少年をプロに変える
「中1の時、学校の友達7〜8人と遊び半分で応募したんですよ。自分でこれがやりたいという強い意志はなかったです」(SMAP・中居)
ジャニーズジュニアに応募してくる少年たちの多くは、小学校の高学年から中学生くらいである。当然、夢と現実の区別がはっきりと付く年齢ではない。現在、アイドルとして一線で活躍しているジャニーズのタレントたちも、最初は漠たる気持ちで事務所の門を叩いている。
光GENJIの内海は「たのきんトリオ」に、TOKIOの松岡は「光GENJIの佐藤敦啓」にそれぞれ憧れて入ったという。世代により憧れのタレントは異なっても、これがもっともポピュラーな受験動機であろう。ジャニーズファンの姉が弟を推薦したというのも、ジュニアへの道としてはよく聞く話である。
少年隊の錦織もそのケースだ。
「僕はまだ小学生だったので、アイドル雑誌を読む年齢にいたってなかったんだけど、姉がその手の雑誌を読んで、勝手に応募したんです。僕は本当は体育の教師になりたかったんです。だからジュニアに入ってもピンと来なかったですね。僕たちの頃は、そういう(アイドルに騒いでいる)時代じゃないもん」
しかし、とジャニーは切り返す。
「実際そうじゃなくても、皆そう言ったりしますよ。男の子だから、照れ隠しで。だって、姉きが行けと言っても、自分が嫌なら来なきゃいいじゃないですか」
いずれにせよ、その時期の少年の考えは移ろいやすいものである。その移ろいやすさを確かなプロ根性へと変えていくのも、ジャニー喜多川の重要な仕事であるはずだ。
水面下で働く激しい「競争原理」
ジャニーズジュニアたちはその一員に認められると、無料で踊りのレッスンを受けられる。他の劇団のように月謝を取らないのは、親の過剰な期待が掛かるのを避けるためでもあるようだ。レッスンは週1回、日曜日に2時間だけ。出席も取らないので、来る意志のあるものだけがレッスンを受ける。
NHKの歌番組用のリハーサルレッスンを取材したが、実際にジャニーは何人来ているのかも把握していなかった。それどころか、ジュニアのメンバーが何人いるのかさえ、彼は知らない。おそらく50〜60人だと言う。自然と来なくなる少年もいるので、正確な人数は分からないそうだ。
当然、そうした自由な環境下では、レッスンをサボる少年もいる。SMAPの中居もその一人だった。
「最初はレッスンに行ったり行かなかったり。真面目に行きだしたのは、中3になって周りの友達が受験勉強のため付き合いが悪くなってからかな。でも、強制的にやれと言われると、逆に反発する時期だから」