み、わたしの自宅に荷物を取りに行ってくれた。いざと言う時のために玄関に置いていたのが功を成した。その間に産院へ電話し、荷物を持ってきた彼とそのまま産院へ向かった。 

着いた頃には間隔は5分を切っていた。そのままLDRへ向かい内診すると子宮口はまさかの全開。そのままバタバタと分娩になり、30分後には元気な男の子が誕生した。あっという間すぎて実感が湧かないが、助産師さん達も太鼓判を押す安産。そして産まれた我が子は七海くんそっくりだった。

もう嘘はつけない。

「あの…」
「ああ、廊下にいる旦那さんね!ソワソワして落ち着かなくて心配だったわ〜!今呼ぶわね!」

後処理が終わり、助産師さんが気を遣って彼を呼んでくれた。
…旦那じゃない、けど‥いや、説明するのが億劫だ。
控えめなノックと共に彼が入ってくる。
顔を見ると特徴的なサングラスを外し、少し安堵した表情をしていた。

(心配してくれてたのかな‥)

一向に座ろうとしない彼に座るように促す。
近くの椅子に座ると、私の腕の中でもぞもぞと動いている息子をじっと見つめている。一体どんな気持ちで息子を見ているんだろうか。気不味い空気が流れる、と彼が先に口を開いた。

「今日はお疲れでしょうから…、また後日伺います」
「大丈夫だよ。私は今話がしたいんだけど、…ダメかな?」
「‥ダメではないです」
「じゃあまずは私から」

産まれたての息子を優しく抱きしめ、大きく深呼吸をする。

「察してくれてるとは思うけど、この子は確かに貴方の子です」
「…はい」
「別に七海くんに頼ろうとは思ってない。あの夜のことははっきり覚えてないけど、誘った私に責任がある。この子は私が一人で育てるつもりだからそこは心配しないで」
「……」
「金銭的援助は…要らない。認知するなら認知してくれればいいし、そうでなければそれで良いから」

重い空気になってしまった。でも、この先の私達の為には大切な話。息子には寂しい思いをさせてしまうかもしれないけど、これはけじめだ。
彼が大きくため息を吐く。この先の言葉が怖い。
覚悟はできているはずだったのに、不安でなんだか泣きそうだ。すると彼は息子を抱く私の手にそっと手を重ねてきた。驚いて彼の方を見ると、予想と反して穏やかな表情をしていた。

「…私の番ですね。まず、責任は取ります。貴女が嫌でなければ私と夫婦になってください」
「…はい?」
「順番は真逆になりましたが、結婚しましょう」
「え、え?ちょっと待って…」

情報が整理できない。結婚?え?認知するかしないかの話をしていたはずなのに?頭が痛くなってきた。そのまま彼が話を続ける。

「それから、…あの日は貴女はひどく酔っていたので覚えていないかもしれませんが、誘ったのは私の方です」
「は、い??」
「…本当に覚えてないんですね、貴女」

彼はまた一段と大きなため息を吐いた。
話を聞けばあの日の夜、ひどく酔った私を介抱しようと近くのホテルへ行った。楽にしてあげようとスーツを脱がせたら七海くんの方が我慢できずそのまま私を抱いた、らしい。

「好きな女性の無防備な姿を見て、抑える事が出来ませんでした」
「うん…うん??はい?は??」

…ますます頭が痛くなった。七海くんが私のこと…いやいや、そんなはずは無い。思考回路がおかしくなる私をよそに、七海くんはそのまま話を続ける。

「それから、避妊を拒否したのは私の方です。自分の想いを伝えきれず、孕ませてでも貴女をモノにしたかった私の欲です。まさか本当に妊娠してるとは思いませんでしたが…」
「七海くん、今とんでもないこと言ったね…」
「もう嘘を吐く必要はないですから」

七海くんは確信犯だった。
今度は私の方が大きなため息を吐く。いろんな事が一度に起こりすぎて疲れが一気にきている。

「まぁ…結果私達両思いだったんだね」
「それは‥初耳です」
「言うつもりなかったからね」
「では、…結婚の件は了承していただけますか」
「もっとロマンチックなプロポーズが良かったなぁ」
「今この子の前で誓いましたので。ロマンチックなのはまた後日」
「期待してる」

遠回りしたお互いの恋は今ちゃんと愛に変わった。お互いの顔を見つめ合い、あの夜以来のキスを交わした。

「…抱っこしてみる?」
「はい…」

恐る恐る息子を抱く彼に思わず笑いそうになるけど、とても微笑ましい光景。きっと心の中ではこの光景を求めていたんだなと実感した。
彼の腕の中で心地良さそうに眠る息子を見つめる彼。
きっと今『父親』になった瞬間だと思った。

「…必ず、この子と貴女を幸せにします」
「うん‥‥っ」

私は今までよっぽど我慢していたのだろう。涙が溢れて止まらない。そんな私を見て、七海くんは私と息子を優しく抱きしめてくれた。

「…お父さんとお母さんに連絡しなきゃ」
「そうですね、この子は私が抱いておきますので」
「ありがとう」

そのままスマホを取り出し、実家へ電話を掛けた。

「もしもし?あのね…産まれたの。うん、うん、大丈夫…ありがとう。あ、あと…あのね」


ーー紹介したい人がいるの

退職する七海くんとワンナイトしたらうっかりデキちゃった話
タイトル通りです。
n番煎じ書きたくなりました。
ぬるーいせっせ表現あります。
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2021年4月16日 13:39
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