翻訳:北島靖己
翻訳協力:D&D日本語版翻訳チーム
第四回:装備および魔法のアイテム編
Q.『プレイヤーズ・ハンドブック』によれば、ヘヴィ・クロスボウを装填するには全ラウンド・アクションが必要だとあります。しかし、《速射》の特技の説明によれば、遠隔武器で1ラウンドに1回の追加攻撃を得られるとなっています。ということは、ヘヴィ・クロスボウで1ラウンドに2回射撃することができるのですか?そうだとすれば、ヘヴィ・クロスボウを装填するのに1全ラウンドを消費しなければなりませんか?それとも次のターンにもまた2発撃てますか?
A.2回以上攻撃をしたければ、全力攻撃アクションを使用しなければならない。クロスボウを装填するにはアクションを必要とするため、クロスボウで全力攻撃を行なうことはできず、従って、ハンド・クロスボウ、ライト・クロスボウ、ヘヴィ・クロスボウを使用する際に《速射》を利用することはできない。
全力攻撃アクションを使用して、リピーティング・クロスボウで複数回攻撃を行なうことはできる。君が攻撃しようとしている回数と同じかそれ以上の本数のボルトが込められているなら、リピーティング・クロスボウで《速射》の特技を利用できる。
『Sword and Fist(未訳)』所載の《Rapid Reload》(「高速装填」の意)の特技を持っていれば、ハンド・クロスボウやライト・クロスボウの装填をフリー・アクションとして行なうことができるため、全力攻撃アクションによって《速射》を利用することができる。
Q.シュリケンを3個使って攻撃する場合、3回ロールしなければなりませんか?それとも1回だけでよいのですか?3回ロールしなければならないのなら、2回目と3回目の攻撃にはペナルティが付きますか?1回だけロールすればよいのなら、シュリケンを1個や2個で投げる意味はないのでは?
A.シュリケンを3個投げる場合、それぞれのシュリケンについて1回ずつ別々に攻撃ロールを行なうこと。ただし、これは1回の攻撃と見なされる(従って、3つまでのシュリケンを一度に投げる場合、全力攻撃を使用する必要はない)。2個目と3個目のシュリケンに攻撃ペナルティは付かない。
また、1ラウンドに複数回攻撃できるなら、4つ以上のシュリケンを投げることもできる。ただし、《早抜き》の特技がないなら、シュリケンを取り出すのにアクションが必要になり、1ラウンドにできる攻撃は1回となってしまう。
目標から30フィート以内にいる場合、急所攻撃による追加ダメージ、レンジャーの得意な敵への追加ダメージ、《武器開眼:シュリケン》によるボーナス・ダメージはいずれも適用されるが、これも、1回の攻撃で投げたシュリケンのうち、最初の1つにしか適用されない。
Q.ガントレットおよびスパイクト・ガントレットは武器と見なされるのですか?モンクはガントレットを両手に装備しても素手攻撃ボーナスで攻撃を行ない、素手攻撃ダメージを与えることができますか?朦朧化攻撃のように素手打撃を命中させることが必要なクラス能力を、ガントレットを両手に装備した状態で使用できますか?ガントレットを両手に装備したモンクはどれだけのダメージを与えますか?ガントレットに(+2などの)強化ボーナスや(フレイミング・バーストなどの)特殊能力がついていた場合、そのガントレットを装備しているモンクはそれを利用できますか?そもそも、ガントレットに強化ボーナスや武器の特殊能力を持たせられるのですか?
