ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ(以下D&D)第5版は絶賛発売中です。しかし今から始めようとする人は迷うかもしれません。「これ何買えばいいの」
充分な金があるならすべて買うべきです。
充分な金がなければスターター・セットから買うべきです。スターター・セットにはこれ一箱でD&Dを1レベル~5レベルまで遊ぶのに必要なものが全部入っています。
ルール(キャラクター・レベル1~5用に、ルールの根幹部分をコンパクトにまとめたもの)とアドベンチャー(他のRPGで言うところのシナリオ。キャラクターたちが挑むべき冒険の舞台と内容、待ちうける恐るべき罠や敵などが記してある)と、ゲームに必要なダイス類と、すぐ使える作成済キャラクターが。
そして実売価格は税込3,000円前後でありまして、これをDMとプレイヤーで割ったりすれば相当安いです。
ちょうど2019年12月から「今スターター・セットを買うとスターター・セット用呪文カード(ウィザード&クレリック用の初級呪文&1レベル呪文を収録)がおまけについてくる」キャンペーンも開催中です。そしてこの呪文カードというのはなかなかべんりなものです。ぜひこの機会にスターター・セットと呪文カードを手にとってみてください。
ダイス類を買い足すのはよい考えです。
(1)なるべく:判定で20面ダイスを2個振ることがあるが、スターター・セットには1個しか入ってないので20面ダイス1個。くわえて、武器や呪文のダメージで複数ロールする機会の多い6面ダイスを追加で2個ほど。を買い足しましょう。
(2)できれば:各自が全種類のダイス一そろい+20面ダイス一つ、を持っておくようにするとゲームがよりスムーズに進むことでしょう。
「PCと敵の位置関係」や「誰が誰と戦っているか」などをあらわす紙や立体のコマがあると、ふんいきがもりあがってよいです。紙のコマはHJウェブサイトのここからダウンロードできます。
スターター・セットには作成済キャラクターが6人入っています。
ヒューマン・ファイター(両手斧)
ヒューマン・ファイター(弓)
ドワーフ・クレリック
ハーフリング・ローグ
エルフ・ウィザード
です。
それぞれのキャラクターの取り回し上の注意はリンク先をごらんください。
なおスターター・セットにキャラクター作成ルールはありません。自分だけのキャラクターを作って遊びたい人は無料配布のプレイヤー用ベーシック・ルールをダウンロードして使うのもありです(スターター・セットのルールはD&D第5版ベーシック・ルールやD&D第5版『プレイヤーズ・ハンドブック』(Player's Handbook、以下PHB)の抜粋版です)。
ただし使う時は必ずダンジョン・マスター(DM)の許可を取った上でのことにしましょう。
スターター・セットでゲームをスタートするために読んでおくべき箇所は一定程度あります。大事なのは“どこから”読むかです。はいここでスターター・セット・ルールブック第1章を見てみましょう。
親切ですねスターター・セット。
その上でちょっと語を補うと、「アドベンチャー・ブックのはじめの数ページ」で特に目を通しておくべきはP.2の『ゲーム中の裁定』です。ここは重要です(まあここが重要だとわかる人はもうゲームに慣れてるという言い方もできるんですが)。慣れてない人はルールを片っ端から頭に入れようとする前にまずここを読んどきましょう。
スターター・セットのルールはほとんどの点が厳密です。言いかえれば、あいまいな点が少し残っています/少し故意に残してあります。
それはつまり、
(1)「敵味方の位置関係をどうあらわすか」と
(2)「イニシアチブをどう管理するか」と
(3)「インスピレーションをどう運用するか」です。
(1)敵味方の位置関係をどうあらわすか:戦闘開始の際の敵味方の距離や位置関係については、付属の地図をもとにDMが適宜説明する必要があります。そこまで重要ではない戦闘ではより単純化して「PCは単に前衛と後衛の2つに分けてください、そしてこれはそこまで重要な戦闘ではないので敵は前衛が全員気絶しない限りは前衛をすり抜けて後衛を殴りはしません」とかでもOKです。
(2)イニシアチブをどう管理するか:単にスターター・セットに書いてある通りに処理しても大丈夫だとは思いますが、もっとくわしい説明はプレイヤー用ベーシック・ルール(もしくはPHB)の第9章にあります。これにかぎらず細かなルール的な部分で疑問が出た場合は、ベーシック・ルールが無料ダウンロードできますので読んでみるとよいです。
