【解説】Veeam Backup & Replicationのライセンスとエディションをわかりやすく解説
追記
2021年1月1日付でVeeam Backup & Replication(VBR)およびパック製品のVeeam Availability Suite(VAS)、Veeam Backup Essentials(VBE)のライセンスが変更になりました。
2021年1月の主な変更点は以下の二点です。
- VBRパーペチュアルライセンスのエディションが「Enterprise Plus」のみ、保守も「Production Support」のみに
- VBEの購入条件が大幅に緩和
変更点について詳しくはこちらのブログをご覧ください。
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「Veeam Backup & Replication」は、仮想環境のデータ保護に特化したバックアップソフトウェアです。
2020年2月に新しくバージョン10(v10)がリリースされてからというもの、Veeamのライセンスの1つ、ユニバーサルライセンスのお引き合いを以前にも増して頂くようになりました。
ですが、この「Veeam Backup & Replication」には3つのエディションと、2つのライセンス形態があり、ライセンスの違いが分かりにくく、やや複雑になっています。
この記事では、Veeam Software社の最も基本的な製品「Veeam Backup & Replication」の各ライセンスの違いについて解説します。
Veeam Backup & Replicationは2つのライセンス形態、3つのエディション
Veeam Software社は、バックアップ製品や管理ツール、それらを組み合わせたセット製品など様々な製品を提供しています。
その中でメイン、最も基本的な製品となるのが「Veeam Backup & Replication」というバックアップソフトウェアです。
「Veeam Backup & Replication」には永久ライセンスである「パーペチュアルライセンス」と、1年間のサブスクリプションライセンスである「ユニバーサルライセンス」の2種類があります。
そして、「パーペチュアルライセンス」には「Standard」「Enterprise」「Enterprise Plus」の3種類のエディションがあります。「ユニバーサルライセンス」には「Enterprise Plus」のみとなっています。
ライセンス形態の違いでバックアップを取得できる対象と支払方法、ライセンス有効期限が異なり、エディションの違いでバックアップに使用できる機能が異なります。
ライセンス形態の違い:バックアップできる対象と選択できるエディションが異なる
「Veeam Backup & Replication」のライセンス形態は永久ライセンスとサブスクリプションライセンスの二種類ですが、有効期限と支払方法の違いだけではなく、バックアップできる対象や選択できるエディションが異なります。
①パーペチュアルライセンス
パーペチュアルライセンスは永久ライセンスです。別途保守購入が必要です(ライセンスに初年度保守込み)。
- エディション:「Standard」「Enterprise」「Enterprise Plus」の3種類
- 対象:オンプレミスの仮想環境のみ。物理環境やクラウド環境はバックアップできない
- 必要ライセンス数:バックアップ対象仮想マシンのホストサーバーに搭載されている物理CPU数
- 保守:ベーシックサポート(平日日勤帯)かプロダクションサポート(24/365)から選択
ホストサーバーの物理CPU数で課金となるため、同じホストサーバー上であれば仮想マシンが増加しても追加料金は発生しません。
同じホストサーバーに沢山仮想マシンを建てたり、将来仮想マシンを増やしたりするなどの予定があれば、こちらのパーペチュアルライセンスをおすすめいたします。
②ユニバーサルライセンス
ユニバーサルライセンスはライセンスと保守一括のライセンスを必要年数で購入するサブスクリプションライセンスです。
- エディション:「Enterprise Plus」のみ
- 対象:物理・仮想・クラウド、どれでもバックアップ対象。AHV環境もバックアップ可能。
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1ライセンスで10インスタンス(※)バックアップ可能
※1インスタンス = 物理サーバ1台 or 仮想マシン1台 or クラウドの仮想マシン1台 - 保守:プロダクションサポート(24/365)のみ
クライアントのバックアップも可能です。詳しくはお問合せください。
パーペチュアルライセンスと違い、仮想環境だけでなくクラウド上のインスタンスのバックアップも可能なライセンスです。
ユニバーサルライセンスではバックアップする対象の数(インスタンス数)でライセンス数を計算します。
例えばバックアップしたい対象が、オンプレミスに仮想マシン10台、物理サーバが5台あり、クラウドにインスタンスが13台ある場合のインスタンス数は28となります。
1ライセンスで10インスタンスまでバックアップできるため、インスタンス数が28の場合は3ライセンス必要です。
また、10インスタンスの内訳はオンプレミスの物理環境・仮想環境・クラウドの仮想環境を自由に割り当てることができます。