A.ガントレットもスパイクト・ガントレットも両方とも武器だ(だからこそ、『プレイヤーズ・ハンドブック』の表7-4に挙げられているのだ)。ガントレットもスパイクト・ガントレットも、他の武器と同様、魔法強化することができる。
モンクでないキャラクターはガントレットを装備しても“武装していない”と見なされる(従って、武装した敵を攻撃すれば機会攻撃を誘発する)が、モンクがガントレットを装備すれば、それは武器を使用していることになる。武器を使用していれば、モンクは素手攻撃特殊能力(素手攻撃ダメージ、朦朧化攻撃など)を一切使用できない。特殊なモンク用の武器を使用すれば、モンクは素手攻撃ボーナスを使用できるが、ガントレットは“特殊なモンク用の武器”には含まれていない。ガントレットを装備したモンクがそのガントレットで武装している敵を攻撃しても、機会攻撃は誘発しない。モンクがガントレットで与えるダメージは、同じサイズのどのキャラクターとも同じだ(中型サイズのキャラクターなら1d3ポイント)。ガントレットに魔法の能力があれば、モンクはそれが何であろうと利用できる。
スパイクト・ガントレットで攻撃する場合、モンクであろうとなかろうと、武器による攻撃を行なったと見なされる。通常ダメージを与え、武装した敵からの機会攻撃を誘発しない。
Q.ショックの特殊能力で強化された+1ショート・ソード (市価計算時には合計で+2相当と見なされる)はクリーチャーのダメージ減少15/+2を打ち破ることはできますか?
A.できない。魔法による強化ボーナスの実際の値だけが、攻撃とダメージに適用される。ダメージ減少を打ち破れるかどうか判断する際には、この例の武器は+1の武器と見なされる。
Q.+2マイティ・コンポジット・ロングボウ (【筋力】14)を持っていたとすれば、このボウの+2強化ボーナスと【筋力】ボーナスは累積しますか?それは攻撃ロールとダメージ・ロールの両方に適用されるのですか?
A.君がどんな遠隔武器を使おうとも、【筋力】ボーナスは遠隔攻撃ロールには適用されない。【筋力】ボーナスは投擲武器によるダメージと、マイティ・ボウによるダメージに適用される。
マイティ・ボウの強化ボーナスはそのボウで射たすべてのアローによるダメージに適用され、そのボウの上限(この例の場合、+2)までならば、君の【筋力】ボーナスとも累積する。ひとつ気をつけてほしいことは、マイティ・ボウは【筋力】ボーナスを提供したりはせず、ただ君が自分の【筋力】ボーナスを使えるようにしてくれるだけだということだ。従って、ダメージにマイティ・ボウの+2【筋力】ボーナスを得るためには、君の【筋力】値が14以上なければならない。
一般的に、同じものに効果のある、種類の異なる複数のボーナスは累積する。【筋力】ボーナスや他の能力値のボーナスは“魔法の”ボーナスではないが、ほかのボーナスにも適用される同じ累積ルールに従う。
Q.利き手でない手に投擲武器をいくつか持っておくことで、武器を抜くためにアクションを使用しないでいいようにすることはできませんか?できるとするなら、小型サイズや中型サイズのキャラクターは、利き手でない手にいくつのハーフリング・スキップロック(やダガーやシュリケンやダーツやブリットなど)を“抜いた状態”で持っておくことができますか?
A.投擲武器をいくつか片手に持っておくことで、ことさらに武器を抜くためのアクションをせずに投げられるよう準備しておくことができる。
ブリットは矢弾なので、“抜く”必要はない。君が挙げたほかの武器はいずれも投擲武器であり、“抜く”必要がある(ただしハーフリング・スキップロックはスリングの矢弾としても使用できる)。以下の表を参照のこと:
武器のサイズ* | 持てる数 | 細い柄を持つ武器の追加分** |
1段階大きい | 1 | ― |
同サイズ | 1 | +2 |
1段階小さい | 2 | +2 |
2段階以上小さい | 3 | +2 |
*キャラクターのサイズと比較して | ||
**スピア、ジャヴェリン、ダーツなど、かなり細い柄を持つ武器の場合。 アックスなどかなり太い柄を持つ武器は含まれない。 |
Q.ポケットの中に一緒に投げることのできる武器を複数入れていた場合、1回の移動相当アクションである武器を抜くアクションによって(あるいは《早抜き》があればフリー・アクションで)同時に何個かをつかみ出すことはできますか?
