ギリシャ危機の教訓
では、これらのミレイ氏の過激な主張が、いま、現実的にアルゼンチンで実行できるかといえば、それは一筋縄ではいかないだろう。
というのは、アルゼンチン議会では新興勢力であるミレイ氏率いる「自由前進」は、上院で8議席、下院で38議席を占めるにすぎないからだ。上院で8/72、下院で38/257なのだ。議会はミレイ氏が求める予算や法律に承認を与えようとしないはずだ。
それでも、一旦はドラスティックな改革を行い、補助金などに安易に頼ることに慣れてしまっている国民意識を徹底的に変えていかないと、この経済的苦境から脱出できないのは間違いない。アルゼンチンがそこまで追い込まれているのは確かだ。
この点で参考になるのはギリシャだ。
ギリシャは痛みを伴う改革を受け入れ、一時はGDPの1/4を失うまでの苦しみを味わいながら、最終的には奇跡の復活を遂げた。ギリシャ危機があった時代が嘘のように、あのギリシャ国債が今では投資適格級として扱われるようになった。この経験からミレイ氏は学ぼうとしているのだろう。