プロ野球の阪神タイガースとオリックス・バファローズのリーグ優勝を記念したパレードが23日、大阪と神戸の両市で開かれた。パレードは大阪府や兵庫県、関西経済連合会などでつくる実行委員会の主催。今回のパレードを巡っては、来場者の誘導案内などに携わる大阪府・市の職員を「ボランティア」として組織的に「動員」した手法が問題視された。また当初、サブタイトルで「2025年大阪・関西万博500日前!」と銘打つなど、府市が万博のPRも兼ねようとしたことにも批判の声が上がった。

 ◇「万博PR」便乗批判受け自重

 「最初にパレードに『万博』が入ってきた時はげんなりした」

 大阪市の御堂筋で23日、阪神とオリックス両チームのパレードを楽しんでいた訪問看護師の女性(68)は顔をしかめた。

 吉村洋文知事はパレード開催を発表した9月の記者会見で「万博の大きな弾みになる」と力を込め、万博の公式キャラクター「ミャクミャク」も駆け付けた。パレードの実行委員会に日本国際博覧会協会も参加する構想を披露したが、直後からネット交流サービス(SNS)などで「政治利用では」「便乗商法だ」などと批判が続出。

 結局、協会は実行委に入らず、23日のパレードでも万博のアピールは見られなかった。吉村知事はパレード終了後の取材に「万博と切り離すべきだという意見もあった。このにぎわいが1年半後の万博につながればいい」と語った。

 ◇神戸は職務 大阪「手弁当」

 沿道では府市の職員計約2500人が「ボランティア」として参加したが、食費や交通費は自己負担。府は希望者の名簿を部局でとりまとめ、市は部局ごとに集める人数の目安も伝えるなどした。それに対し、約1500人が参加した兵庫県と神戸市の職員はいずれも公務扱いの休日出勤で、待遇の差が浮き彫りになった。

 「部署内で希望者を募ったが目標人数に達せず、やむを得ず参加した」という大阪市の50代男性職員は、取材に「同じイベントなんだから、兵庫県や神戸市と同じ待遇にしてほしかった」とこぼした。府の50代男性職員は「立ちっぱなしか、座って沿道の人が飛び出さないよう柵を押さえていた。7時間近く活動し、どっと疲れが出た。せめて明日、代休が取れれば……」と嘆いた。府職員労働組合の小松康則執行委員長は「万博でも同様の形で職員が駆り出されたら困る。今回の対応を前例とせず、職務として扱うべきだ」と訴えた。

 社会福祉法人「大阪ボランティア協会」(大阪市中央区)は22日に発表した文書で、今回の大阪府・市の取り組みを「ボランティア活動とはまったく性格の異なるもの」と指摘。通常業務の指揮命令系統を利用するなどした募集方法では「ボランティア活動と呼べる取り組みとはなりません」と批判した。【戸田紗友莉、野田樹、井上元宏】