「谷津遊園」大正14年に開設された遊園地。かつての谷津遊園の昭和の資料と現在を辿る -谷津

「谷津遊園」大正14年に開設された遊園地。かつての谷津遊園の昭和の資料と現在を辿る -谷津

「谷津遊園」は千葉県習志野市にかつて存在した遊園地。現在も「谷津バラ園」など一部が残っているが、かつてはどんな遊園地だったのだろう。

千葉県に東京ディズニーランドができる前の、遊園地のおはなし。

谷津遊園とは

大正14年(1925)に「京成遊園地」として開設。その後昭和57年(1982)まで60年近く営業していた老舗遊園地だ。

初代津田沼村長が、明治中期に塩田だったこの場所を整備。その後京成電鉄によって買収され、「京成遊園地」となった。戦時中は「谷津園」に。

昭和6年から11年には坂東妻三郎によって「阪東関東撮影所」が開設されていた。船橋に撮影所があったと書いてあったが谷津遊園だったのか~

チイコミでも谷津遊園について紹介されている。

昭和の人気遊園地「谷津遊園」~アトラクションから海水浴場、バラ園まで

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谷津遊園の施設

谷津遊園は、昭和40年代に東京湾が埋め立てられるまでは潮干狩り・海水浴のできる遊園地として賑わった。現在は埋め立てられ、海岸の一部が谷津干潟として残された。

【戦前】

・阪東関東撮影所
・海水浴、潮干狩り(昭和40年代初めまで)
・野球場
・楽天府

野球場と楽天府は現存。後で解説する。

【戦後】

・バラ園
・VONA実験線
・航空機展示
・ローラーコースター(コークスクリュー)
・海上ジェットコースター
・大観覧車
・プール(冬は釣り堀・アイススケート)
・ビーチハウス
・動物園
・こども動物園
・スポーツランド
・運動会場
・豆電車
・ゴーカート
・ビックリハウス
・ミラーハウス
・タイムマシン
・遊覧ヘリコプター
・シンデレラ城?
・菊人形の展示

現存しているのはバラ園とコークスクリュー。バラ園は後でしっかり紹介。

昭和42年頃の写真をいただいた。背後に映っているのは大きなお城?!メルヘンで可愛い。

お城

・菊人形の展示も開催されていたらしい。今の世代にとっては菊人形の展示ってなんだろうというレベルですね。

・ビックリハウスは、前後に揺れるブランコみたいな座席に座り描かれた床と天井が回転して視覚混乱させる物だったそうです。

・お化け屋敷。その様子を詳細に覚えている方がいた。入り口は狭く、入った瞬間にドアが完全に閉まる。ミイラが埋まっている上を通るの怖かったそうだ。ゾンビ、ドラキュアが脅かしてきて、すぐ終わるが、お化け屋敷になれていない子供心には恐怖だったそうだ。

・遊覧ヘリコプターは15分で5000円ほど。

・コークスクリューは日本国内初だったが、北海道のルスツリゾートに売却された。

また、近隣の幼稚園の遠足の場所としても選ばれていたらしく、当時の写真を持っている方は意外と多い。

提供写真

お城の写真は、まさにディズニーランド!

提供写真
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谷津遊園プチ情報

・寅さんで有名な『男はつらいよ』の映画第30作『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』のロケ地にも!閉園直前の貴重な谷津遊園の映像。観覧車から見える景色も今とは違うんだろうな~

習志野市のホームページに詳しいことが書いてある。昭和53年には約100種類500頭の動物がいたと書いてあるので、もはや動物園…

・園内にはベンチが至るところにあり休憩ができたそうだ。バラ園に限らずバラが咲いていたような記憶も。

・閉園のときには、乗り物や備品が売り出されていたというニュースを見かけたという。ゴーカートなども販売されていたというので、もしかしたら今も持っている方いるかなあ。当時の値段で2万円ほど。

