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ビジネススクールとは?《国際認証とランキングの視点》

ビジネススクール(英:Business School)とは経営学を通じてMBAを授与する「経営大学院」と考えがちですが、それは日本でしか通用しない考え方です。実は世界中に存在しているビジネススクールとはもっと幅広い参加者を対象として教育を提供しているのです。今回のテーマは海外で教育を受けた人材を採用する上で重要で、特に人事担当者の方には正確に理解していただきたいと思います。まず、以下はビジネススクールが提供する学位のうち大学院教育に関連するものです。



ビジネススクール《そもそもの誤解》

まず、ビジネススクールの国内での認識についてですが、2003年に発足した「専門職大学院」という大学院教育が社会人を対象とした高度な専門教育を行うということで、いわゆる「ビジネススクール」という言葉が出てくるきっかけとなりました。しかしこの専門職大学院が登場する前から、社会人を対象とした高度なマネジメント教育がいくつかの「大学院」で実施されており、本学もその中の一つです。したがって「ビジネススクール=専門職大学院」と考えるのは誤解のもとです。

そもそも世界最古のビジネススクールは1819年に設立されたESCP EUROPEであり、欧米社会では200年以上の歴史を有する伝統的な経営教育であり、学部課程(3-4年間)、大学院課程(1-5年間)、そして非学位課程(数日間)で構成されています。したがって、欧米社会ではビジネススクールで勉強したという表現だけでは、それが経営学部を卒業した事を指しているのか、経営大学院(修士課程・博士課程)で学んだのか、あるいは社会人になってから会社派遣で科目履修したのかを区別することは困難なのです。

MBAに修士論文は必要か?

そして、世界のビジネススクールで修士論文を課しているMBAはほぼ皆無という話題です。これは、あまり着目されることがない論点ですが、進学しようとする教育課程(プログラム)の修了要件が一体何か?はビジネススクール選択において重要な視点。そもそも、実務経験豊富な社会人を対象にリーダー教育を行うのがMBA教育の本来の姿。学術論文の作成指導はMBA教育の本来の目的ではなく、「プロジェクト」や「特定課題研究」といった実践的なキャップストーン(修了課題)が設定されるのです。

加えて、このキャップストーンとはピラミッドの最頂点に載せる石のことを指し、その教育課程のゴールといえます。まず、そこが選択制というMBAの場合には、強い違和感を持った方が良いでしょう。通常、教育課程ごとに設定されているもので選択科目ではないと考えて下さい。

MBAのキャップストーン代表例

  • プロジェクト演習
  • コンサルティング演習
  • 特定課題演習
  • 課さない(結構多い)

MScのキャップストーン代表例

  • 修士論文

教育のミッションとして「実践的な教育」と主張しながら、卒業課題として「修士論文」を課すMBAは、そもそもMBA教育の本来の役割を理解せず、教員が自らの土俵に固執している証拠。そもそもMBAとは実務経験豊富な参加者に対するプロフェッショナル教育であり、研究論文を作成する場ではないためです。一方で、特定領域に関する深い研究力を養成するMScであれば、終了課題が「修士論文」になるのが極めて自然です。このように、そもそも日本国内でMBAとMScの違いを理解しているビジネススクールが少なく、両者を混同した運営がなされているのが残念でなりません。


国際認証 AACSB・AMBA・EQUIS
取得学位 Executive MBA・MBA・MSc
修了単位 40単位(国内平均)
修了課題 特定課題演習(MBA)・修士論文(MSc)
修了年限 2年間(最短1年間)
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ビジネススクール《学位に関する誤解》

また、ビジネススクールで修士課程を修了したといっても「MBA」を取得したとは限りません。ビジネススクールには経営学を網羅的に学ぶプログラム(MBA)と、特定の領域(例えばファイナンスやマーケティング)を専門的に学ぶプログラム(Master of Science, MSc)の2種類が存在するためです。ちなみにビジネススクールで学士課程(学部)を卒業すると、BBAもしくはBScが授与されることになります。

ビジネススクールの収益構造《マニア編》

かのハーバードビジネススクール(米国)、INSEAD(フランス)、IMD(スイス)など世界の名だたる高等教育機関は、実は学位教育(Academic Education)よりも非学位教育(Executive Education)の参加者の方が圧倒的に多いのです。学位教育はレピュテーション(評価)重視の赤字で、非学位はレベニュー(収入)重視の黒字、そういった収益構造の経営大学院は珍しくないのです。このように、ビジネススクールの中には社会人を対象とした非学位の教育課程が、学位課程より大きな規模で活動している場合もあります。さらには、この非学位教育のみを行う研修企業が〇〇ビジネススクールと名乗っている場合もありますので、一体どこからがビジネススクールなのか判断するためには一定の基準が必要になります。

ビジネススクールを認定する枠組み《国内基準》

日本国内であれば、文部科学省が大学設置基準を策定し、それを満たした上で経営学に関する学位(学士、修士、博士)を提供することがビジネススクールたる最低限の基準といえます。とはいえ国内でも国立と私立が存在し、大学院と専門職大学院が存在する今、ビジネススクール教育に相当する設置基準も単一ではないのが現実。さらには、学校教育機関でなければビジネススクール名乗ることができないのもおかしな話で、こうした状況は国内ビジネススクールのみならず、世界中で起こり得ます。国が異なれば大学設置基準も異なって当然で、場合によっては州ごとに微妙に異なるため、ビジネススクールの基準が数多く存在しているのです。

とはいえ、少なくとも国内の「専門職大学院」が提供するビジネススクールであれば、大学基準協会が5年毎に実施する「専門職大学院認証評価」の報告書が存在し、それらは公表されていますので、受験前に必読すべき資料です。各ビジネススクールとしての課題と特徴とが多面的に記載されています。特に「検討課題」と記載されている箇所を検索するとその特徴が見えてくると思います。

  • 検討課題(チェックポイント)

ビジネススクールのランキングとは?