A.複数の武器を手に構えるのは全ラウンド・アクションだ。
Q.サン・ブレード は負のエネルギー界のクリーチャーに対しては2倍ダメージを与えます(クリティカル時のダメージは×2ではなく×3になります)。と言うことは、アンデッドに対してもクリティカル・ヒットできるということです。そうですよね?そうだとすれば、このソードを使ったローグはアンデッド・クリーチャーに対して急所攻撃ができるようになりますか?レンジャーはアンデッド・クリーチャーに得意な敵のボーナスを使用できるようになりますか?また、2倍のダメージを与える場合、何がどうやって2倍になるのでしょう?ダメージを1回だけロールして、2倍するのですか?それともダメージを2回ロールするのですか?
A.サン・ブレード を使おうと、アンデッド・クリーチャーにクリティカル・ヒットを与えることはできないし、アンデッド・クリーチャーに急所攻撃したり、レンジャーの得意な敵へのボーナスを使用したりすることもできない。
サン・ブレード の×3クリティカルを得るためには、この武器をクリティカル・ヒットが効く負のエネルギー界のクリーチャー(来訪者か魔獣)に対して使用しなければならない。
アンデッドや負のエネルギー界のクリーチャーに2倍ダメージを与える場合、すべてのダメージ(君の通常のダメージ・ボーナスと、悪のクリーチャーならばそれに対するこのソードの+4ダメージも加算する)を2回ロールすること。このソードが負のエネルギー界のクリーチャーに対して×3クリティカルを与える理由は、通常2倍ダメージを与えるからだ(『プレイヤーズ・ハンドブック』P.277の『倍数の適用』を参照すればわかるように、×2をさらに×2にすると×3になるのだ)。
Q.タワー・シールドの機能がちょっとよくわかりません。タワー・シールドの後ろにしゃがむと、遠隔攻撃に対して完全遮蔽が得られるのだと思います。顔を出して、たとえば、ジャヴェリンを投げようとする場合、敵の遠隔攻撃に対する遮蔽はどのくらいになりますか?タワー・シールドは近接攻撃に対してどれだけの遮蔽を与えてくれますか?
A.タワー・シールドは遠隔攻撃と近接攻撃の両方に対して遮蔽を与えてくれる。タワー・シールドは呪文やその他の魔法攻撃に対しても遮蔽を与えてくれる。
タワー・シールドがどれだけ効果的かを判断する際には、タワー・シールドがそれを使おうとしているキャラクターに対してどの位置にあるかを知らなければならない。このことは、タワー・シールド以外のどんな種類の遮蔽でも同様だ。タワー・シールドの使用者があるマスにいるところを考えてみよう。この場合、使用者はマスの辺の1つか、マスの角の1つにタワー・シールドを置くことができる。辺の1つにタワー・シールドを置いた場合、その辺の向こう側のマスからの攻撃やそこを通過する攻撃に対して完全遮蔽を、その辺の向こう側のマスの両隣のマスからの攻撃やそこを通過する攻撃に対して1/2遮蔽を提供するが、それ以外の方向からの攻撃に対しては遮蔽を提供しない。
また、タワー・シールドを今いるマスの角に、45度あるいはそれより浅い角度で置くこともできる。45度で置いた場合、タワー・シールドはその角の対角方向にあるマスからの攻撃やそこを通過する攻撃に対して完全遮蔽を、その角の両隣の辺に接するマスからの攻撃やそこを通過する攻撃に対して1/2遮蔽を提供するが、それ以外の方向からの攻撃に対しては遮蔽を提供しない。浅い角度で置いた場合、対角方向のマスに対しては上記同様に完全遮蔽を提供し、隣接する辺の一方に対しては3/4遮蔽を、もう一方の辺に対しては1/4遮蔽を提供する。
タワー・シールドの使用者は毎ラウンド、自分のターンにおいて、タワー・シールドをどこに置くか決めることができ、そうするとそのタワー・シールドは使用者の次のターンまでその場所に留まる。使用者が戦闘に参加していない時には、使用者はいつでもタワー・シールドがどの位置にあるかを決めることができる。戦闘が始まったなら、使用者は自分のターンになるまでタワー・シールドの位置を変化させることはできない。
タワー・シールドの使用者が攻撃する場合、その敵は、タワー・シールドが使用者に与えてくれるのと同じだけの遮蔽を得る。
遠隔攻撃や間合いのある武器での近接攻撃を解決する際には、攻撃側のキャラクターのいるマスの中心から防御側のキャラクターのいるマスの中心まで直線を引くこと。その線がどのマスを通過するかによって、防御側の得る遮蔽が決まる。タワー・シールドが遮蔽を与える複数のマスをこの線が通過していた場合、最も高い遮蔽値を用いること。
Q.タワー・シールドはドラゴンのブレス攻撃や魔法の光線などに対して遮蔽を与えてくれますか?使用者は自動的にファイアーボール に対するセーヴに成功しますか?それともタワー・シールドの後ろで完全遮蔽をとっていれば、ダメージを受けませんか?
