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世界が英雄を待っている―『エベロン・プレイヤーズ・ガイド』 11月5日(木)発売!

更新情報
第1章:エベロンに生きる
第2章:種族
第3章:クラス New!

はじめに



――「竜の予言」より――


 長く続いた悲惨な戦争が幕をおろした今、世界は未来を見出すべく奮闘している。ふたたび野蛮な闘争状態へと退行し、壮大な滅びによって幕を閉じるのか。それとも、平和と繁栄の新時代がようやく訪れるのか。
 今このとき、世界の命運は一握りの英雄たち―君と君の仲間たち―の手に握られているのかもしれない。
 ドラゴンの奉ずる謎めいた予言に隠された未来が、強力な魔法で錬られ血なまぐさい戦争で鍛えられる世界―それがエベロンである。


重要な事実

 エベロンを唯一無二の世界たらしめている要素は何か? ここでは常に念頭に置いておくべきエベロン世界の鍵となる情報を10数えあげる。
 1.それがD&Dの世界に存在するなら、エベロンにも存在する。エベロンはD&D世界の基本要素を斬新な手法および新奇な組み合わせで用い、そこにエベロン独特の要素をいくらか付け加えた世界である。D&Dの設定の1つには違いないので、D&Dの基本ルールブックやサプリメントに載っているプレイヤー向けの情報であればどんなものでも―『プレイヤーズ・ハンドブック』に載っているクラスや種族から『信仰の書』(近日刊行予定)のようなサプリメントで紹介されているその他の情報まで―、君の卓のダンジョン・マスターが運営するエベロンのキャンペーンに問題なく適合して然るべきである(もちろん、そのキャンペーンにD&Dというゲームのどの要素が適用可でどの要素が適用不可かを最終的に決める権限は常にDMにある)。
 2.基本的な色調。エベロンは伝統的なD&Dでおなじみのスリルに満ちた冒険活劇の要素を残らず取り入れつつも、謎と陰謀のスパイスを強めに効かせてある。エベロン・キャンペーンにおいて物語は常にハッピーエンドを迎えるとは限らず、またあらゆる問題に正しい答えが見つかるとも限らない。最終戦争はかつての盟友を不倶戴天の敵に変えたばかりか、一国をまるまる滅ぼして無残な傷痕を残した。今や大都市という大都市には犯罪と不正がはびこっている。君のあやつるキャラクターの仲間は、瞬く間にてのひらを反すかもしれず、悪の手先として知られるキャラクターが意外なときに助けの手を差し伸べてくれるかもしれない。身をひそめたドラゴンたちが歴史の流れを形づくり、奸悪な魔物どもが騙されやすい人々の夢に影響をおよぼす。現実の境界のすぐ外側には恐ろしい怪物が群れをなしてうごめき、現実と非現実を隔てる壁を破ろうとしている。何によらず、目で見たとおりのものなど、この世界には一つも存在しない。
 3.魔法の普及した世界。エベロンの設定は、科学の進歩を通じてではなく魔法を使いこなすことによって発展した世界を想定している。中世を舞台にした従来のファンタジーにおいては夢見ることすらできない利便性やサービスを、魔法は可能にしてくれる。捕縛されたエレメンタルの力で動くエレメンタル飛空艇、鉄道輸送システム、高速で航行する海洋船舶……。町や都市にエネルギーその他の必要物資を供給しているのは、額に汗して儀式魔術を執行する名もない魔道士たちだ。自動で畑を耕す農具から自我と自由意思をそなえた人造にいたるまで、ありとあらゆる発明は魔法のアイテムを作成する技術の向上によってはじめて可能になった。

