翻訳:北島靖己
翻訳協力:D&D日本語版翻訳チーム
第七回:呪文編(その2)およびその他の質問
Q.ブリンクとディスプレイスメントの失敗確率は累積するのでしょうか?同じタイプのボーナスはほとんど累積しないことはわかっていますが、ブリンク呪文の説明によれば、この呪文は攻撃が命中したときに目標が物理的に存在しないかもしれないために50%失敗確率を与えるものです。ディスプレイスメントも同じく50%の失敗確率を与えますが、これは目標の姿が、実際にある場所から少し離れたところに見えるためです。従って、目標がブリンクとディスプレイスメントの影響下にあるときに攻撃されたなら、DMはそれぞれの呪文から得られた失敗確率を別々に解決する必要があるのでしょうか?
A.視認困難による2つ以上の失敗確率が累積しない(最も高い値を用いる)のはその通りだが、ブリンク呪文は視認困難を利用しているわけではない。ブリンク呪文を使用しているキャラクターが(ディスプレイスメント呪文やブラー呪文やインヴィジビリティや、その他何らかの効果や状況から)視認困難も得ていれば、両方の失敗確率を適用する。失敗確率は累積しない。両方を別々に判定しなければならない。攻撃側がどちらか一方の失敗確率に失敗すれば、攻撃は失敗する。ブリンクの失敗確率を先に判定するのがよいだろう。《無視界戦闘》特技などのようなものはブリンクに対しては効果がないからだ。
Q.シアリング・ライト呪文はスペクターのような非実体クリーチャーに対して、どのように機能するのですか?呪文の説明によれば、太陽光線のような聖なる力の光線を作り出すそうです。スペクターに対して使用する場合、この光線には失敗確率があるのでしょうか?また、スペクターには“太陽光による無力化”の特徴があります。と言うことは、スペクターはシアリング・ライト呪文から追加ダメージを受けるということですか?
A.実体のある術者がスペクターのような非実体クリーチャーに対して呪文を使用した場合、呪文が効果を表さない可能性が50%ある。[力場]の補足説明がある呪文には失敗確率はないが、それ以外の呪文はすべて、説明に特記ない限り、失敗確率がある。シアリング・ライトは[力場]呪文ではないし、呪文の説明にはその効果について装飾的な言葉がならんでいるが、非実体による失敗確率を無視するとの記述は特記されていない。
シアリング・ライト呪文が実際にスペクターに効果を与えた場合、術者レベルごとに1d8(最大10d8)ポイントのダメージを与える。一般的に言って、クリーチャーの説明にどんな種類であれ、太陽光から有害な効果を受けると書かれていれば、そのクリーチャーは太陽光に“特に弱い”と見なされ、シアリング・ライト呪文から高いダメージを受ける。スペクターは“太陽光による無力化”の特徴があるため、これに当てはまる。
実際の太陽光による“無力化”効果は、非実体のアンデッドに対して失敗確率がないことも指摘しておいて損はないだろう。従って、太陽の下に出てきたスペクターは自動的に“無力化”される。
Q.シールド呪文は術者を“(術者自身を中心に見た)戦場のどちらか半分からの攻撃”から守るとあります。ゲーム上ではどのように働くのでしょうか?
A.この効果はタワー・シールドの効果に似ているが、この呪文は術者の攻撃を妨げず、術者がもっと広い範囲からの攻撃から守られるところが違う。
シールド呪文の術者があるマスに立っているところを考えてみれば、この呪文の効果は術者のいるマスの4つの辺のうち1つに沿って置くことができ、左右に無限に伸びる。この呪文は、この線を横切るすべての攻撃に対して遮蔽を与える。この呪文の効果は斜めに置くこともでき、そうすると術者のいるマスの2辺を遮蔽する。この場合は両側に階段状に伸びてゆく。
Q.2つのシールド呪文を発動し、戦場のどこからの攻撃に対しても遮蔽ボーナスを得られるようにすることができますか?
