ハマスの襲撃を事前把握、投資家ら株取引で利益か=米専門家 イスラエル当局が調査へ
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イスラム組織ハマスによるイスラエル襲撃を、一部の投資家が事前に知っていた可能性がある――。そんな説が浮上し、イスラエル当局が調査を表明している。
こうした説を唱えているのは、米ニューヨーク大学のロバート・ジャクソン・ジュニア氏と米コロンビア大学のジョシュア・ミッツ氏。イスラエル経済の悪化を見越した投資家らが賭けに出て、大金を手にした可能性があるとしている。
この2人の研究者は、66ページにわたる報告書で、襲撃の直前にイスラエルのテルアヴィヴ証券取引所で「空売り」が「劇的に急増した」と指摘。そのレベルは、「金融危機後の不況、2014年のイスラエル・ガザ戦争、新型コロナウイルスの世界的大流行など、他の数多くの危機の時期をはるかに上回っていた」という。
「空売り」とは、値が下がると予想した手元にない株式や債券、その他の金融商品を、信用取引などで借りて売り、下落後に買い戻してもうけようとする行為を指す。
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両氏はまた、イスラエル株の動きに連動する「上場投資信託(ETF)」で、売りが急増したとも指摘。
両氏によると、米金融監視機関の金融取引業規制機構のデータから、ハマス襲撃5日前の10月2日に、MSCIイスラエルETFの空売りが「突然、大幅に急増した」ことがわかったという。
具体的には、イスラエル最大の銀行のレウミの新株443万株が9月14日~10月5日に空売りされ、32億シェケル(約1268億円)の利益をもたらしたとしている。
「襲撃の何日か前には、トレーダーらはそうしたことが起こると予測していたと思われる」と両氏は分析。「私たちの研究は、襲撃に関して情報を得ていたトレーダーらが、この悲劇的な出来事から利益を得ていたことを示唆している。また先行研究と同様、この種の取引は、情報に基づく取引に関するアメリカおよび国際的な法的禁止規定の隙間で生じていることを示している」と述べた。
イスラエル証券庁は、「この問題は当局が把握しており、すべての関係者が調査を実施している」とコメントした。