 4.冒険に満ちた世界。エアレナルの蒸し暑いジャングルからゼンドリックの巨大遺跡にいたるまで、あるいはシャーンに林立する摩天楼からデーモン荒野に広がる不毛の丘陵や渓谷にいたるまで、エベロンは活劇と冒険の舞台に事欠かない。冒険は君のキャラクターとその仲間たちを新奇な場所から場所へと移動させ、国や大陸はおろか、全世界を股にかけた大旅行にいざなうことができる。たとえば“七の月の鏡”を探し求めるクエストは、砂漠に埋もれた秘密の神殿からシャドウ・マーチの廃城へ、そしてついにはコランベルグ図書館の地下に広がるダンジョンへと君を導くかもしれない。魔法的な移動手段を活用すれば、君のキャラクターは1つの冒険のなかでより遠くまで到達することができ、したがってさまざまな種類のモンスターや試練に立ち向かうことができる。
 5.最終戦争は終わった―はたしてそうだろうか? 今から1世紀以上も前にコーヴェア大陸全土を戦乱状態に陥れた最終戦争は、スローンホールド条約の調印と、かつてのガリファー王国領を分割支配する12カ国が承認されたことで終わりを告げた。このキャンペーンの開始時、少なくとも表向きは、ちょうど1年を越えて平和が保たれた格好になっている。しかしながら、抗争や遺恨、長きに及ぶ戦争がもたらした耐えがたい苦しみといったものは依然として残っているうえ、結局のところ勃発は避けられまいと言われる次の大戦に備えて、新しい国々は他国より少しでも優位に立とうとしのぎを削っている。
 6.竜の予言。長命で何事にも忍耐強いドラゴンたちは、世界や天空に現れる種々のパターンのなかになんらかの意味を読み取ろうとする。これらのパターンは“竜の予言”と呼ばれる将来起るべき出来事の記録であり、天地開闢以来、その内容は必ず成就してきた。
“竜の予言”はドラゴンたち自身に劣らず複雑で測りがたく、破滅的で恐ろしい事件の到来をほのめかしもすれば、素晴らしい出来事を生起させるべく世界を後押しすることもある。どうやら破壊ではなく“変化” を指向しているようではあるものの、大多数の人々にとって“予言” はドラゴンたち自身に負けず劣らず異質でなじみがたいものにとどまっている。
 7.五つ国。コーヴェア大陸に存在する人間主導の諸文明はいずれも、かつて5つの画然たる地域や国から成り立っていたガリファー王国に源流をたどることができる。それら5つの地域とは、アンデール、ブレランド、サイアリ、カルナス、そしてスレインである。そのうち4つは現在も独立国として残っているが、サイアリはこのキャンペーンの開始時点ですでに滅亡して存在しない。サイアリがかつて支配した地域は今や焦土と化し、モーンランド(悲嘆の地)と呼ばれている。コーヴェアの人々のあいだで悪態や感嘆句として広く使われている言い回しに「五つ国にかけて」というのがある(これには異なるヴァージョンがいくつか存在する)。五つ国といえばコーヴェアでは古のガリファー王国を指すのであり、人々が平和と繁栄を謳歌した伝説的な時代を思い起こさせるのである。
 8.陰謀渦巻く世界。戦争が終わった今、コーヴェアの国々は平和と繁栄の新時代を築こうとしている。とはいえ、古くから存在する脅威はいまだ去らず、世界は大義のために立ちあがる英雄たちの登場を切望している。いっぽうコーヴェア諸国はさまざまな面―経済力、政治的影響力、領土、魔法の力―で互いにしのぎを削り、各国は全面戦争を除いたありとあらゆる手段を駆使して現在の地位を保つかあるいは向上させることに余念がない。そんな情勢だから、諜報と破壊活動を請け負うサービスが特定の顧客に重宝され、巨大なビジネスとして成り立つ。ドラゴンマーク氏族、清廉な寺社と堕落した寺社、犯罪組織の首領、モンスターのギャング団、サイオニックのスパイ、秘術大学、国王に仕える騎士やウィザードの集団、秘密結社、悪の黒幕、ドラゴンたち、さまざまな組織や党派……。それらが最終戦争終結後の世界で優位を占めようと権謀術数に血道をあげるエベロンは、まさに抗争と陰謀に満ちみちた世界なのである。
 9.ドラゴンマークの諸王朝。ドラゴンマークを受け継ぐ偉大な血族が、コーヴェア内外の産業と商業を牛耳っている。彼らの影響力は国境を越えて及び、また、最終戦争を通じて彼らはおおむね中立を守った。各氏族の長は厳密にはどの国の市民権も持たず、コーヴェア全土に配置されたエンクレーヴ(活動拠点)やエンポリアム(事業拠点)で豪奢な暮らしを送っている。こうした著名な商家がふるう力の源泉はドラゴンマークである。これは秘術的な性質を帯びた特異な斑紋であり、その氏族の血を受け継ぐ者たちのあいだに不規則に発現する。このマークはその氏族が支配する商業ギルドに関連した、限定的ながらきわめて便利な魔法能力を付与する。ドラゴンマークは定命者の肉体に描かれた“予言” だとする説もあるが、これはドラゴンたちの憤激を買っている。
 10.ドラゴンシャード。古い言い伝えと創世神話は、エベロンを3つの部分から成る世界であると表現している。すなわち、上の円環、下の地下世界、それらに挟まれた大地である。世界を分かつこれら3つの部分はそれぞれ、シベイ、カイバー、エベロンという神話上の偉大なドラゴンに結びつけられている。これら3つの部分はいずれも秘術の力を帯びた鉱石や水晶を産出するが、それらはひと括りにドラゴンシャードと呼ばれる。ドラゴンシャードの助けを借りることで、ドラゴンマーク氏族はよりいっそう力を増す。エレメンタルを飼いならして利用することができるのも、ありとあらゆる種類の魔法のアイテムが作成できるのも、ドラゴンシャードのおかげにほかならない。しかし、ドラゴンシャードは希少でめったに見つからないため高価であり、それを手に入れることがしばしば遠大なクエストや冒険の目的となる。


本書の使いかた

 本書はエベロン独特の趣きと細部を使って『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のキャラクターを作成するのに役立つよう書かれている。『エベロン・プレイヤーズ・ガイド 第4版』は『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の基本ルールとゲーム・システムを踏襲する。したがってD&Dに用意されているほかのキャンペーン世界で作成したキャラクターも、なんら修正を加えずにエベロンで使うことができる。また、本書掲載の新しい種族、クラス、背景、特技を使ってエベロンにしか存在しえないキャラクターを創造することも可能だ。あるいは、複数のキャンペーン世界からいろいろな要素を継ぎはぎしてヒーローを生み出すこともできる。驚異と戦慄と冒険が錯綜するこの複雑な世界に準備万端乗り出せるキャラクターをデザインするのに、『エベロン・プレイヤーズ・ガイド 第4版』は役立つ情報をふんだんに提供してくれるだろう。