「ブリッジ連携」視界不良 立民、共産との連携に傾斜も国民民主と溝
立憲民主党が、次期衆院選を巡り、共産党を含む枠組みでの候補者調整に踏み出しつつある。過去の国政選挙で野党連携を支援してきた「市民連合」の要望を受け入れる形で、立民、共産、れいわ新選組、社民の4野党幹部は7日、事実上の政策合意を交わした。野党系候補の乱立を回避できるという点で立民が受ける恩恵は大きいが、本来は「身内」であるはずの国民民主党は共産と距離を置いており、立国両党の溝がさらに深まることは必至だ。
共産との「直接協力」避ける
市民連合が橋渡し役を担う構図から「ブリッジ連携」と呼ばれる候補者調整は、立国の源流の民進党が野党第一党だった平成28年の参院選から本格化した。
民進やその流れをくむ政党は、安全保障政策などに関し、共産と溝を抱えてきた。加えて、最大の支援組織・連合は共産と対立関係にある。ブリッジ連携は、共産との「直接協力」を避けつつ候補のすみ分けを図ることができる好都合な協力形式というわけだ。
立民の岡田克也幹事長、共産の小池晃書記局長ら4野党幹部は7日、市民連合メンバーと国会内で面会した。市民連合側は、野党間の連携の土台として「憲法9条の改悪を容認しない」などの内容の「共通政策」を提示し、各党幹部がそれぞれ賛意を示した。政党間での正式な協定締結などを経ることなく実質的な政策合意と位置づける手法は、過去の国政選挙でも用いられたことがある。
隔たり棚上げ
立民内には、ブリッジ連携であれば連合の顔を立てつつ共産と組むことができると見込む向きが多い。「市民連合が間に入れば、共産の支援を受けたことにはならない」(閣僚経験者)という論法だ。
ただ、主要政策に関する見解の隔たりを棚上げして衆院選に臨むことが立民の支持拡大につながるかには疑問符が付く。今回の共通政策には、立民と共産の主張が異なる消費税減税の可否については触れられておらず、不一致を糊塗する思惑も透ける。
市民連合は国民民主に対しても7日の会合への出席を求めたが、同党は参加を見送った。岡田氏は会合後、記者団に「総選挙に向かって努力していきたい」と語った後、数秒の沈黙を経て言葉を付け加えた。
「参加されなかった国民民主党も含めて…」
岡田氏の思いとは裏腹に、両党の距離感はじわじわと増幅しているように映る。(松本学)
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市民連合
平成27年9月に成立した安全保障関連法の廃止などを掲げる団体。学生グループ「SEALDs(シールズ)」などの呼びかけで同年12月に発足し、28年の参院選などで野党の候補一本化を後押しした。正式名称は「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」。
12/07 21:26
産経新聞