日本人は「超円安」の恐怖がわかっていない! 忍び寄る「通貨危機」への準備はできているのか
東洋経済オンライン / 2023年11月28日 7時30分
こうした通貨の大きな変動は、歴史上しばしば起こる。最近ではトルコの「リラ」やアルゼンチンの「ペソ」が急激な下落を続けている。たとえば、ここ3年弱の相場変動を対ドルベースで見てみると、次のようになる。
<トルコリラ>
・1ドル=5.88リラ(2020年1月10日)
・1ドル=28.67(2023年11月15日)
<アルゼンチンペソ>
・1ドル=59.52ペソ(2020年1月10日)
・1ドル=350.06ペソ(2023年11月15日)
リラは、米ドルが約4.8倍になった勘定になる。NHKが2022年1月17日に「お金の価値が1年で半分に減った国」(国際ニュースナビ)として、トルコリラの暴落を取り上げているが、急激なリラ安の影響で1年前に比べて36%(2021年12月)のインフレに悩まされていると報道している。急激なリラ安はインフレを招き、年金だけでは暮らしていけない状況に陥っている。
アルゼンチンペソも、米ドルが3年で5.88倍になった。同じくNHKがアルゼンチンの過剰なインフレについて2023年9月28日に取り上げているが、両替商の言葉として「1ドル500ペソだったのが、朝起きたら750ペソになっていた」と報道している(おはBiz 5分で分かる経済トレンド)。
ちなみに、日本円は1ドル=109円47銭(2020年1月10日)から、33年振りの円安と言われる152円を突破したとしても、まだ1.38倍。通貨危機にはまだ余裕がある。
アジア、ロシア……、歴史から学ぶ通貨危機
直近の通貨危機以外にも経済の歴史を見ると、意外とその歴史は古く、かつ数十年おきに起きている。簡単に紹介しておこう。
〈アジア通貨危機〉
1997年7月にタイのバーツに起きた通貨の暴落がアジア全体に広がり、その後ロシアや中南米へと伝播したのが「アジア通貨危機」だ。90年代前半、相対的に安く評価されていた米ドルに連動していたアジア通貨だが、90年代後半になって米ドルが高くなり、高く評価されていたアジアの通貨がヘッジファンドなどに狙われた。簡単に、国別にその概要を紹介すると次のようになる。
●タイ……90年代前半に1ドル=25バーツ台だったのが、97年には1ドル=55バーツ近辺まで下落。97年7月以降、バーツの価値は対ドルで2分の1まで下落。通貨危機直後の消費者物価指数は9.2%に上昇、98年の実質経済成長率もマイナス10.5%に落ち込む(物価指数と成長率は、「季刊 国際貿易と投資 Autumn 2003年、『通貨危機後のアジア経済』」より、以下同)ことになる。
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