「地下化に追いやることが解散命令請求のデメリット」

解散命令による影響はさほど感じなかったと語ったうえで、宗教法人として解散したことで、逆に動きやすくなった面もあったと上祐氏は言う。

『ひかりの輪』 上祐史浩 代表
「一つ目に所轄官庁が無くなる。二つ目に宗教法人法に基づく報告義務がなくなる。三つ目、どれが教団資産かわからなくなるということで経済的・財務的透明性が無くなる。まぁ強い言葉で言うと地下化してしまう

法人格を失うことで口座は誰かの個人名義となり、施設などの不動産も個人名義となるためどれが教団資産かわからなくなる。事実オウム真理教の場合、関連会社が経営する秋葉原のパソコンショップなどで数十億円を売り上げていたが教団との関係性を立証できず被害者救済には当てられなかった。

『ひかりの輪』 上祐史浩 代表
「オウム真理教の場合、破防法は適用されなかったので活動は活発化して、パソコンショップで大金を稼いでも賠償もせず、いろんなところで不動産を取得した。その物件を取った先の地域の住民が不安を覚え…。そこで新たな規制の法律…、機運が盛り上がって解散の4年後の1999年、団体規制法が導入された。そこで資産報告義務とか信徒の名簿を報告するとか新たな規制が出来ました。しかし旧統一教会に同じことが当てはまるかというと別問題かと…」

オウム真理教の賠償責任はアレフが引き継ぎ、10億円を5年かけて支払うことになったが、結局それも現在滞ったままだ。

『ひかりの輪』 上祐史浩 代表
「アレフでも今、賠償が進まないことが問題になってますが、どれがアレフの資産かわかんないんです。“宗教法人アレフ”っていう名義は無いですから。幹部の名義だったり、関連会社だったり…。教団のものか、そうじゃないかわからないから、どう差し押されていいかわからない。(旧統一教会でも)そういう問題が出てくると思います。地下化に追いやることが解散命令請求のデメリットだと思います

そして上祐氏は旧統一教会がいまだに自分たちは「被害者である」という主張をすることで、教団の結束を強化するのではと訝る。なぜならそれはオウム真理教も同じやり方をとったからだという。

『ひかりの輪』 上祐史浩 代表
「今回の(世界平和統一世界連合への)解散命令請求前後で教団は公式見解で『これは日本憲政史上の汚点になる』とまで厳しい批判をしている。つまり『悪いのはそっちだ』みたいな…元々は日本が悪いんだという教団ですから、そこに火が付く可能性はある。教団の中の人にとっては安倍さんの事件の前と後で教団が大きく変わったわけではない。自民党が批判される中で自民党が方針を変えた…外部からの攻撃によって信者が逆に信仰を悪い意味で深めてしまうかもしれない

旧統一教会は信仰=“集金”であり、被害も殆どがお金に関することだ。実際、旧統一教会は日本国内に285か所の教団施設を有する。賃貸物件もあろうが、固定資産税だけでも高額になるだろう。旧統一教会の被害者救済に取り組む阿部克臣弁護士に聞いた。

阿部克臣弁護士
「所有する不動産は我々の調査でもかなり多いのでオウムとは違うと…。固定資産税の負担はかなり大きくなるかと…。(中略~関連団体もオウムより多いが…)教団本体が解散命令を受けても、関連団体を実質的な後継団体として活動は続けていく可能性はあると考えられる…」

税金は厳しくなるが、活動自体は変わらないということか。特に旧統一教会の場合、おおもとは韓国の宗教団体だ。日本で解散命令が出たところで献金システムは何ら変わることはないと語る元教団幹部の一人を取材した。