ゲ謎トークショー備忘録。監督さん、脚本さん、キャラデザさん、原口さん(水木先生ご息女)、MCさんで進める。
あと普通にネタバレしている。
糸目の石田彰が刺さった人軽く目を通してほしいポイントある。
普通にネタバレしている(大事なことなので2回言いました)
思い出すままに打ち込んでるので読みにくいのはご容赦ください。
・MCさんから「企画はどこから出た?」の質問に
原口さん「6期好評だったので映画やりたいって話があった」
脚本さん「それで、生前の親父さんのかっこよさが話題になって」
つまり「6期14話制作チームが始めた物語(演出=ゲ謎監督、脚本、キャラデザも同じ人)だろ、責任取れ」ってことらしい。
あと脚本さん曰く「幻の汽車回で親父さんの過去話はどう?という提案があったが、親父さんの過去が30分の1話で収まりますか!?って退けた。というのも、猫娘ループ回にする腹案があったので。しかし退けたはずの過去話が『で、どう?』と蘇ってきて、詰め腹切る形になった」とのこと。
・「話はどう動いていったのか」との質問。
脚本さん「プロデューサーから、ゲゲゲ忌のイベントでみんなが見てた土から手が出てるキービジュアルと『タイトルは鬼太郎誕生ゲゲゲの謎で』という指示だけもらった」
監督さん「脚本はもう決まってるというのは伝えられた」
→目玉おやじの過去、水木を登場させる、水木先生生誕100周年記念作品である、ラストは鬼太郎誕生、という4点は最初に決まってた
・大人向けホラーにするということで、(原作が鬼太郎で更に父の話になるのだから)13日の金曜日みたいなテイストじゃないだろう、犬神家とかの方向だなという方針が決まる。
・監督さん、脚本さん共に6期14話の強キャラの父に引きずられて「強キャラの父が攻めで(この辺りで「あっ……えっと、ごにょごにょ」みたいな雰囲気になるしみんな動揺してた)、水木が振り回される、ホームズとワトソンで謎解きみたいな感じ」を想定。→その方向性だと行き詰まる→シナリオ打ちに毎回参加していた鬼太郎愛の強いキャラデザさん、「飄々とした感じの父にキャラデザ変更、水木をモーレツ野心家会社員で見たい」と提出→強キャラ父だと因習村の怖さが感じられなかったので、飄々として状況に巻き込まれる父の方が話が転がしやすいということで採用(じゃああの強キャラビジュアル親父さんは何なんだよっていう点については「あれは枕返しが見せた理想だから……」ということで、となったそうな。飄々とした感じの方が、今の目玉おやじに繋がる感じがすると)。
・キャラデザさん「水木のイメージには大海獣回の山田のような、野心があるんだけどなかなかうまくいかないキャラクターの要素も入れた」
・監督さんは5期映画(日本爆裂!!)の監督でもあり、5期は東映アニメ祭りの豪華版、今回とかなり方向性が違うがという話→やっぱり映画はやりたい、80年代に邦画があんまり……って時代があり、これからはアニメだ!と思ってアニメの仕事をしているが、映画は格別、みたいな内容
MCさん「没案とかあったら教えて」
・鬼太郎がタイムスリップして記憶も失くし、知らないまま若き日の父と水木に出会って謎解きに挑む
・昭和30年代部分はもっと短くて、謎を解くのは現在の鬼太郎
・鬼太郎ユニバース。1期から5期までの鬼太郎も集まって鬼太郎軍団で戦う
・鬼太郎の母のビジュアルについて(MCさんは「猫娘に少し似た感じがする」と言っていてすかさず「貴方猫娘好きすぎる人だからw」と突っ込まれていた)
脚本さん「鬼太郎の父が探しに行く、という内容なので、黒髪ロングのなよやかな……お姫様みたいなのをイメージしてたんですが、キャラデザさんに『そんなのはおじさんの妄想です』と言われた」
キャラデザさん「そこまで言ってないです!」
キャラデザさん「少ないシーンで、母の強さ、優しさをビジュアルから伝える必要があると思ったので、今の溌溂としたデザインで提案しました」
脚本さん「提案しましたって言うけど、絵に描いて出してくるんだからしょうがないよねー」