(3)インスピレーションをどう運用するか:インスピレーションをどんな時にどれだけ与えるかについては、DM用ベーシック・ルールにはなく、製品版『ダンジョン・マスターズ・ガイド』(Dungeon Master's Guide、以下DMG)第8章にあります。将来的にはDMGを読むべきです。さしあたってはDMGの「おおざっぱに言って、インスピレーションを与える目安は、だいたい1回のセッションにつき、各キャラクターに1回ずつである」という言葉だけ頭に入れておきましょう。
さてあなたはルールブックを読みました。次に、実際のゲームを始める前にアドベンチャー・ブックの内容を事前に読んでおきましょう。それだけでだいぶちがいます。
進めかたにもよりますがこのアドベンチャーの総所要時間は15~30時間程度です。これと1回あたりのプレイ時間を念頭に置いた上で「今回はどこまで読んどけばいいか」を考えましょう。たとえば1回あたりのプレイ時間が4時間なら最初のダンジョンまで読んでおけば大丈夫なはずです。
あとは書いてるままに「読み上げろと書いてあることを読み上げる」だけでだいたい何とかなるので安心していいです。ただし……
……ただしファンダリンの町にはいったあとでやれることが一気にふえてまごつくことはあるかもしれません。プレイヤーとそしてDMが。まあそれまでにはDMもあるていどは慣れてるハズなんですが。
ですから、ファンダリンの町で「次はどこにいこう」という相談に充分時間を取れると大変よいです。しかしこれは人によってはワクワクしますが人によっては困ってしまう事柄に属します。もしみんなが困ってダレてきたら赤印組を乱入させましょう(きっと、これまで一行が町で話をした誰かが、一行のことを赤印組に注進に及んだか赤印組におどされて白状したのです)。そこから赤印組とトレセンダー屋敷に話を持っていけばいいのです。
ファンダリン以後やれることはたくさんありますが、メインの流れは赤印組の屋敷→クラッグモー城です。他は脇道でありある程度とばしてもよいです。ただし「クラッグモー城が大事なので他のクエスト全部無視する」とちょっとこまることになるでしょう。プレイヤーが(PCの経験点が不足のまま強い敵と戦う羽目になるので)。
まあそこは
(1)敵をちょっと弱くしても、
(2)PCの経験点をカサあげしても、
(3)「君たちはまだレベルが足りない」とDMからプレイヤーに真顔で警告しちゃってもいいでしょう。お好みで。
ファンダリン以後には複数のNPCが登場します。そして彼らの中には「PCがルートを選択することではじめて重要になってくるNPC」が多いです。どのNPCも初登場の時はなるべくシンプルに、短い言葉で言い表せるように(例:「人なつこい宿の亭主ストーンヒル」)演出するとよいです。NPCの個性を見せるのはPCがルートを選択してそのNPCが重要になってからでも遅くないのです。
なおDMは、一行がファンダリンに着く前に、前もってキャラクターとプレイヤー(とDMの好み)にあわせて「だいたいこういう流れにしよう」というのを考えておいてもいいかもしれません。作成済キャラクター使用だとこれがヨリやりやすくなります。各キャラクターの背景の中に前もって動機が仕込んであるからですね。
・こちら(注意:外部ウェブサイト:Youtubeへリンクしています)はスターター・セットのアドベンチャーをトレセンダー屋敷まで全6回でプレイする動画です(2020年2月現在第5回まで)。
DMをやる人は見ておくと何かしら得るものがあるかもしれません。そもそも一般論として「自分がDMするアドベンチャーのリプレイ」「自分がDMするアドベンチャーのプレイ動画」はすべて必ず有益です(「おれはこうはすまい」と思った場合もそれはやはり有益なのです)。
・上記の動画では、DMとプレイヤーはそれぞれ遠く離れた場所に存在していながら、コンピューター・ネットワークを経由してD&Dをプレイしています。このようなセッションをオンライン・セッションといいます。
・こちら(注意:外部ウェブサイト:4Gamer.netへリンクしています)は、プレイグループがなかなか現実世界で集まれない場合などのために、D&D第5版のオンライン・セッションを運営するための技術的な手引きです。
スターター・セットを使ってD&Dを遊んでみて、もし面白かったなら、もちろんスターター・セットだけを使ってDMが次々に新しいアドベンチャーを作って遊ぶこともできます。
無料のベーシック・ルールを使えばもっと高いレベルの冒険者ともっとたくさんの強い敵を登場させることもできます。
『プレイヤーズ・ハンドブック』、『モンスター・マニュアル』(Monster Manual、略称MM)、『ダンジョン・マスターズ・ガイド』を、そして豊富な市販アドベンチャーを手に入れれば、冒険は真に無限に広がります。
D&Dの世界へようこそ!
文:桂令夫