A.できない。この呪文の“目標”は“術者”であり、術者がこの呪文を発動すると、防御に使用できる[力場]の円盤を得る。同じ呪文をもう一度発動しても、防御に使用できる[力場]の円盤の枚数が増えることはない。
Q.ストーンスキン呪文で、毒を受けずにすませることができますか?たとえば、私がストーンスキン呪文を使っているときにモンストラス・スコーピオンに針で刺されたとします。呪文のダメージ減少のおかげでダメージを受けなかった場合でも、針攻撃から毒を受けるのでしょうか?
A.何によるものであれ、ダメージ減少で攻撃からのダメージが完全に無効化された場合、その攻撃に伴うほとんどの特殊効果も無効化される。こうした特殊効果としては、致傷型の毒(スコーピオンの毒はこれにあたる)、モンクの朦朧化攻撃、致傷型の病気などが挙げられる。ダメージ減少では、接触攻撃、攻撃とともに与えられるエネルギー・ダメージ(ファイアー・エレメンタルからの[火]ダメージなど)、生命力吸収などは無効化できない。また、吸入型、摂取型、接触型の毒や病気にも効果はない。詳しくは『ダンジョン・マスターズ・ガイド』第3章の『ダメージ減少』を参照。
Q.私のキャラクターがスリープ呪文を発動する場合、誰に効果を及ぼすかを決められますか?たとえば、呪文の効果範囲内に味方のキャラクターがいた場合、敵だけに効果を及ぼすようにすることができるのでしょうか?そもそも、私は自分のキャラクターの発動した呪文が誰に効果を与え、誰に与えないかを決めることができるのでしょうか?呪文の説明には特にそのような記述はありませんが、術者が敵にだけ効果を与えようとすることができるかどうか、判断する方法はあるのですか?
A.スリープ呪文は半径15フィートの爆発内のクリーチャー2d4ヒット・ダイス分に影響を及ぼす。ヒット・ダイスが高いクリーチャーより、低いクリーチャーの方が先に影響を受ける。術者は範囲の中に味方が入らないように“爆発”を配置することはできるが、術者が誰に効果を及ぼすか制御できるのはそこまでだ。
術者が呪文の狙いをどこまで制御できるか知るには、まず呪文のデータを見ることだ。その呪文に“効果”か“効果範囲”の項目があれば、その呪文は効果範囲内のクリーチャーに効果を及ぼし、術者は効果や起点を選ぶ以外、誰に呪文の効果を及ぼすかを制御することはできない。 呪文に“目標”の項目があれば、術者は通常、誰がその呪文の効果を受けるのかを決めることができる(『プレイヤーズ・ハンドブック』P.148~149を参照)が、“目標”の項を注意深く読んでおく必要がある。時に、目標について、術者が制御できないことが特記されているからだ。たとえば、テレポート呪文は術者と、術者が接触しているすべての物体と同意するクリーチャーを目標としている。テレポートの術者が何かに触れば、その何かは自動的にこの呪文の対象となる。ただし、その“何か”がクリーチャーであって、その旅をすることに同意していないならば別だ。
Q.ゾンビにスロー呪文をかけたらどうなりますか?特に知りたいのは、もともと毎ラウンド、部分アクションしかとれないクリーチャーに魔法の減速効果が加わった場合、どう扱うかです。
A.スロー呪文の影響下にあるゾンビは部分アクションしかとれず、アーマー・クラスに-2のペナルティを受ける。これはスロー呪文の対象となったほかのすべてのクリーチャーと同様だ。
Q.キャラクターがチル・タッチを発動すると、術者の手は青く光り、その手で接触攻撃に成功すれば、ヒット・ポイントへのダメージと【筋力】ダメージを与えることができます。キャラクターはチル・タッチの効果を働かせたまま、もう一方の手で武器を使うことはできますか?できるとすれば、それは2つの武器で戦う際の通常のペナルティを受けますか?
