禅宗美術の中心、
東福寺初の規模展覧会

すべてお見せします。
オールアバウト東福寺!

新緑や紅葉の名所として知られる東福寺は、京都を代表する禅寺の一つです。日本から中国へと渡り、南宋時代の高僧無準師範(ぶじゅんしばん)に禅を学んだ(えん)()(しょう)(いち)(こく)())を開山に迎えて創建されました。「東福寺」の名は、奈良の東大寺と興福寺になぞらえて、その一字ずつをとったことに由来します。


東福寺の寺宝をまとめて紹介する初の機会となる本展では、「画聖(がせい)」とも(あが)められた絵仏師(えぶっし)(みん)(ちょう)による記念碑的大作「()(ひゃく)()(かん)()」全幅を修理後初公開するとともに、応仁の乱による戦火を免れた貴重な文化財の数々や、巨大伽藍にふさわしい特大サイズの仏像や書画類の優品も一堂に展覧します(※会期中展示替えがあります)。草創以来の東福寺の歴史を辿(たど)りつつ、大陸との交流を通して花開いた禅宗文化の全容を幅広く紹介し、東福寺の日本文化における意義とその魅力を余すところなくご覧いただきます。

出品目録(東京・京都両会場)/ダウンロード/PDF/約427KB

※京都会場での展示期間は確定次第、本サイトにてお知らせいたします。

重要文化財 五百羅漢図 第1号

重要文化財 五百羅漢図 第1号

京都会場:10月7日(土)~10月22日(日)

重要文化財五百羅漢図(ごひゃくらかんず) 第1~45号
吉山明兆筆 南北朝時代・至徳3年(1386) 京都・東福寺蔵

重要文化財五百羅漢図(ごひゃくらかんず) 第46・47号
狩野孝信筆 江戸時代・元和6年(1620) 京都・東福寺蔵

重要文化財五百羅漢図(ごひゃくらかんず) 第48・49号
吉山明兆筆 南北朝時代・至徳3年(1386) 東京・根津美術館蔵

五百羅漢図(ごひゃくらかんず)(復元模写) 第50号 
平成30年(2018) 京都・東福寺蔵

初めて全貌が明かされる、明兆畢生(ひっせい)の大作

水墨と極彩色が見事に調和した、若き明兆の代表作。1幅に10人の羅漢を表わし50幅本として描かれた作で、東福寺に45幅、東京・根津美術館に2幅が現存する。東福寺の伽藍再興運動のなか、至徳3年(1386)に完成したことが記録により判明する基準作としてもきわめて貴重である。14年に渡る修理事業後、本展で初めて全幅が公開される。


  • ※第1~50号、すべての画像を順番に紹介しています。第1~45号および48・49号は明兆筆、第46・47・50号は明兆の描いた原図を元に後世に制作されたものです。
  • ※修理後初公開となるのは、東福寺が所蔵する第1~45号(明兆筆)および第46・47号(狩野孝信筆)の計47幅です。
  • ※本展準備の最終段階で、明兆筆の第50号(幕末に東福寺から出て行方不明)がロシア・エルミタージュ美術館に保管されていることが分かりました。

東福寺

東福寺は鎌倉時代前期に摂政・関白を務めた九条道家(くじょうみちいえ)が奈良の東大寺と興福寺を合わせたような大寺院の創建を発願し、開山として円爾(えんに)聖一国師(しょういちこくし))を招いて建立した禅宗寺院です。後世「伽藍面(がらんづら)」と称されるほど我が国随一の巨大伽藍を誇り、多くの弟子を育成しました。南北朝時代には京都五山の第四に列し、本山東福寺とその塔頭(たっちゅう)には中国伝来の文物をはじめ、建造物や彫刻・絵画・書跡など禅宗文化を物語る多くの特色ある文化財が伝えられてます。国指定を受けている文化財の数は、本山東福寺・塔頭合わせて国宝7件、重要文化財98件、合計105件におよびます。そのうち東福寺所属の絵仏師・吉山明兆(きっさんみんちょう)は大部の禅宗画を数多く描き、代表作に近年大修理の完成した重要文化財「()(ひゃく)()(かん)()」があります。

東福寺境内図

東福寺の創建と円爾(えんに)

嘉禎元年(1235)、円爾(1202~80)は海を渡り、南宋禅宗界の重鎮である無準師範(ぶじゅんしばん)(1177~1249)に師事します。帰国後は博多に承天寺(じょうてんじ)を建立。その後九条道家(くじょうみちいえ)の知遇を得て京都に巨刹、東福寺を開きました。以来、寺は災厄に耐えて古文書や書跡、典籍、肖像画など無準や円爾ゆかりの数多の宝物を守り継いできました。それらは13世紀の東アジアの禅宗と日中交流の実情を窺わせる、質量ともに類をみない文物群で、今日、東福寺を中世禅宗文化の最大の殿堂たらしめています。

無準師範像

国宝無準師範像(ぶじゅんしばんぞう)
自賛 中国 南宋時代・嘉熙2年(1238) 京都・東福寺蔵

京都会場:10月7日(土)~11月5日(日)

これぞ南宋肖像画の極致

南宋禅宗界きっての高僧で、円爾の参禅の師である無準師範の肖像。無準が自ら賛を書いて円爾へと付与した作で、中国から日本へと禅の法脈が受け継がれたことを象徴する。迫真的な面貌表現は南宋肖像画の高い水準を示す。

遺偈

重要文化財遺偈(ゆいげ)
円爾筆 鎌倉時代・弘安3年(1280) 京都・東福寺蔵

京都会場:11月7日(火)~12月3日(日)

円爾の生き様を伝える臨終最期の筆致

円爾が臨終に書き遺した四言四句よりなる詩。衆生(しゅじょう)利益(りやく)を念じて精進した79年、禅の真理は仏も祖師も伝えず自ら体得するものと、仏道に捧げた生涯を顧みる。渾身の気力を注いだこの筆跡は、日本に残る最古級の遺偈としても貴重である。

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