私は新卒でこの会社に入りました。当社が本格的に新卒採用を始めた第1期生です。就職サイトで初めてメディネットを知り、まず、研究段階とばかり思っていた細胞医療が実際の治療として行われていることに驚きました。そして、学んできた生命科学の知識や技術を通して患者さんの役に立てるのなら、是非自分もそういう仕事をしたいと思いました。学生時代は発生工学・繁殖生物学を専攻し、動物の生殖細胞の培養や飼育管理などを学んでいたため、免疫学は専門外で応募にやや不安もありましたが、選考に不利はないということでしたので思い切ってエントリーしました。入社後に理解できましたが、確かに知識や技術は入社後でも身に付けられるので、むしろ責任感など仕事に取り組む姿勢などの方が重視されますね。
入社後の印象は、先輩社員がみな患者さんの力になりたいと責任感を持って仕事に取り組んでいて、一方で仕事を離れると仲良く食事に行ったりとオン・オフがきちんとしており、入社前に抱いていた印象通りでした。入社後のギャップというものはほとんどなかったですね。
人の細胞を扱うというと一般的には研究や実験レベルのものが多いと思いますが、この仕事は現在がん治療を受けている患者さんの血中細胞を、治療用に培養・活性化したり品質検査をしたりする医療現場の仕事、「医療技術職」です。
CPFと呼ばれる細胞培養加工施設のクリーンルーム内で直接患者さんの細胞を扱い、毎日多くの検体を管理します。さまざまな状態の血液から私たちができる技術を最大限に生かして、よりよい品質の細胞を提供できるよう、多数のスタッフが協力して業務を行っています。病状の進行度合い、標準治療の程度、体調などそれぞれの患者さんで血液、細胞の状態は異なり、一人として同じ条件ということはありません。それを技術者の技術力により、治療効果が得られるような活性化細胞・細胞数へ段階的に増殖させていく、まさにオーダーメイド医療を担っています。
特に進行がんは最先端の医療をもってしても難しい病気ですが、そんな中でも治療が奏功し、患者さんが元気になられたことを先生や看護師さんから聞いたり、機会は少ないですがお礼の言葉を掛けられたりすると、本当にうれしくやりがいにつながります。
逆に、ミスが許されない仕事であるという緊張感が常にありますし、チームで仕事をしているため、自分が休むとほかのスタッフに迷惑が掛かるため、自己管理や体調管理もほかの仕事以上に重要です。医師や看護師と同様、医療現場ならではの厳しさもある仕事です。
当社では培養記録簿に「私が担当しました」というサインをします。これは自分が責任を持って作業を完了したということです。この意味を理解し、自分の仕事を最後までやり切ることができる、そういう人でなければ務まりません。一日の業務を安全に行うために、一人ひとりの役割・責任が大切であり、さらに業務の種類や量、シフトで動くスタッフなどすべてが同じ状態であることがないため、臨機応変に対応できることも重要です。多数の検体を扱いますが、そうした環境でも検体をモノ扱いせず、患者さんそのものと考えて大切にできる人でなければ務まりませんね。
最近は、「クリーンルームの中と外では別人」と後輩によく言われます(笑)。外ではおっとりして見られるようで、確かにそうなのですが、無塵衣を着るとスイッチが入りますね。4年目に入って後輩の指導も行う立場になりましたので、自分なりに緊張感を持ってメリハリを付けています。3年目くらいまでは自分に余裕がなかったのですが、4年目に入ってからは周囲が見えるようになって、考えて行動でき、いろいろな提案をするなど一段上の仕事ができるようになってきました。今は重要な拠点病院における新規細胞培養加工施設立ち上げのプロジェクトにかかわっています。よく「入社3年間は辛抱して目の前の仕事に懸命に取り組め」と言われますが、本当だなあと実感する今日このごろです。
今後は、細胞培養加工施設での経験、ノウハウを他施設で生かし、次の世代につなげていきたいと思っています。また、CPF全体の業務管理や施設、スタッフ管理まで任されるよう頑張っていきたいですね。
- 【勤務時間】
- 早番シフト 8:00~17:00
遅番シフト 12:00~21:00