A.チル・タッチは、術者レベルごとに1チャージであることを除けば、チャージを保持することに関するすべてのルールに従う。君が自分の手で何かに接触するたび、君はチル・タッチのチャージ1回分を失うが、君がこの呪文の発動時にすでに手に持っていた物は、“接触したもの”には含まれない。君は同時に2つのチル・タッチ呪文を働かせておくことはできない。と言うのも、チャージを保持している最中に呪文を発動すれば、保持されていた呪文は完全に消え失せてしまうからだ。
以上の点を除けば、君は実際に、チル・タッチ効果を帯びた手を武器として扱うことができる。2つの武器で戦うルールを使う際には、君自身の手は君にとって“軽い武器”として扱われる。
Q.ディサーン・ロケーション呪文を使っている者は、マインド・ブランク呪文を使っている者を見つけられますか?
A.見つけられない。ディサーン・ロケーション呪文の説明には、念視や占術を妨害する効果を打ち破るこの呪文の能力について、かなり強い言葉が並んでいるが、D&Dにおける一般ルールでは攻撃より防御を重んじており、従って、マインド・ブランクの念視やあらゆる種類の占術を妨害する能力のほうが、ディサーン・ロケーションのそうした防御を打ち破る能力を上回っている。しかし、7レベル以下の妨害呪文はディサーン・ロケーションには効かない。
Q.ディセクレイト呪文の説明によると、“呪文の効果範囲内でアンデッド退散のために行なわれるすべての【魅力】判定は-3の不浄ペナルティを被る”とあります。このペナルティは退散ダメージ(2d6+レベル+【魅力】修正値)にも適用されますか?それとも、退散判定ロールだけですか?
A.退散判定だけに適用される。退散ダメージ・ロールは【魅力】修正値の対象ではあるが、これは“【魅力】判定”ではない。一方、退散判定は“【魅力】判定”であり、ペナルティの対象となる。
Q.私たちの仲間が石化してしまいました。私たちは彼を危険なところから運び出すのにテレポート呪文を使いたいと思っています。彼の体重は増えていますか?それとも変わりませんか?増えているとしたら、どのくらいでしょう?
A.石は確かに肉より重い。大ざっぱな計算として、石化したキャラクターは通常時の約2.5倍の重さがある。
Q.1レベルのウィザード/ソーサラー呪文であるトゥルー・ストライク は、使用者の次の攻撃に+20の攻撃ボーナスを与えますが、呪文の持続時間である1ラウンドの間だけです。第一に、+20というのは正しいのですか?たとえ、ただ一度の攻撃だとしても、+20は1レベル呪文にしては大きすぎるボーナスのように思えます。また、私がイニシアチブについて正しく理解しているとすれば、この呪文は次のラウンドの自分のイニシアチブで切れてしまいます。だとすれば、その攻撃にこのボーナスを得ることはできるのでしょうか?たとえば、30フィートの移動速度で移動してトゥルー・ストライク (1アクション呪文)を発動したウィザードがいたとすると、次のラウンドにさらに30フィート移動して、敵をダガーで刺す際に+20の攻撃ボーナスは得られるのでしょうか?
A.トゥルー・ストライク は術者の次の攻撃に+20のボーナスを与える。
D&Dでは、“ラウンド”は君のターンに始まって、再び君のターンになった時に終わる。トゥルー・ストライク の場合、この呪文は君が1回攻撃するか、1ラウンドが過ぎるまで持続する。この呪文を発動した次のラウンドまでに術者が攻撃できなかったなら、次のラウンドにおける術者の最初のアクションは攻撃でなければならない。さもなければ、術者はこの呪文の利益を失ってしまう。君の例のキャラクターがこの呪文の利益を得たければ、呪文を発動した次のラウンドで、移動の前に攻撃しなければならない。
Q.トゥルー・ストライク呪文を使って、クリティカル可能状態となった場合、クリティカルになったかどうか確認するロールにも+20のボーナスは適用されますか?《薙ぎ払い》や《薙ぎ払い強化》、《大旋風》特技で得られる追加攻撃に+20のボーナスは適用されますか?
