「アルゼンチンのトランプ」ハビエル・ミレイ次期大統領の“過激すぎる主張”から日本が学ぶべきことは何か

朝香 豊 プロフィール

ペロン主義がもたらした経済の5重苦

経済が成長せず、税収も伸びない中で、アルゼンチン政府は政策運営に必要なお金を国内で賄うことができず、外国からドル建てで調達することを余儀なくされた。しかもそれすらも返済できなくなり、アルゼンチンはこれまでも度々デフォルトを起こしてきた。

今回は通貨防衛のために、デリバティブに手を出してアルゼンチン・ペソを買い支えるようなことまでやった。つまりアルゼンチン・ペソを買い支える手持ちの外貨が不足しているため、デリバティブで補おうというとんでもないことまで行ったのだ。

そしてこれが膨大な赤字を生み出しており、外貨準備はゼロどころか、実質的には大幅なマイナスになっていると見られる。

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ペロン主義によって今や経済は5重苦に陥っている。すなわち、経済成長の停滞、激しいインフレ、国家財政の破綻、外貨準備の枯渇、アルゼンチン・ペソの暴落だ。

もはやアルゼンチン・ペソは全く信頼されておらず、アルゼンチ国内においても大口の取引になると、通貨価値が安定しているドルでの決済が当たり前になっている。

ちなみにアルゼンチンのこの10年、1年あたりの平均的な経済成長率は0.3%にとどまり、一人当たり国民所得の成長率は年平均でマイナス0.2%だ。

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