健康食品の開発を行う部署で、私は主に受託開発業務を担当しています。
たとえば、お客様から「この農作物から健康食品を作りたい」などの依頼をいただき、その素材からエキスを抽出し、粉末化まで行っています。
依頼をいただいた素材から、”いかに目的とする成分を抽出できるか”、”抽出するためにはどのような溶媒を使うと、その成分がよく抽出できるか”、などを数回に分けて検討。素材によっては上手く粉末化できないこともあるので、どうすれば上手く粉末化できるか検討を重ねて、思考錯誤しながら進めています。
あつかう素材は、植物、農産物、水産物など幅広く、いままで聞いたことがなかったようなものまであるので、新しい発見もあり、面白いですね。
最近はSDGsの取り組みで、「この野菜の廃棄する部分が勿体ないから、何か使えないかとか」など、普段は廃棄してしまうようなものを有効活用できないか、という相談もよくあります。
プロジェクトは、入社してから4年で数えきれないくらい携わっています。実際やってみてから、成分の抽出が難しいと分かり、途中で中止になってしまうものが多くて。そういうものも含めるともう1年間で30件以上携わった年もありました。
1回の検討は1ヵ月〜2ヵ月で行い、何度も検討を重ねます。研究から実際に工場で製造できるかまでの期間を合わせると、かなり長い期間になりますね。
研究から、製品化まで、最初から最後まで携わることができるのが備前化成の特徴のひとつ。その分、製品に対しての責任感も生まれてきますし、自分が関わったものが製品として形になって見ることができた時は、とてもうれしいですし、やりがいです。
私の部署は4名所属していて、役割分担をしながら作業を進めています。作業自体は基本的にひとりで進めていきます。
研究はうまくいかないことも多いですが、悩んだ時は上司や先輩にアドバイスをもらいます。どうしてもうまくいかないときは隣の部署の上司も助けてくれたりもするので、ひとりで悩むことはないです。
ひとりで向き合うことが多い研究という仕事において、助け合う文化が根付いていて一人で抱え込まなくていいという環境は、私にとって大きな安心材料になっています。
先輩、上司という関係性ではありますが、気軽に話せる雰囲気なのでよく雑談もします。また、工場内で荷物を運んでいたら、近くの部署の人が「もっていったるよー」と助けてくれる方もいるくらい、部署の垣根を越えて、いろいろな方と交流があります。年齢・部署関係なく、フレンドリーに接してくれる方が多いです。
そういった距離の近さも、仕事の相談しやすさにつながっていると思います。
機能性油脂の開発を行う部署で、主に高純度EPAの製造技術開発を行っています。(※EPAとはイワシなどの青魚からとれる魚油に含まれている有効成分。開発が認められている企業は世界的にも希少です。)
原料である魚油から高純度のEPAを作るために、濃縮していく工程というのが必要になります。そのそれぞれの工程を効率化するため、データを収集・解析し、改善を行っています。
ほかには、新しい原料で、既存品と同等の高純度EPAが製造可能かなどを検討したりしています。
入社歴にかかわらず、意見を尊重してくれる会社だと思います。
思い出深いプロジェクトは、入社2〜3年目の時、原薬の最終工程の立ち上げに参加させていただいたこと。直属の上司と他部署の上司と3名で毎日協議をしながら研究をしていました。
入社歴が浅いにも関わらず、私が「この抽出方法でやってみたらどうか」と提案したことを「それでやってみよう」と受け入れてくれました。
それくらい挑戦したいことについては背中を押してもらえますし、若手でも良い意見ならば通してもらえる。一人ひとりの意見を尊重していただけるような会社だと思います。その分責任も大きいですが、その分やりがいも大きいですね。意見が言いやすく、その意見も通るので、本当にのびのび研究に携わらせていただいています。
実は、大学時代も同じような油脂のEPAやDHAなどの効果や機能性を研究していたんです。なので、入社後もそういった研究を、より専門的にじっくりやっていくのかな、と思っていました。
実際はそうではなくて、”製品を作るにはどうしたらいいか”という製造の過程の部分に重きを置いていたので、はじめはギャップを感じることもありました。”つくること”については学生時代に考えていなかった部分ですが、今ではこちらの方が合ってるなと感じています。
「この溶媒を加えたらどうか」「この作業を減らせばもっと早くつくれるのではないか」などを伝えて検討することで、実際に改善につながった時開発の奥深さに気づいたんです。
ラボで検討してもうまくいくことの方が少ないんですが、検討の中でいい兆しが見えると、その瞬間にやっててよかったなぁと思います。