A.クリティカルになったかどうか確認するロールを行なう際には、クリティカル可能状態となった攻撃ロールに適用されていたすべてのボーナスを使用する。このとき、それらのボーナスがどこから来たかは関係ない。 トゥルー・ストライク は1回の攻撃にのみ影響する(この場合、クリティカルになったかどうかを確認するロールは、“別の攻撃”ではない)。術者が1ラウンドに複数回攻撃を行なう場合、トゥルー・ストライク からのボーナスは術者が行なう最初の攻撃に対してのみ適用される。これは術者がどのようにして複数回攻撃できるようになったのかには関係がない。
Q.ビグビーズ・フォースフル・ハンド 呪文が敵を突き飛ばした場合、その敵はフォースフル・ハンド に対して機会攻撃を行なえますか?ビグビーズ・グラスピング・ハンド は敵に組みつく際に機会攻撃を誘発しますか?
A.どちらも誘発しない。移動する呪文効果は、その説明に“機会攻撃を誘発する”と書かれていなければ、行動あるいは移動する際に機会攻撃を誘発することはない。たとえ、その効果に対して、クリーチャーであるかのように攻撃を行なうことが可能だとしてもだ。
Q.クリーチャーは水中をフライで“飛行”できますか?普通の鳥が水中を飛行するなんて聞いたことがありません。これに関するルールはどうなっていますか?もしそんなことができるとしたら、移動に対するペナルティや機動性はどうなのでしょう?
A.水に入ったなら、飛行クリーチャーもほかのクリーチャーと同様に泳がなければならない。フライ 呪文を使えば、君の通常の飛行速度で泳ぐことができるが、ほかの泳ぎ手と同じ機動性(完璧)となる。非実体のクリーチャーも同じ方法で飛行/水泳することができる(彼らはほかの物質の中を移動するのと同じようにやすやすと、水中も移動できる)。ガス化形態のクリーチャーは水に入れないことに注意。
Q.ブレス・ウェポン 呪文の説明によると、“この武器は悪の属性を持つクリーチャーのダメージ減少を無効化し、悪の属性を持つ非実体クリーチャーに対して+1強化ボーナスがあるかのように打撃を与えることができる”とあります。これは、“ダメージ減少を無効化し”、“悪の属性を持つ非実体クリーチャーに対して+1であるかのように打撃を与える”のでしょうか?それとも、+1であるかのように“ダメージ減少を無効化し、悪の属性を持つ非実体クリーチャーに対して打撃を与える”のでしょうか? つまり、“+1強化ボーナスがあるかのように”という文言は文全体にかかるのでしょうか? それとも、後半の部分だけにかかるのでしょうか?この呪文がかかった武器は実際に+1強化ボーナスを得るのでしょうか?
A.その文言は文全体にかかる。武器が強化ボーナスを得ることはない。ダメージ減少を持つ悪のクリーチャーや非実体の悪のクリーチャーに対して使用された時に、そうであるかのように働くだけだ。
“ダメージ減少を持つ悪の属性のクリーチャーに命中した場合と、悪の属性を持つ非実体クリーチャーに命中した場合、この武器は+1の強化ボーナスを持っているかのように働く”としたほうがわかりやすいかもしれない。
Q.プロテクション・フロム・イーヴル 呪文の第2の機能は、守っているクリーチャーに憑依しようとしたり、あるいは精神的支配を及ぼそうとするすべての試みを遮断します。正確にはどんなものが“精神的支配”と見なされるのですか?
