鉱務/金山脩平

山をけずり、また山をつくる。

生産過程で出てくる、商品にならない石は、分別して処理しなくてはなりません。その処理場の役割を担うのが堆積場です。堆積場はもともと沢地形の箇所に埋め立てられることで、建設されていきますが、元あった山の姿に戻すことは鉱山の責務です。

鉱務係の仕事は、主にこの堆積場の管理。階段状に石を積み重ね、斜面の落石を防ぐために植物を植え、新たな山の一部を形成します。大げさに聞こえるかもしれませんが、チリも積もれば山となります。たとえば、8年前にできた第5堆積場は、もともと標高645mの位置にありました。それが今では805mの高さにまでなっています。採掘をしつづける限り、堆積量もどんどん増える。山に寄り添って生きていくには、欠かせない仕事です。

堆積場にとって一番大事なことは、水の管理です。大雨が降った時、人工の地盤に水が溜まって地滑りが起きたり、堆積場の地中を流れることで水が汚れてしまったり、少なからず環境への負荷要因となっていることがあります。そのため、速やかに降雨水を排水できるよう排水路を整備したり、沈砂池と呼ばれる排水処理場をつくって、処理してから流しています。水が自然に対して与える影響は想像以上にでかいですから。人工の堆積場をできるだけ自然に近づけるために、水との関わりを避けることはできません。

鉱務係は、堆積場の管理の他にも、生産を行う採石係や工作係の仕事が滞りなく進むよう、環境を整えています。たとえばトンネルや工事用道路をつくるなど、鉱山に関わるすべての道を整備するのも私たちの役割です。こうした土木の知識や技術は、日鉄鉱業に入社してから直接現場で学びました。今後もいろんな現場を経験して、ノウハウを蓄積したいですね。そして臨機応変に現場を指揮できる技術者として、鉱業所を支える人間になりたいです。