2.参考見積金額及び設計金額


設計書は、業務に必要な日数や単価等を設定して業務全体の金額を定めとともに、業務内容を具体的に定めたものです。

しかし、自治体では業務の「必要な日数や単価等」の詳細が分からないため参考見積書を取得し、それを参考にして設計書を作成します。その場合、参考見積書は、


財務規則

第100条 契約担当職員は、随意契約によろうとするときは、なるべく2人以上の者から見積書を徴さなければならない。



と規定されており、「なるべく複数の業者」から「参考見積書」を取得します。



その理由は、1業者の参考見積書だけでは、見積金額が適正かどうか確認できません。

場合によっては、過大な見積金額になっている可能性もあります。

そこで、2業者以上から参考見積書を取得し、それを参考にして適正な設計金額を設定するのです。

安芸高田市の場合では、以前からさらに厳しく3業者以上から参考見積書を取得するように指導されてきました。



チェック表の13業務のうち6業務の参考見積については、見事なまでにアキタカターンズ1社のみです。

しかも、880万円とか440万円の高額な業務まで、アキタカターンズ1社の参考見積で済ませています。

これでは、参考見積金額が適正な金額であるか、見積もられた業務内容も適正なものか、判断のしようがありません。



この適正であるかどうかの判断もつかない1通の参考見積書(参考見積金額)を、そのまま使って設計書(設計金額及び業務内容)を作成しているのです。



残りの7業務については、担当課で設計書を作成したようになっていますが、業務内容の数量と単価の根拠が全く示されておらず、しかも設計価格がそのまま予定価格になり、予定価格と同額でアキタカターンズが落札していることを見ると、アキタカターンズから何らかの形で参考見積書を取得していた可能性が高いと推測されます。

ひとつの可能性としては、予算編成時に取得した参考見積書を使っている可能性があります。



なお、令和3年8月の成人式動画作成業務は、予定価格と落札価格が異なっていますが、この業務は、市長部局ではなく、教育委員会が所管していることから、起きたものだと考えられます。



3、指名業者等選考委員会


担当課で設計書が出来上がると、「随意契約理由書」を添付した「執行伺い」をします。

ここで、副市長が委員長の「指名業者等選考委員会(以下 選考委員会)」が開催され、「随意契約理由書」に記された随意契約の理由及び指名業者が妥当であるか審査します。

50万円を越える随意業務については、全てこの選考委員会にかけられます。

なお、入札に関わる不祥事は、随意契約において多く見られることから、これまでの検討委員会では、特に厳しく随意契約の妥当性が検討されてきました。


①  参考見積書が3業者以上から取得されているか。2業者以下の場合その理由が妥当か。


② 参考見積書から適正に設計金額の設定がされているか。


③ 入札に3業者以上指名され、その指名が適正であるか。特に、2業者以下の場合その理由が適正であるか。 (次号に続く)