2020.08.14
# 食品

日本人が意外に知らない…世界一売れている「日本のおかき」の正体

モンスター企業はこうして生まれた
岡本 ジュン プロフィール

転機となった台湾企業との提携

その後も、1999年に発売した『岩塚の黒豆せんべい』など、他メーカーとはひと味違う独自の目線でヒット商品を生み出してきた岩塚製菓。そんな同社にとって転換期となったのが、今からおよそ40年前のことだ。

モンスター企業になりえた転換期――それが、1983年にスタートした台湾企業、旺旺(ワンワン)集団との技術提携だった。

今や旺旺集団は台湾屈指の巨大企業であり、米菓生産量では世界ナンバーワンのシェアを誇っている。岩塚製菓はその5%の株を保有し、中国旺旺との合弁で旺旺・ジャパン株式会社を設立している。

Photo by GettyImages
 

岩塚製菓と旺旺集団との繋がりの発端は、とある青年が岩塚製菓を突然に訪ねてきたことにある。その青年こそ、現旺旺集団の代表・蔡珩明氏だったという。

当時、父から受け継いだ水産加工業の工場を営んでいた蔡氏は、米菓メーカーとして新たに乗り出すことを考えていた。仕入れのために度々訪れていた北海道で、岩塚製菓の製品を口にして気に入り、そこで技術提携を頼むことを考えついたのだ。

最初は技術提携を要請する手紙を出したが、海外進出に消極的だった岩塚製菓では、その手紙には返事をしなかったという。そこで蔡氏は思い切って直談判という手に打って出たのだ。

SPONSORED