A.それは魔法攻撃の種類による。タワー・シールドは使用者の装備品の1つであり、クリーチャーの装備品を攻撃するということは、そのクリーチャーを攻撃することに等しい。
魔法攻撃がタワー・シールドの使用者を対象に選んでいたなら(つまり、タワー・シールドの使用者のいる場所を効果範囲に収めているのではなく、タワー・シールドの使用者を直接対象としていたなら)、タワー・シールドには何の効果もない。光線はすべてこの分類に入るし、データブロックに“目標:”とある呪文や、“効果:”とあってクリーチャーに効果のある(そしてもちろん、攻撃側がタワー・シールドの使用者を対象とすることができて、実際にそうした場合に限るが)呪文もすべて、そうだ。
効果範囲(円錐形、円筒形、拡散、直線状、爆発、放射)を満たす魔法攻撃は遮蔽に関するすべてのルールの対象となる。拡散効果はタワー・シールドの向こう側に回り込む可能性があることに注意。その場合、タワー・シールドは1/2遮蔽しか提供しない。
Q.『プレイヤーズ・ハンドブック』によれば、バックラーを使用すると同時に、ボウやクロスボウはペナルティなしで使えるとあります。と言うことはつまり、ボウやクロスボウを撃っている時に、アーマー・クラスにバックラーの盾ボーナスを得られるということですか?
A.そうではない。ボウやクロスボウを射たなら、そのラウンドの間はバックラーの盾ボーナスを使用することはできない。射撃してしまったなら、君は次の自分のターンになるまで、バックラーの盾ボーナスを失う。
Q.メイジ・アーマー 呪文やブレイサーズ・オヴ・アーマー による魔法の鎧ボーナスは魔法の力のない鎧による鎧ボーナスと累積するのでしょうか?この2つは互いに累積しますか?魔法の鎧とはどうでしょう?魔法や魔法の力のない盾とは累積しますか?その理由は?
A.累積しない。なぜなら、原則的に累積しないものだからだ。メイジ・アーマー 呪文もブレイサーズ・オヴ・アーマー も鎧ボーナスを提供するものだ。2つの鎧ボーナスは累積しないため、メイジ・アーマー 呪文はブレイサーズ・オヴ・アーマー と累積しない。メイジ・アーマー 呪文もブレイサーズ・オヴ・アーマー も盾とは累積しない。盾も鎧と同じく、防具ボーナスを提供するものだからだ。盾の防具ボーナス(盾ボーナス)は、キャラクターが着用している一揃いの鎧の防具ボーナス(鎧ボーナス)と累積するが、これは盾の特殊な性質であって、累積ルールの例外だ。メイジ・アーマー 呪文もブレイサーズ・オヴ・アーマー も“一そろいの鎧”ではないため、盾の防具ボーナスはこのどちらとも累積しない。
Q.乗騎のためのバーディングを買った場合、乗騎はこの防具に《習熟》しているのでしょうか?それとも、防具による判定ペナルティを受けるのでしょうか?
