三国志の関羽まつる廟、西成・釜ケ崎に 中国人経営者らがお披露目
日雇い労働者が集まる「日本三大ドヤ街」の一つと呼ばれた大阪市西成区の釜ケ崎の一角に、三国志の英雄・関羽をまつった「関帝廟(かんていびょう)」が建立された。この地域をめぐっては、4年前に商店街の入り口に中華門を建てる「中華街構想」が浮上。地元から「あまりに唐突」との声が上がり、頓挫した経緯がある。今回の「関帝廟」は商店街から少し外れた場所にあり、今のところ目立った反発はないという。
12月2日、中国人経営者らの親睦団体「大阪華商会(かしょうかい)」(同区)が、中国で商売の神様として信仰されている関羽、海の女神である「媽祖(まそ)」をまつる廟をお披露目した。
アーケードが続く飛田本通商店街(通称・動物園前一、二番街)のすぐ近くで、同区太子2丁目の約165平方メートルの土地に建てられた。華商会が物流倉庫だった土地を購入、建設費も含め計6千万円ほどかけたという。
華商会の会長は、商店街に並ぶ1曲100円のカラオケ居酒屋の草分けで、不動産会社長の林伝竜さん(59)。西成に来て26年で、「ここは第二のふるさと」と話す。
「国籍も宗教も関係なく、地元の人も観光客も雑談し、交流できる拠点になってほしい。この地域や商店街の『顔』になり、イメージアップにつながると良いね」
華商会は2019年、商店街に中華料理店を増やすなどとする「中華街構想」を発表した。この時、構想に反発した地元の商店主らも、今回は静かに見守っている。
飛田本通商店街振興組合の理事長で、洋服店を営む村井康夫さん(72)は「中華街構想は歴史ある商店街のカラーをがらっと変えることになるので反対が多かったが、今回は違う」と話す。
ここ数年、釜ケ崎かいわいは外国人バックパッカーが急増。周辺で暮らすベトナム人留学生らも増えている。村井さんは「この地域も国際化が進んでいて、共生や異文化の理解を進めていかないといけない」。
華商会ではこの廟を中国の旧暦の毎月1、15日に開放する方針。ほかの日も申し込めば入れるという。(市原研吾)
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