マスク氏歓迎のイスラエル、スターリンクには勝てず-反ユダヤ黙認か
Simon Marks、Marissa Newman-
ハマスの奇襲攻撃を受けたキブツ・クファルアザの視察に首相も同行
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反ユダヤ主義的な投稿を是認したとして国際的に厳しい批判を浴びた
資産家のイーロン・マスク氏は、「X(旧ツイッター)」で反ユダヤ主義的な投稿を是認したとして国際的に厳しい批判を浴び、アップルやウォルト・ディズニーもXへの広告掲載を中止した。
それでも27日にイスラエルを訪問したマスク氏は、ネタニヤフ首相ら政界のエリートから歓迎され、イスラム組織ハマスの奇襲攻撃を受けたキブツ(集団農場)クファルアザの視察に首相も同行した。
マスク氏のつまずきにもかかわらず、世界の指導者らに同氏を長く批判したり遠ざけたりする余裕はない。世界屈指の富豪である同氏は、強力な技術ツールの鍵を握り、最高経営責任者(CEO)を務めるスペースXの衛星通信サービス「スターリンク」が今回は政治的影響力の中核といえる。
必要不可欠な通信サービスを提供することで、米国防総省当局者やウクライナのゼレンスキー大統領ら世界の指導者を口説き落とす力をマスク氏は手中にした。
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イスラエルのカルイ通信相は、スターリンクについて、マスク氏と基本合意に達したと明らかにした。ガザを含めイスラエルでのスターリンクの運用は通信省による許認可が条件になると投稿した。
イスラエル訪問がネタニヤフ首相による招待か、それともマスク氏自身が要請したものかは不明だ。Xでの反ユダヤ主義的コメントの規制を求める懇願と衛星通信サービスの協議が混在する形で、マスク氏はおおむね暖かく歓迎された。
イスラエル民主主義研究所のテヒラ・シュバルツ・アルチュラー上級研究員は「マスク氏は米政府が規制・監督すべきプレーヤーにとどまらない。恐らくは国連安全保障理事会に席を置くべき国際秩序のプレーヤーだ。その力のおかげで、造作なく責任を逃れることができる」と指摘した。
スペースXの担当者にコメントを求めたが、返答はない。
原題:Musk Wields Starlink in Israel to Quell Uproar Over Antisemitism(抜粋)