2023年10月1日(日)夕刻、ようやく劇団員の逝去について劇団が公式コメントを発表しました。
昨日、宝塚歌劇団員の死亡に関する報道がございました。
謹んで心より哀悼の意を表します。
また、ファンの皆様ならびに関係者の皆様にご心配をおかけしておりますこと、深くお詫び申し上げます。
ご親族の心情に配慮し、詳細につきましては公表を差し控えさせていただきます。
今後は生徒の心身の状況を十分に配慮しながら、対応を検討してまいりますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
…「報道について」ですか?
「所属劇団員の逝去について」ではなく。
ご遺族の心情を慮るなら、徹底的に真相を究明して頂きたい。
決して有耶無耶にすることなく。
そして判明した事は、ご遺族はもちろん、生徒にも可能な限り情報共有を。
(ご遺族の心情とご意向を優先した上で…という前提ありきですが)
亡くなった生徒は、他の生徒達にとって「他人」ではありません。
同じ劇団で、共に仕事をする仲間です。
仲間がみずから命を断った。
その理由や経緯、死へ至る苦しみ。
それを知ることで、各自が得ること。
わたくし事で恐縮ですが…
かつて、自死した同僚が残した業務の一つを引き取った事があります。
前任者はその業務が重荷だった、と聞きました。
百聞は一見にしかず。
ややこしく、とても気を遣う業務でした。
他部署の業務でしたが、誰もやりたがらず、お鉢が回ってきた次第。
そうこうしていたら、コロナ襲来。
この機に乗じて、その業務のドラスティックな変更を試みました。
シンプルかつ簡明にして、最も適任な部署へ渡しました。
…と書くと簡単ですが、実際には何年もかけ、様々な人を巻き込んだ挙句の業務改善でした。
下っ端の私一人で出来るわけがない。
いろんな人に協力してもらい、タイミングを得たおかげ。
タイミングはコロナ禍。
コロナ禍のおかげで「変化」を余儀なくされ、改善しやすくなりました。
コロナ禍は喜べない事態ですが、物事を変革するチャンスにも繋がりました。
同僚にとって重圧の一つが、その業務だったなら。
生きている内にそれを知っていたら。
少しは力になれていただろうか…?
宝塚歌劇団も、音楽学校も、伝統を重んじるあまり、変化を良しとしない面があるようです。
裁判沙汰になったイジメ問題も、喉元過ぎれば熱さ忘れる。
ついに25歳の若者が命を落としました。
現時点では原因不明ですが、大抵の場合、問題は複合的です。
タカラジェンヌの場合、生活の大半は『舞台』か『稽古』
すなわち、『仕事』
メインの問題が何であれ、仕事が全く関与しない筈はないでしょう。
そして、舞台は総合芸術。
多くの人々と共に創り上げる作業が不可欠。
人間関係が、仕事と直結する世界です。
イジメがあったのか?
それは現時点では不明とされています。
少し話が逸れますが。
ハーバード大学が75年に渡り、幼児期から老年期まで追跡調査する、とある研究をご存知でしょうか?
それは人生の幸福と健康について。
人の健康と幸福に、年収・学歴・職業は直接関係ないそうな。
では、決め手になる指標とは何か?
それは『よい人間関係』の有無、だそうです。
「友達100人できるかな♪」という歌がありますが、人数は無関係だそう。
たった一人でも、心から信頼できる人がいれば良いのだとか。
…ただ、ネガティブな人間関係があれば、それはそれで幸福度と健康度は低下します。
人数の多寡ではなく、どんな人間関係を築いているかがポイントなんですね。
自死した生徒さんが人間関係で苦しんでいた、とは限りません。
ただ、「悩みの90%は人間関係だ」という言葉、聞き覚えありませんか?
仮に聞いた事がなくても、妙に納得できる気がしませんか。
生徒の自死。
それは、その生徒個人の問題ではない、と思います。
その生徒さんに連なる人間関係。
その生徒さんが所属する組織。
そこにも見過ごせない問題がある。
…と、私は思います。
その生徒の生命が大切だと思うなら、この機会を生かしてほしい。
この機会に、問題点を洗い出してほしい。
膿を出し切りましょう。
それが生徒さんへの手向けとなる筈です。
亡き生徒さんのご冥福をお祈りいたします。
∇大切な命、大切な心