・ジェットコースターは怖かったので乗らなかったという人が多い。海がすぐ見えるので景色は良かったそうだ。海が見える遊園地、素晴らしいな。

・読売巨人軍発祥の地の石碑がある
「読売巨人軍発祥の地」はなんと千葉・旧谷津遊園内の野球場?!記念碑が伝える姿

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谷津遊園の閉園

谷津遊園は昭和57年(1982)に閉園。当時黒字経営だったが、母体の京成電鉄の経営悪化、東京ディズニーランドへの経営参画計画などが背景にある。従業員の多くが東京ディズニーランドに移籍したというのは有名な話。

昭和58年に東京ディズニーランドが開園した。

まさに東京ディズニーランドの前身が谷津遊園だったのだ。谷津遊園にはシンデレラ城と似ているお城や、キャラクターもどこか似ていた。
若い人はこの歴史をどれくらい知っているんだろう。

谷津支線跡

谷津遊園への最寄り駅は、現在の「谷津駅」とは別に存在したという歴史も、とても興味深い。

当時は谷津駅から、谷津遊園まで直通する道路が無かったらしい。そのため、花輪駅(船橋競馬場駅)から谷津支線を延ばし「谷津遊園地駅」が昭和2年開業。

昭和9年(1934)に直通道路が開通したため谷津支線、谷津遊園地駅は廃止に。現在の谷津駅が「谷津遊園駅」として利用されていたらしい。

谷津支線跡?

ちなみに京成の廃止線といえば、以前「白鬚線」を調べた。谷津支線があったことは初めて聞いたので面白いな。

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谷津駅、商店街の現在

千葉県習志野市。現在の京成本線「谷津駅」から商店街を辿ってみよう。

谷津駅

谷津駅南口から伸びる商店街は「谷津遊路商店街」として整備されている。現在も人通りが多い活気ある商店街。

谷津商店街

当時は、海の家のような小屋が並ぶ商店街だったそうだ。

高架下のこんぺいとう

精肉店、八百屋、喫茶店…普通に商店街として見応えがたくさんある。今度じっくり訪れたい。

やきとり
八百屋さん

昔は京葉道路をくぐったあたりが谷津遊園入り口だったそうだ。現在の谷津遊園までは少し歩かなければならない。

そして電柱を見てみると、プレートに「遊園地」の文字!

遊園地

谷津遊園跡地であることが電柱にまだ残っているのは嬉しい。

南国風~

谷津遊園閉園後は、日本住宅公団の団地「谷津パークタウン」が建設。その残りが習志野市が買収し「谷津公園」となった。

谷津公園は「房総の魅力500選」にも選ばれているらしい。

房総の魅力500選
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読売巨人軍発祥の地

谷津公園内にひっそりと佇む石碑「読売巨人軍発祥の地」。

読売巨人軍発祥の地

谷津遊園内に存在した谷津野球場が関係している。詳しい歴史については以前の記事で↓

読売巨人軍発祥の地」はなんと千葉・旧谷津遊園内の野球場?!記念碑が伝える姿

 

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谷津バラ園

谷津遊園の名残である「谷津バラ園」。谷津遊園閉園後、惜しむ声が多かったことから昭和63年(1988)から再オープン。

谷津バラ園現在

昭和32年開設当時は、「東洋一の規模」といわれたそうだが、京葉道路が造設されることになり野球場を閉鎖し、昭和40年(1965)に現在地に移設したそうだ。

地図

秋の谷津遊園

秋のバラの見ごろを狙って訪れたがあいにくの曇り空。ちょっと残念。

現在のバラ園

時期によって料金が異なるので注意。

バラが綺麗

谷津バラ園から見えた観覧車は今は見えない。

谷津バラ園にて
女性の像

中央には噴水。バラ園としてはけっこう見応えがある。秋よりも春の方が全体的に綺麗。

春がおすすめです
赤いバラ
バラの撮影楽しい

春の谷津遊園

春の晴れている日。

春(2016年)

地元の方が談笑していた。

春(2016年)
2016年
2016年

春の満開の時期は綺麗でしょ~?