A.“精神的支配”には、アニマル・フレンドシップ、チャーム・パースン、チャーム・モンスター などの、心術系統の(魅惑)副系統に属するすべての呪文が含まれる。術者が対象に継続的な支配を及ぼせるようなものであれば、心術系統の(強制)副系統に属する呪文のいくつかも含まれる。その種の呪文には、ドミネイト・パースン やドミネイト・モンスター などが含まれる。この呪文の効果は、発生した時点での対象の行動を指図するだけの(強制)呪文は遮断されない。その種の呪文には、インサニティ、オットーズ・イレジスティブル・ダンス、ギアス/クエスト、コマンド、サジェスチョン、ゾーン・オヴ・トゥルース、ヒプノティズム、ホールド・パースン、ランダム・アクション などが含まれる。
Q.キャラクターがヘイスト 呪文をかけてもらった場合、自分のターンに追加の部分アクションが得られます。“ターン中に1回”と制限されている移動オプションはターン全体に対して適用されるのでしょうか?それとも、“アクションごと”と解釈すべきなのでしょうか?たとえば、加速状態のキャラクターは以下のようなことができますか?
●標準アクションで移動し、次に5フィート・ステップして部分アクションで攻撃できる(表8-3にあるように)?
●移動の最初のマスで機会攻撃を誘発せずに2倍移動し、次に部分アクションで攻撃できる?
●標準アクションで突撃し、次に部分アクションで別の方向へ移動できる?
A.どれも駄目だ。ヘイスト によって、毎ラウンド、追加部分アクションを得ることができる。ただし、それ以外でルールを破ることはできず、ターンの間に“追加ラウンド”が得られるわけではない。
自分のターンの間に移動したなら、ヘイスト があろうが、5フィート・ステップは行なえない。
自分のターン開始時に敵の機会攻撃範囲にいてそこを離れたなら、ヘイスト があろうが、そのターンの間に移動以外のことをしてしまえば、離れた時点で機械攻撃を誘発する。
突撃するなら、ヘイスト があろうが、そのラウンド中の移動はすべて直線上を同じ方向へ移動するものでなければならない。
Q.距離が“自身”の呪文を自分にかけ、その後、マジック・ジャーを使って他人の肉体を奪ったらどうなりますか? マジック・ジャーで他人の肉体を奪った後に、距離が“自身”の呪文を発動したらどうですか?
A.距離が“自身”の呪文は君についてゆく。君がマジック・ジャー で他人の肉体を奪ったなら、肉体を奪う前に使っていた距離が“自身”の呪文はすべて、君についてゆき、君は奪った肉体においても、それを使い続けることができる。君がその肉体を離れれば、距離が“自身”の呪文効果はすべて君についてゆく。君がその肉体を奪っている間に発動した呪文もすべて含まれる。
Q.ミラー・イメージ 呪文の使用中にファイアーボール をくらったら、私の幻は全部消えてしまいますか?『プレイヤーズ・ハンドブック』の記述によれば生き残るように思えますが、効果範囲ダメージで一掃されてしまわないでしょうか?
A.効果範囲型呪文がミラー・イメージ 呪文で作り出された虚像を破壊することはないが、目標型呪文は破壊する。呪文が“目標型”かどうかは、呪文のデータを見れば判る。“目標”の項目があれば、その呪文は目標型だ。“効果”の項目があり、その効果が敵に命中させるために近接攻撃か遠隔攻撃の必要な光線か何かであれば、それも“目標型”だ。これには、メルフス・アシッド・アロー 呪文で作り出される酸の矢や、フレイム・ブレード 呪文の炎の刃などがある。
Q.魔法の武器を持っていないローグがダメージ減少20/+2を持つモンスターに対して急所攻撃をしたとすると、その攻撃はどう解決すればよいのですか?命中したらダメージをロールし、急所攻撃によるボーナス・ダメージを加え、その合計をダメージ減少と比較するのでしょうか?それとも、基本となる攻撃のダメージがダメージ減少を超えないかぎり、急所攻撃は発生しないのでしょうか?『ダンジョン・マスターズ・ガイド』によれば、フレイミング・ウェポン の[火]ダメージのように魔法的なものでなかったり、特殊効果を及ぼす攻撃のダメージがダメージ減少を超えなかったりすれば、遠隔攻撃や近接攻撃による特殊効果は適用されないとあります。では、急所攻撃も特殊効果なのですか?