監督さん「ねー」
→父が穏やかででかい男なので、鬼太郎の好戦的な一面は母譲りという設定になった(そういえば鬼太郎と母の中の人同じだなぁ)。
→実は母のバトルシーンも予定されていた(孝三の回想)が、尺の関係でカット。
・映像全般について
キャラデザさん「昭和30年代のものにこだわりたかった。東映内部の人間じゃないので、東映と東映アニメーションが分かれていると思わず、東映の衣装部に色々協力してもらった(着流しでしゃがんだ時の皺とか、30年代スーツとか)が、実は滅茶苦茶手続きが面倒だということを頼んだ後に知った。あと当時のスーツをオークションとかで買って、水木に体格が似てる人に着てもらってスケッチとかした」
監督さん「当時の風物を調査する人を雇った」
原口さん「あっ、昔こういうのあった! っていうのがあちこちにありました」
監督さん「水木が手を洗う壺とか」
監督さん「アニメならではのコマ割りと、ああいう田舎のお屋敷みたいなのを残したくて」
監督さん「本当は妖怪視点で明治から現代までの歴史をやるとか、或いは水木先生生誕100周年だから100年分やるとかも考えてた」
MCさん「1年1分じゃないですかw」
監督さん「そうw なので、結局最後(昭和、戦後)だけw」
・どこのタイミングで話したやつか忘れたけど驚いたこと、なるほどと思ったこと
監督さん「佐田啓二の『あなた買います』みたいな誰もかれも欲望だらけみたいなのがイメージとしてあった」
監督さん「その映画を見るように(誰に対してだったか忘れた……)指示した」
監督さん「絵の勉強会とかもやった。今の時代、そういう時間はなかなか取れないがやった」
脚本さん「キャラデザさんがシナリオ打ちにずっといて、並行して作るっていう制作方法は今の時代あまりやっていない(が、この映画ではやった)」
監督さん「少し前に昭和ブームがあって、そのときは『みんな優しくて、未来に向かって希望があって……』みたいな雰囲気だったけど、そういうのじゃない(つまり犬神家的なやつですね)のを描きたかった」
・乙米様と長田の関係
監督さん「あれは谷崎潤一郎の世界をイメージしている(多分『春琴抄』とか辺りだと思う)。美少女と美少年だった頃からずっと仕えてきて(20代と10代から、みたいなことを言ってた)、絶対に主従愛の線は超えないんだけど特別。(長田は)お嬢様→奥様ってずっと呼んでて、最後に狂骨に襲われるところで最初で最後の『乙米様』呼びをする。2人(担当声優の沢海さん石田さん)にもそうお伝えした」
・狂骨を選んだ理由
監督さん「狂骨の背景を考えると怖いなって。狂骨は弱いのでは?という意見もあったが、怨念が積み重なって……って考えると怖い」
・いろんな伏線の話(誰がどれを言ったか曖昧ですごめん)
「日本人形の場所とか伏線になってる」
「水木が聖域で初めて妖怪に出会うように見せかけて、実はその前にもう出会っている(言い方からするとねずみではない)」
「実は野沢さんに兼役を1つしてもらっている」
「頂天眼の金魚は(人間が生み出し、人間が世話しないと生きられないというところから)人間による犠牲者のモチーフ」
「犯人の伏線も張ってる」
「『一族の者じゃなかったら死んでた』と長田が言ってるのに水木が生き残ってる理由についても伏線張ってる」
・父と鬼道衆のバトルシーン、MCさんの教え子で筋肉にめちゃくちゃこだわって「筋肉くん」とあだ名がついている人が担当した。MCさんはそこが話題になって嬉しい。
・最後に一言のところで印象に残ったの
脚本さん「いろんなアニメを見ていると思いますが、作品に命を懸けてる人がいる作品は伝わるんじゃないかなと……この期間で作れるはずがないレベルの映像が出てきた。キャラデザさんがいつ帰ってるのかわからないレベルで動いてるのを知っている方もいるはず」
監督さん「いろんなものから目を逸らしたり、過去を振り返らなかったりして同じ失敗を繰り返すっていうテーマが伝わってて嬉しい」