ビジネススクールを比較する上で欠かせない視点が「ランキング」と「国際認証」であり、ビジネススクールの教育研究成果をもとに毎年作成される伝統的な3大ランキングは以下となります。評価する対象項目に対するウェイトが異なるので、それぞれ異なったランキング」結果となります。

  • QS
  • Financial Times
  • Economist

評価対象項目は、1)博士号教員、2)女性比率、3)国際性比率、4)論文引用数、5)年収上昇額(教育ROI)、6)企業人事評価、7)起業家輩出数、が知られています。私の知る限りでは、どのランキング機関も「年収上昇額」を重要視しています。最近ではその傾向に変化も出て、多様性項目(2や3)の比重が高まる傾向にありますが、それでも事実上MBAランキングは「教育投資ランキング」といえるでしょう。

ビジネススクールに関する厳しい現実

そして、上記のビジネススクールのランキング対象校は国際認証校に限定されています、要は国際認証校でなければランキングの審査対象外という扱いなのです。これが世界の常識であり日本の非常識といえる側面となります。なぜ、国際認証校以外がランキングの対象になりえないのか?その理由は、MBAは国際的な学位であり、もはや特定の地域に根ざした経営教育ではないためです。国際的な視点での質保証が行われていないビジネススクールが発行する「MBA」は、国際通用性を持たないという厳しいメッセージとなります。


ランキング カテゴリ 対象学位
QS Global MBA Rankings MBA
QS Executive MBA Rankings Executive MBA
QS Business Master's Rankings Masters in Management
Financial Times Business school rankings Executive MBA
Financial Times Business school rankings MBA
Financial Times Business school rankings Online MBA
Economist MBA Rankings Full-time MBA
Economist MBA Rankings Executive MBA
Economist MBA Rankings Masters in Management
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ビジネススクールの質保証を担う《国際基準》

そこでビジネススクールとは何かを国際的な視野と基準で定め、第三者的に認証する事を目的とするのがAACSB(米国基準)、AMBA(英国基準)、EFMD(欧州基準)といった国際認証機関になるのです。こうした国際機関が実施するビジネススクールの国際認証は、教育課程の教育力や研究力を国際的な視点で定期的に相互審査する事を目的としており、最終的にビジネススクール同士が切磋琢磨し高め合う場を作り上げているのです。



AMBA EQUIS AACSB
活動拠点 英国 欧州 米国
審査対象 MBA教育 ビジネススクール 経営教育機関
認証校 300校(上限あり) 215校 1000校+
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まとめ

ここまでの解説を経て今一度ボストンに拠点を構える名門校、MIT Sloanが提供する教育課程を見てみたいと思います。AACSB認証校として、学部教育から非学位教育まで幅広く提供し、世界的なランキングのトップ10の名門ビジネススクールという点が一目瞭然ではないでしょうか。こうしたビジネススクールとは何か?という視点は欧米社会ではマネジメント層においては常識で、高学歴化が進んでいる中東やアジアでも理解が進んでいるように感じます、しかしながらこの点を正確に理解している日本人はごく少数で理解が遅れているのが実情です。

MIT Sloan School of Management - AACSB認証校

  • Ph.D.(博士)
  • Executive MBA(修士)
  • MBA(修士)
  • Master of Finance(修士)
  • Master of Business Analytics(修士)
  • Master of Science in Management(修士)
  • Executive Education(社会人教育)
  • Undergraduate(学部)

出典:http://mitsloan.mit.edu/academic/



MBA Executive MBA
FT Ranking 11位 13位
QS Ranking 6位 4位
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ビジネススクールとマネジメントスクール(余談)

私がビジネススクールに関して疑問に感じるのは、専門学校が「・・・School of Business」と英語名で学校名を表記している点。海外のビジネススクールの友人に、日本のビジネススクールは、ビューティービジネス、フラワービジネス、ペットビジネス(笑)まで教えるのか?と質問されて戸惑った事があります。こうした「専門学校」は、欧米社会にも職業訓練学校として存在し「Vocational School」、「Career School」もしくは「Career College」という呼び名であり、認証団体としてACCSC(米国)など存在するのですが、日本国内ではビジネススクールと呼ばれています。

ビジネススクールは通称の場合が多い

また、ある海外のビジネススクールの教員と雑談していたところ、ビジネスを教えるというのはあまりにも幅が広すぎる...実態としてマネジメントに関連する話題が多いので「ビジネススクール」というよりも「マネジメントスクール」の方がしっくりくるとのことで、現在、学校名の変更を検討しているという話題になってきました。日本語ではビジネススクールという名称を使用しながら英語名ではマネジメントスクール(...School of Management)と表記している大学院はとても多いのです。


通称 正式名称(公式英語ウェブサイト参照)
NUCB Business School Graduate School of Management, NUCB
Keio Business School Graduate School of Business Administration, Keio Univ.
Waseda Business School Graduate School of Business and Finance, Waseda Univ.
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