A.急所攻撃はボーナス・ダメージを及ぼすものであり、特殊効果を及ぼすものではない。急所攻撃では、ボーナス・ダメージをロールして基本のダメージに加算し、それをダメージ減少と比較する。たとえば、ローグがダメージ減少20/+2を持つ敵に対して、魔法の力のないショート・ソードで攻撃して6ポイント・ダメージが出たなら、それはダメージ減少にすべて阻まれてしまう。同じローグが急所攻撃を行なって25ポイントのダメージをたたき出したなら、5ポイントがダメージ減少を抜ける。
同じローグが同じ敵を、毒を塗ったショート・ソードで攻撃して6ポイントのダメージが出た場合、その敵はダメージを受けず、ダメージ減少がダメージをすべて止めてしまったため、その敵が毒の効果を受けることはない。同じローグが同じ敵を、毒を塗ったショート・ソードで急所攻撃して25ポイントのダメージが出た場合、敵には5ポイントのダメージが行き、敵は毒に対するセーヴを行なわねばならないだろう。
Q.キャラクターは1日に何ポイントの一時的能力値ダメージを回復することができますか?私のキャラクターが数体のシャドウと戦い、その後に何回か毒をくらったとします。このキャラクターは【筋力】ダメージを4ポイント、【耐久力】ダメージを3ポイント、【判断力】ダメージを1ポイント受けました。このキャラクターは1日に1ポイントの能力値ダメージを回復します。では、このキャラクターの能力値は1日後にはどうなっているのでしょうか?私のキャラクターがベッドに入って休むことができ、能力値を2ポイント回復すれば、どうなるでしょうか?
A.軽易な活動しかせずに(戦闘も呪文の発動もなしで)1日過ごせば、そのキャラクターはダメージを受けた能力値をそれぞれ1ポイントずつ回復する。ベッドで休んで1日過ごせば、そのキャラクターはダメージを受けた能力値をそれぞれ2ポイントずつ回復する。
Q.麻痺状態の人物が水に沈んだら、その人物は溺れないように自分から息を止めることができますか?
A.できる。麻痺状態のクリーチャーは移動したり、肉体的なアクションをとることができないが、息を止めることは、ルール上では肉体的なアクションではない。
Q.恐怖状態や戦慄状態のキャラクターのヒット・ポイントがマイナスの値になり、再びプラスの値に回復した場合でも、恐怖の効果は残りますか?
A.残る。意識を失ったからといって、恐怖効果が解けるわけではない。
Q.死んで生き返ったものは直ちに経験レベルを失うか、1レベルであれば【耐久力】を1ポイント失うとありますが、マルチクラスのキャラクター(たとえば、5レベル・ファイター/4レベル・ウィザード)が死から蘇った場合、そのキャラクターはどのレベルを失うか、選ぶことができますか?それとも、そのキャラクターが得ているもっとも高いレベルを失うのでしょうか?レベル低下によってレベル差が2以上になったなら、直ちに-20%の経験点を失うことになるのでしょうか?
A.君はもっとも高いクラス・レベルを失う。キャラクターのクラス・レベルの差は小さくなるはずなので、経験点ペナルティはむしろ、なくなる可能性がある。
これによって、元パラディンのようなキャラクターが、もはやクラス能力が使えなくなっているようなクラスのレベルを失うことも有り得る。このような場合でも、レベル低下はそれ以外の場合のレベル低下とまったく同様だ(ヒット・ポイント、技能、セーヴ、攻撃ボーナス、その他のレベルによる利益は、レベルが下がった分に従って低下する)。ほとんどの場合、そのキャラクターは経験点を得ることで失ったクラス・レベルを取り戻すことはできない(クラス・レベルを得るためには、そのクラスになるための必要条件を満たさねばならない)が、他のクラスのレベルをとることはできるだろう。
Q.技能ポイントや特技を得た時、直ちにポイントを消費したり、特技を選んだりしなくてはなりませんか?技能ポイントや特技数を貯めておく方法はありませんか?