A.防具を着用するものは誰(何)であれ、防具による判定ペナルティを受ける。訓練を受けた軍用乗騎は軽装鎧、中装鎧、重装鎧に《習熟》しているが、訓練を受けていない乗騎はいかなる防具にも《習熟》しておらず、《習熟》していない鎧による追加のペナルティを受ける。
訳注:“軍用乗騎”には『プレイヤーズ・ハンドブック』および『モンスター・マニュアル』のウォーポニー、ヘヴィ・ウォーホース、ライト・ウォーホース、『モンスター・マニュアル2』のウォービースト・テンプレートが含まれる。
Q.10フィートの棒について、ちょっとわからないことがあります。マス目つきのマップを使う場合、自分の位置より斜めに2マス先のマス目に届きますか?どの方向にも2マス先まで届くのでしょうか? また、斜め移動の場合、どれだけの移動力が必要なのでしょうか?
A.斜めにマスを数える際には、最初の1マス目(と奇数番目のマス)は5フィート、2マス目(と偶数番目のマス)は10フィートと数えること。斜め方向に2マス先を攻撃するためには、間合いが15フィートなくてはならない(ただし、斜め方向に3マス先ならば20フィートで済む)。同様に、斜めに3マス移動する場合、君の合計移動距離は20フィートとなる。
Q.間合いが10フィートの武器で斜め方向に15フィート届かないことはわかりました。と言うことは、斜め方向から近付いてくる敵に対しては機会攻撃できないということですか?
A.君が間合いのある武器で武装した中型サイズのキャラクターなら、君は斜め方向に2マス(15フィート)離れたところにいる敵を機会攻撃範囲に収めてはいない。しかし、その敵が君を攻撃しようと斜めに移動したなら、君はその敵が君と隣接するマスに入る直前に機会攻撃を行なうことができる(近付いてくる敵は、ある地点で君から10フィートの距離に入らなければならず、その時点で君の機会攻撃範囲内に入る)。ただし、敵が5フィート・ステップで隣接してきたなら、君は機会攻撃を行なうことはできない。たとえその敵が斜め方向に5フィート・ステップを行なった場合でもだ。
Q.体内に吸収することが必要なポーションを、新陳代謝のないアンデッドが使うことはできるのですか? 身体の外に塗ればよい魔法のオイルなら使えると思いますが。
A.ポーションは飲み込む必要はあるが、吸収する必要はない。実体のあるクリーチャーはすべて、飲み込むことができるならば、ポーションを使用できる。のどがあるクリーチャーならば、飲み込むことはできる。DMの中には、骸骨状のクリーチャー(スケルトンなど)は飲み込むことができないが、それ以外のアンデッドは飲み込むことができると判断するものもいる。DMに聞いてみることだ。実体のあるクリーチャーならば、どんなクリーチャーでもオイルを使用できる。
Q.領域特典が術者レベルの上昇である場合、それは魔法のアイテムの作成にどう影響しますか?たとえば、治癒の領域をとれば、治癒呪文を使用する際の術者レベルが+1されます。これは、《巻物作成》や《ポーション作成》の特技を使って巻物やポーションを作成する際に、どのような影響があるのでしょうか?通常の術者レベルでアイテムを作成し、その後、上昇分を適用することで、価格に比べて強力なアイテムが作れるのでしょうか?
A.ポーション、巻物、ワンドの場合、アイテムの術者レベルはその呪文を発動できるのに充分高く、自分自身の術者レベルを超えない範囲ならばいくつにしてもよい。
領域から(あるいはそれ以外のどんなものからでも)術者レベル上昇が得られるなら、上昇後の術者レベルをアイテムの術者レベルとして使用することができる。そうすれば上昇した術者レベルに相当するコストを支払う必要があるが、術者レベルが上昇したことによる利益も(あれば)得られる。たとえば、5レベル・クレリックは通常、ポーション・オヴ・キュア・モデレット・ウーンズ を作成する際に、術者レベルを3レベル(クレリックとして2レベル呪文であるキュア・モデレット・ウーンズを発動できる最低レベル)から5レベル(作成者の術者レベル)の間の好きなところに設定できる。このクレリックが治癒の領域を持っているなら、ポーション・オヴ・キュア・モデレット・ウーンズ の術者レベルを3レベルから6レベルの間で設定できる。術者レベル6のポーション・オヴ・キュア・モデレット・ウーンズ の市価は600gp(呪文レベル×術者レベル×50gp)で、2d8+6ポイントのダメージを回復させることができる。
Q.呪文を蓄える魔法のアイテム(ポーション、巻物、ワンドなど)の場合、アイテムを作成した人物が使用者でもあるならば、呪文のセーヴィング・スロー難易度は術者の関連能力値(【知力】、【判断力】、【魅力】)と《呪文熟練》などの特技によって決まると思います。アイテムの作成者と使用者が別人だったらどうなりますか?また、アイテムの作成者以外のキャラクターがアイテムに込める呪文を提供することは可能ですか?その場合、呪文のセーヴィング・スロー難易度はどうやって決まるのですか?
