「マイノリティから考える気候正義プロジェクト」は、2021年にFridays For Future Japanに発足。
気候変動に関する記事や最新情報を掲載
エジプト・COP27に参加!
2022年11月6日から18日にかけて開催された、気候変動に関する国際会議・COP27*に気候正義プロジェクトのメンバーが参加しました。
私たちは、気候危機の最前線で闘う、グローバルサウスの人々との連携を深めることを目標に、今回のCOPに参加しました。というのも、気候危機の最前線、グローバルサウスでは、多国籍企業と強権的な政権が結びつき、環境破壊・人権侵害と闘う活動家たちの声を封じようとしています。
気候正義を求める運動は、ヨーロッパやアメリカといった欧米のものが注目されがちです。しかし、アジアやアフリカ、ラテンアメリカの活動家たちは、気候危機の最前線で声をあげ続けてきました。「私たちは、声なき存在ではありません。声をあげてきたにも関わらず、無視され続けてきたのです。」グローバルサウスの活動家たちは口を揃えてこう言います。
日本による、化石燃料への公的融資は世界最大です。日本国内にとどまらず、日本政府と日本企業は、アジアやアフリカなどのグローバルサウスで多くの化石事業を手掛けています。そして、それら事業の最前線で環境破壊と人権侵害が引き起こされているのです。
例えば、住友商事とJICAがバングラデシュで進める、マタバリ石炭火力発電事業では、すでに2万人の現地住民が、土地や家、職を失っています。そして、この事業に反対した地域住民や活動家は、現地当局から攻撃を受けています。
私たちは、日本企業・日本政府の問題を訴えるために、グローバルサウスの活動家と、COP27の会場で声をあげました。
*Conference of the Partiesの略。国連気候変動枠組条約締約国会議。
気候正義プロジェクトとは
マイノリティから考える気候正義プロジェクトは、2021年の春に、Fridays For Future Japanの有志メンバーで結成しました。気候危機の影響を最も受けるグローバルサウスの人々と共に、企業や富裕層による実際の加害と闘い、「気候正義」の実現を求める運動です。
というのも、グローバルサウスの人々は、気候危機への加担が少ないのにもかかわらず、その被害を最も大きく受けています。例えば、6月から8月にかけて大洪水が起きたパキスタンのCO2排出量は、世界のたった1%にしか満たないにもかかわらず、甚大な被害を受け、さらに経済危機やマラリアの感染拡大など、気候危機の最前線にあるのです。
これまで、気候正義プロジェクトでは、バングラデシュの活動家たちと連携し、住友商事とJICAがバングラデシュで推進する、マタバリ石炭火力発電事業の廃止を求めるキャンペーンを進めてきました。バングラデシュでは、日本の住友商事と国際協力機構(JICA)が、「国際援助」の名のもとに、気候危機の影響を最も受ける国々のひとつである、バングラデシュで石炭火力発電所の建設を進めています。さらに、現地では土地収奪などの被害がすでに起きています。気候正義プロジェクトは、バングラデシュや世界の活動家と共に、住友商事やJICAに抗議を続け、マタバリ事業の拡張事業(フェーズ2)の中止を実現してきました。そして私たちは、すでに建設が始まっている1号機と2号機(フェーズ1)も含め、事業を完全に廃止するよう求めています。
プロジェクトでは、調査(情報収集・ヒアリング)から発信、そして抗議活動まで、10代〜20代の活動家の手でおこなっています。10代〜20代の活動家が、学習や議論を日々おこなっています。
世界のどこからでも参加できます。ぜひ、一緒に活動しませんか?
メンバー紹介
気候正義プロジェクトで活動するメンバーです。
1997年生まれ。ニューヨーク州立大学・オルバニー校卒業(人類学・医療人類学)
トランプ政権下のアメリカで留学中に社会運動に出会う。社会が壊されていく状況に、同世代の若者が下からの運動を組織して企業や政府に抵抗していることを知り、社会運動に参加。
帰国後は、Fridays For Futureで活動。世界の活動家たちと連帯した気候正義運動を進めるために「マイノリティから考える気候正義プロジェクト」を2021年に立ち上げる。バングラデシュの活動家と共に、マタバリ石炭火力発事業の中止を求める国際キャンペーンを進める。
執筆記事:ハフポスト日本版:グレタ・トゥーンベリさん「ドイツ炭鉱で一時拘束」が象徴する、世界の気候運動の“転換期”
メディア掲載:ロイター(英)、taz(独)、ハンギョレ(韓)、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞、ハフポスト日本版、等。
Twitter: @ken_y97
1999年生まれ。大学院修士課程2年生。
気候変動に対する問題意識をもとに、学部時代から環境政策を研究していたなか、米国の若い気候変動活動家たちが出版した本の共同翻訳に関わったことで、社会の力関係を変えるための運動の重要性を知る。
単なる「先進国」内の脱炭素を目的にするのではなく、「途上国」や貧困者、労働者の視点から気候変動問題に取り組みたいと考え、2021年9月から「気候正義プロジェクト」で活動中。これまで、マタバリ石炭火力発電事業への抗議運動をMAPAの活動家と連携して進めてきた。
Twitter:@bridge_dali/Instagram:@dahliahill_fffjapan
1998年生まれ、東北大学農学研究科修士1年(農業経済学)。Fridays For Future Sendai
グローバルに広がる貧困・紛争問題・3.11の原発事故などで社会の一部の人・地域に負担が押し付けられる社会構造に矛盾を感じる。仙台を中心に石炭火力、原発、環境破壊を引き起こすバイオマスやメガソーラーの問題に取り組む。国境を超えた企業の環境破壊に対するムーブメントも必要だと感じ、気候正義プロジェクトでマタバリ石炭火力発電事業への抗議行動に取り組んでいる。
これまで執筆した記事(一部)
・「運動のヌーヴェルヴァーグ : FridaysForFuture(5)「気候変動対策」で破壊される地方」『Kokko 「国」と「公」を現場から問い直す情報誌』vol44
・「運動のヌーヴェルヴァーグ : FridaysForFuture(6)なぜ私たちの闘いはメガソーラー建設を「止める」ことができたのか : これまでの運動の成果とこれからの展望」『Kokko 「国」と「公」を現場から問い直す情報誌』vol46
メディア報道
気候正義プロジェクトについてのメディア報道(一部)です。