A.君は得たらすぐに、技能ポイントを消費したり、特技を選んだりしなくてはならない。
とは言え、DMはこのことをさほど厳しく適用しなくてもよい。君がキャンペーンを運営していて、プレイヤーの1人がすぐには決心できないという場合、少しばかり待たせてもよい。とは言え、そのキャラクターがそのさらに次のレベルに上がるまでには、技能ポイントを消費したり、特技を選んだりさせること。そのプレイヤーが技能ポイントを消費したり、特技を選んだりするまでは、レベルアップの利益を与えなければよいのだ。
Q.クリーチャーは荷物を負うと(中荷重や重荷重を運搬していると)移動力が下がるようです。しかし、移動力低下はどういう式で求めているのですか?負荷時の移動力低下は、クリーチャーの区域移動や野外移動の速度にどのように影響しますか?
A.負荷時の移動については、『プレイヤーズ・ハンドブック』P.142の表9-2に説明がある。クリーチャーの負荷時の移動力については、基本移動速度が20フィートと30フィートのものについて示した表9-2の数値と比較することで計算することができる。それ以外のクリーチャーの負荷時の移動速度を求めるためには、遅いクリーチャーの数値を足し合わせるだけでよい。たとえば、移動速度が60フィートのクリーチャーは移動速度が30フィートのクリーチャーの2倍の速度で移動する。従って、負荷時の移動速度は40フィートとなる。一般的な負荷時の移動速度の一覧を表に示した。区域移動や野外移動の際の移動速度を求めるにも、同じ方法が使用できる。一般的な区域移動と野外移動の移動速度の一覧を同じ表に示した。
速度表 | ||||||||||||
基本移動速度 | 100 | 90 | 80 | 70 | 60 | 50 | 40 | 30 | 20 | 15 | 10 | 5 |
負荷時移動 | 70 | 65 | 60 | 50 | 40 | 35 | 30 | 20 | 15 | 10 | 5 | 5 |
1分(区域移動) | ||||||||||||
現在速度* | 100 | 90 | 80 | 70 | 60 | 50 | 40 | 30 | 20 | 15 | 10 | 5 |
歩行 | 1,000 | 900 | 800 | 700 | 600 | 500 | 400 | 300 | 200 | 150 | 100 | 50 |
走行 | 2,000 | 1,800 | 1,600 | 1,400 | 1,200 | 1,000 | 800 | 600 | 400 | 300 | 200 | 100 |
疾走(×3) | 3,000 | 2,700 | 2,400 | 2,100 | 1,800 | 1,500 | 1,200 | 900 | 600 | 450 | 300 | 150 |
疾走(×4) | 4,000 | 3,600 | 3,200 | 2,800 | 2,400 | 2,000 | 1,600 | 1,200 | 800 | 600 | 400 | 200 |
1時間(野外移動)** | ||||||||||||
現在速度* | 100 | 90 | 80 | 70 | 60 | 50 | 40 | 30 | 20 | 15 | 10 | 5 |
歩行 | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1.5 | 1 | 0.5 |
走行 | 20 | 18 | 16 | 14 | 12 | 10 | 8 | 6 | 4 | 3 | 2 | 1 |
1日(野外移動) | ||||||||||||
現在速度* | 100 | 90 | 80 | 70 | 60 | 50 | 40 | 30 | 20 | 15 | 10 | 5 |
歩行 | 80 | 72 | 64 | 56 | 48 | 40 | 32 | 24 | 16 | 12 | 8 | 4 |
*そのクリーチャーに適用される通常移動速度あるいは負荷時移動速度を使用すること。 | ||||||||||||
**野外移動はマイル単位。 |