春満開
美しいバラ

谷津遊園よりも八千代市の京成バラ園の方が有名かもしれないが、谷津遊園も素敵な場所だな~

谷津遊園ぜひ
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谷津干潟

谷津バラ園を後にして、「谷津干潟」へ。

谷津干潟公園

谷津干潟へと向かう途中に元商店のような建物。

商店?

谷津干潟は、東京湾の埋め立てで一部のこされたもの。都市化が進む中、ここだけは東京湾に飛来する希少な渡り鳥の生息地として保護された。

 

味のある行き止まり

都市化が進む中、ここだけは東京湾に飛来する希少な渡り鳥の生息地として保護された。平成5年にはラムサール条約に登録。

谷津干潟

現在も「谷津干潟自然観察センター」で干潟のことを学べる。散歩をしている地元の方も多い。

谷津干潟

都市化が進む周囲の喧騒が嘘のような場所。居心地が良い。

さんぽにぴったり
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谷津遊園ハイツ

谷津干潟から周辺を歩いていたら「谷津遊園ハイツ」という看板を見つけた。

谷津遊園ハイツ

谷津遊園の名称を利用しているマンションなどがいくつか残っているようだ。

谷津遊園ハイツ

船橋市と習志野市の境界まで歩いた。

船橋市と習志野市の境

すぐ隣には船橋ヘルスセンターがあった。こんな近くに競合が林立していたのか…羨ましいな。

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『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』パンフレット

谷津遊園が映っている『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』のパンフレットを所有している方から貴重な写真をいただいた。

『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』

表紙に映る観覧車が、谷津遊園にかつて存在したもの。中央にYATSUと書いてある。

パンフレット2
パンフレット3
パンフレット4
パンフレット5
パンフレット6
パンフレット7

初めて「男はつらいよ」のパンフレットを見ました。写真も豊富でとても面白い!ほかの作品のパンフレットも見てみたくなりました。本当にありがとうございます。

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「寅さん記念館」の谷津遊園

柴又の「寅さん記念館」にも谷津遊園の資料があった。

ジェットコースターの「アサヒ海上コースター」。

アサヒ海上コースターのポスター

見ているだけで怖そうなポスター。海の上を走っている。

京成電鉄の路線図にも谷津遊園の文字。

路線図
谷津遊園

谷津遊園の案内。動物園から、プール、観覧車…とても楽しそう。

谷津遊園の地図

谷津大バラ園と書かれているポスターも。

谷津大バラ園
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谷津遊園の釣堀券

谷津遊園の釣堀券を持っている方がいた。凄い!

谷津遊園のチケット

30円。時代を感じるチケットだ。こうして現在も残っているのが嬉しい。

楽天府

もう一つ。「楽天府」の建物が千葉県千葉市美浜区稲毛海岸の千葉トヨペット本店に利用されている。

楽天府

昭和15年まで坂東妻三郎の撮影場として使用され、その後は千葉市役所庁舎として親しまれた。

元銀行

【稲毛散策②】埋め立てられた稲毛海岸を思い出させる軍艦、大正11年創業の海の家の現在とは…

現在も京成稲毛駅から歩いて見に行くことができるので近い方はぜひ。

 

「谷津遊園」に関する資料を提供してくださった方、ありがとうございました。谷津遊園のことを調べてみると知らないことばかりでとても面白かったです。隣駅に存在した船橋ヘルスセンターを含めて、観光地として賑わった歴史があることをこの場で記しておきたいと思います。

もし何か知っている方がいたら教えてください。

↓谷津駅北口の商店街も合わせてご覧ください!

「谷津サンプラザ商店街」谷津バラ園名物、バラのアイスクリームと共に。

 

◇谷津遊園に関する本

日本懐かし遊園地大全 (タツミムック) 

 

(訪問日:2020年11月)

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