はじめ物理環境にあったシステムをオンプレミスの仮想環境に移動し、クラウドに移動する、と言った場合でも同じライセンスを使いまわすことが可能です。
物理環境やAHV、クラウド上のインスタンスをバックアップしたい場合や、将来的にクラウド環境にインスタンスを建てたい場合などはこちらをおすすめいたします。
エディションの違い:バックアップに使用できる機能が異なる
次に、エディションの違いについて解説します。
「Veeam Backup & Replication」には「Standard」「Enterprise」「Enterprise Plus」の3種類エディションが存在します。
「Standard」が最も使用できる機能が抑えられているかわりにコストが抑えられており、「Enterprise」、「Enterprise Plus」の順に使用できる機能と価格が増加していきます。
追加オプションはなく、使いたい機能からエディションを選ぶシンプルな考え方となっています。
①Standardエディション
「Veeam Backup & Replication」の基本的なバックアップ機能を使用できるエディションです。
基本的と言っても、「Veeam Backup & Replication」の主要な機能は網羅されています。
バックアップデータから直接仮想マシンを迅速に立ち上げる「インスタントVMリカバリ」や、ファイル単位でのリストア、電源OFF時でもバックアップ可能なエージェントレス仕様、アプリケーションの整合性を保ったままバックアップできる「アプリケーション認識のイメージベースバックアップ」など、Veeamの特長と言える機能の多くが使用できます。
②Enterpriseエディション
「Standard」エディションで使える主要な機能に加え、実際に運用していくうえで便利な機能を使用できるようになります。
例えば、バックアップの復元やレプリケーション先へのフェイルオーバーが正常に行われるかを自動検証する「SureBackup」「SureReplica」機能(SureReplicaはVMware環境のみ対応)はEnterprise以上のエディションで使えます。
多くの企業では検証環境構築の大変さやファイル破損・本番環境への影響を懸念し、実際にリストアできるか(復旧できるか)を検証せず障害発生時にぶっつけ本番でリストアを行うことも珍しくありません。
その時に実はうまく復旧しないことが判明しても手遅れです。
「SureBackup」「SureReplica」は閉鎖環境に実際にリストア/フェイルオーバーを自動で行い、復旧検証を行ってくれるため、いざという時でも安心の高い復元率を実現しています。
また、Veeamはデフォルトで重複排除機能を持っていますが、Dell EMC社の重複排除ストレージ「Data Domain」のオプション機能であるDD Boostや、HPE社「StoreOnce」のCatalystと連携し、バックアップ速度の向上や、データ転送量・保存容量の削減などを行うことができるようになります。
③Enterprise Plusエディション
「Enterprise Plus」は、システム管理者の負担を削減したり、環境に負荷をかけずにバックアップができる機能を使用できたりなどの高度な機能を様々使用できるようになります。
Oracle RMAN(Oracleが標準で提供するバックアップツール)やSAP HANA Backintバックアップと連携して各データベースが自分で取得したバックアップデータをVeeamのバックアップデータ保存先に保存するように設定できます。
また、ストレージスナップショットとの連携機能により、仮想環境への影響が大きいVMwareスナップショットの保持時間をできるだけ短くし、バックアップを高速に取得することなどが可能になります。
そのほかにも、システム管理者だけではなく各ユーザーが各自でリストアを行うことができる「セルフサービス・ファイル・リストア・ポータル」なども使用でき、システム管理者の負担を軽減できる機能が開放されます。
各エディションの詳細な比較については、こちらの比較表をご覧ください。
「実際何を買えばいい?」フローチャート
各ライセンス形態とエディションを列記して解説してきましたが、ライセンスを選ぶ基準はなんでしょうか?
必要なライセンスを選ぶ際にポイントとなるのは「取得したい対象」「必要な機能」「仮想マシンの数・場所の変更可能性」です。
この3点を纏めると、以下のフローチャートのようになります。
こちらのフローチャートで、ざっくり必要なライセンスに当たりをつけることができます。
ただし、このフローチャートはわかりやすさを優先しているためあくまで参考程度に留めて、ユニバーサルライセンスとパーペチュアルライセンスをどのように組み合わせるか、どのエディションを選ぶか、実際に購入を検討する際は販売担当者に必要な機能やコストを相談してお決めください。
デジタルテクノロジーは国内唯一の「Veeamリセラー Technical Partner」で、Veeam日本法人立ち上げ時から国内で販売しており多くの実績を保有しています。製品説明から技術支援、設計構築、トレーニングやQ&A対応などの運用まで、一貫して幅広く支援いたします。
「この環境だとライセンスはどう選ぶのが適切だろう?」と迷った際はぜひご相談ください。その後のサポートなども充実しています。