令和3年及び4年の協力隊サポート業務の入札は、2社を指名していますが、他の1社が辞退しましたので、結局アキタカターンズ1社による入札になっています。

よく見ると、この2つの業務はすでにアキタカターンズ1社が参考見積書を提出し、設計書と予定価格が作成されています。

辞退した会社には参考見積が求められていませんので、「複数による見積取得(入札)」という形を繕うために利用されるだけの話です。

体裁を繕うための見積提出(入札)に応じるはずはありません。

結局、全ての業務が1社見積(入札)になっています。



チェック表の見積社数、予定価格、見積金額(入札金額)及び契約金額を見てください。

教育委員会の1業務④を除いて、1社見積で全て予定価格どおりに落札していることが分かります。

しかも、全ての業務が、たった1回の見積で予定価格と同額になり落札しています。

予定価格が分からなければ、必ず予定価格の前後の見積金額が出され、予定価格を超えた場合には、2回目、3回目と繰り返し見積を提出するのが通常の姿です。



つまり、アキタカターンズが予定価格を知らない限り、たった1回の見積で予定価格と同額で落札することなどありえないのです。



アキタカターンズは予定価格を知っており、見積書の取得が「完全な八百長、出来レース」であることが見て取れます。

これは、入札制度を骨抜きにするものであり、大変な問題です。



6.具体的な契約事務の検討(1 地域おこし協力隊サポート業務)


今号から、金額が最も高く、実績報告がされている令和4年の「地域おこし協力隊サポート業務」を例にして、契約事務の詳細について見ていきます。


① 地域おこし協力隊とは


まず、地域おこし協力隊について紹介していきます。

地域おこし協力隊制度は平成21年度に、


人口減少や高齢化等の進行が著しい地域において、地域力の維持・強化を図るために、地域外の人材を積極的に誘致しその定住を図る。(総務省 地域おこし協力隊推進要綱)


ことを目的に制定されました。


当初は自治体が「会計年度任用職員(任期を定めた非常勤職員)」として雇用し、自治体職員として活動していましたが、その後「委託型」が創設され今日に至っています。

安芸高田市も、令和3年度からこの委託型を導入しています。



② 委託型とは


令和2年8月の総務省が策定した「地域おこし協力隊の受け入れに関する手引き(以下 手引き)」では、次のように示されています。



地方自治体が関係団体と委託契約等を締結した上で、当該団体の職員等を地域おこし協力隊員に委嘱する場合には、地方自治体と隊員の間に直接的には指揮監督権がないことや、隊員の活動内容や当該団体の公益性を踏まえ、当該団体と委託契約等を締結することが地域おこし協力隊の制度趣旨に合致していることなどを対外的に説明できるかなどについて留意する必要があります。  (次号に続く)