A.魔法のアイテムから生み出される呪文効果のセーヴィング・スロー難易度はすべて10+1.5×呪文レベル(切り捨て)だ。アイテムを作成したのが誰かとか、使うのが誰かとかとは一切関係がない。
Q.ブーツ・オヴ・スピード の説明によれば、着用者は合言葉によって毎日最大10ラウンド、ヘイスト 呪文で加速されたかのように行動することができ、また、このヘイスト の持続時間は連続したラウンドである必要はないとあります。“合言葉によって”とあるのは、合言葉で起動するという意味であり、従って、起動するのに標準アクションが必要なのでしょうか?また、連続したラウンドである必要はないということは、合言葉で起動停止する必要があり、これまた標準アクションなのでしょうか?
A.ブーツ・オヴ・スピード は合言葉によって起動する。ブーツを起動するのも起動停止するのも1アクションが必要だ。あるラウンドで君が最初にとった行動がブーツの起動停止だったなら、そのラウンドは1日の10ラウンド制限に数えられない。しかしその場合、そのラウンドには、余分の部分アクションを得ることもできないし、それ以外のヘイストの効果も得られない。
Q.『ダンジョン・マスターズ・ガイド』によれば、リング・オヴ・リジェネレイション は四肢や内臓などの器官を失った場合も再生するとありますが、着用者を死から生き返らせることができるとは書かれていません。説明によれば、どんな器官や肉体部位でも再生できるとありますから、着用者の頭や心臓も再生できるということになります。そうだとすれば、着用者を死から生き返らせることができるのではないですか?
A.この指輪は生きている着用者にしか効果がない(このアイテムの説明文の1行目を参照のこと)。この指輪は頭でも心臓でも再生できるが、着用者が頭や心臓を失ってもまだ生きている場合に限る(たとえば、複数の頭を持つクリーチャーは頭を1つ失っても生き延びることができる)。
Q.ソーサラーが、自分が発動するのに必要なレベルより術者レベルの低い呪文の書かれた秘術呪文の巻物を見つけた場合、どうなるのでしょう?たとえば、ファイアーボール 呪文を発動するには、ソーサラーは6レベルでなければなりません。ウィザードが5レベルで作成したファイアーボール の巻物をソーサラーが見つけた場合はどうなりますか?6レベル以上のソーサラーはこの巻物を使えますか?
A.この巻物は秘術呪文の巻物だし(ウィザードが作成したのだから)、ファイアーボール はソーサラーの呪文リストに載っているのだから、使用できる。失敗の可能性なしにこの巻物を使うには、ソーサラーは5レベル以上であればよい。失敗の可能性があるかどうかなど、術者レベル判定の難易度は巻物の術者レベルで決まる。使用者のクラスの呪文リストにおいて、その呪文が何レベルになるかは関係ない。
Q.キャラクターが能力値吸収攻撃や毒などによって能力値を失う際に、ヘッドバンド・オヴ・インテレクト やガントレッツ・オヴ・オーガ・パワー などによる強化はどのように働くのですか?強化分が先に失われるのですか?そのキャラクターがアイテムを外した場合でも、そのアイテムは機能しますか?外した場合、さらに能力値を失うのですか?
