2021.09.30
# 労働問題

トンネルの壁から撲殺遺体が…「人柱」として埋められた、労働者たちの「無念」

この惨い犠牲を、忘れてはならない
朝里 樹 プロフィール

実際に常紋トンネルで人柱が立てられた様子を見たという人物の話もある。それによれば、幹部に当たる人間が一人の労働者の頭をスコップで叩き、トンネル内に埋めたという。これを見せしめとして他の労働者を働かせていたのだと語られる。

またトンネルだけでなく、付近の鉄道林にも人々の遺体が埋められていたという話もある。この骨も実際に見つかっており、常紋トンネルの人柱が発見される21年前、1959年(昭和34年)にはトンネル近くに彼らの遺骨を供養するため、歓和地蔵という地蔵が立てられている。

この付近では山菜取りに来た人が穴に落ち、そこで白骨が見つかるなどしており、先述したような「タコの幽霊が出る」という噂が絶えなかった。そのため霊を慰めることを目的として地蔵が建立されたが、この時、地蔵の裏にある空き地を掘った人物によれば2日間で49人もの遺骨が出たという。

人々が語る幽霊譚は、過酷な労働の末に命を奪われた人々の無念を伝説として伝えていたのだろう。

photo by iStock
 

各地に建立された追悼碑

そして1980年(昭和55年)、常紋トンネルのある石狩本線を見下ろす形で「常紋トンネル工事殉難者追悼碑」が建てられた。そこには

「北海道開拓の歴史から葬られてきた人びとの功績を末永く後世に伝え、ふたたび、人間の尊厳がふみにじられることのないよう誓いをあらたにしてこの碑を建立します」

という由来が刻まれている。

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