A.能力値減少は、その能力値がどこから来ているものかに関係なく、犠牲者の能力値合計に対して適用すること。能力値強化アイテムが能力値吸収攻撃によって害を受けることはない。犠牲者がそのアイテムを外せば、犠牲者の能力値はその分低下する。しかし、どの能力値も0未満に下がることはない。
能力値が0に下がったクリーチャーは、その能力値が休息や治癒によって少なくとも1になるまでは、その能力値を強化する魔法の利益を得ることができない。たとえば、【筋力】が0に下がってしまった人間は、【筋力】が0である間は、ブルズ・ストレンクス 呪文やベルト・オヴ・ジャイアント・ストレンクス から利益を得ることはできない。1日休息すれば、そのキャラクターの【筋力】は1に回復し、再び【筋力】強化の利益を得ることができるようになる。
Q.ネックレス・オヴ・プレイヤー・ビーズ のビード・オヴ・カルマ を使用すると、信仰呪文を+4術者レベルで発動でき、この効果は10分間持続します。具体的にはどう働くのですか?この10分間はいつから計るのですか?また、持続時間が10分より長い呪文は、10分過ぎてしまうと+4ボーナスを失うということですか?この10分の間に、呪文を蓄積するアイテムに対して発動した呪文はどうですか?そうした呪文は10分が過ぎてもこの効果を得られますか?
A.ビード・オヴ・カルマ は合言葉で起動される。君がこのアイテムを起動するには1アクションを使用し、その後の10分間、君が発動したすべての信仰呪文は術者レベルが4高いものとして働く。呪文の、術者レベルによって決まる諸要素(通常は距離か持続時間かダメージ、あるいはその組み合わせ)もそれに従って上昇する。この影響を受けた呪文は、たとえ持続時間が10分を超えていても、持続時間の間じゅう利益を得る。
このビードを使用する際には、呪文を蓄積することは呪文を発動することと同じことではなく、そうした呪文は君の通常の術者レベルで蓄積される。ビードは君が装置から発動した呪文効果には影響しない。たとえ、ビード の作動中に君が蓄積した呪文であってもだ。
Q.エーテル界でバッグ・オヴ・ホールディング を開けることはできますか?アストラル界では?どちらに対する答えも“できる”だとすれば、なぜ『次元界の書』のP.32に次元界的な要素を持つ呪文の一覧などというものがあるのですか?
A.どちらに対する答えも“できる”だ。少なくとも“大いなる転輪”の内部では。『次元界の書』に次元界的な要素を持つ呪文の一覧があるのは、1つの次元界しかない宇宙観を作成することも可能だからだ。そうした宇宙観では、異次元空間を利用する呪文が機能しないこともある。
Q.通常の接触攻撃と非実体クリーチャーの“非実体の接触”攻撃の違いは何ですか?同じものの別名ですか?
A.同じものの別名ではない。“非実体の接触”攻撃は通常、(非実体)の副種別を持つクリーチャーが使う“肉体武器”攻撃だ。ほとんどの場合、叩きつけ攻撃に似ている。しかし、通常の接触攻撃のように、非実体の接触攻撃はほとんどの鎧と盾の防具ボーナス(鎧ボーナスと盾ボーナス)と外皮ボーナスを無視する(まったく防具が存在しないかのように突き抜けてしまうのだ)。
通常の接触攻撃と異なり、“非実体の接触”攻撃は攻撃側と目標の間にあるどんな物体でも突き抜けてしまうため、ほとんどの遮蔽ボーナスを無視する。また、通常の接触攻撃とは異なり、“非実体の接触”はメイジ・アーマー やブレイサーズ・オヴ・アーマー などから得られる[力場]効果による鎧ボーナスを無視できない。たとえば、+2ブレイサーズ・オヴ・アーマー と+2リング・オヴ・プロテクション と+2アミュレット・オヴ・ナチュラル・アーマー を身に着けたウィザードは通常、16のアーマー・クラスを持つ。通常の接触攻撃に対しては、このウィザードのアーマー・クラスは12だ(リング・オヴ・プロテクション からの+2反発ボーナスだけが有効)。“非実体の接触”攻撃に対しては、このウィザードのアーマー・クラスは14だ(+2反発ボーナスに加えて、[力場]効果を生み出すブレイサーズ からの+2鎧ボーナスが有効)。