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D&D第3版 FAQ(よくある質問)

翻訳:北島靖己

翻訳協力:D&D日本語版翻訳チーム


第三回:特技編


Q.《大旋風》の特技を持つキャラクターが2つの武器で攻撃している場合、何回攻撃することができますか?《両手利き》と《二刀流》を持っている場合はどうなりますか?《二刀流強化》も持っている場合はどうでしょう?

A.《二刀流強化》を持っていなければ、君は5フィート以内にいる敵全員に1回ずつ攻撃したうえ、二次的武器で1回の攻撃を行なうことができる。《両手利き》と《二刀流》の特技はペナルティを下げるが、攻撃回数を増やしてくれるわけではない。

《二刀流強化》を持っていれば、君は5フィート以内にいる敵全員に1回ずつ攻撃したうえ、二次的武器で2回の攻撃を行なうことができる。

どちらの場合でも、君は《大旋風》攻撃に利き手を使わなければならない。ただ、《両手利き》の特技を持っているならば、どちらの手を“利き手”に選ぶこともできる。2つの武器で戦う際のペナルティは、《大旋風》の間に行なうすべての攻撃判定に適用されることに注意。


Q.レベルアップ時に得た能力で特技の前提条件が満たされたなら、(もちろん、とれる特技をまだとっていない場合でのことですが)すぐにその特技を修得することができますか?たとえば、『Masters of the Wild(未訳;ドルイドとバーバリアンとレンジャーを取り扱ったクラスブック)』にある《Blindsight》(「擬似視覚」の意)の特技にはダイア・バットに変身できる能力が必要で、これはドルイドが12レベルになったときに得る能力です。さて、12レベルになったときに《Blindsight》の特技をとることができますか?それとも、次に特技をとることのできる15レベルまで待たなければなりませんか?

A.できる。レベルアップ時には、(特技がとれるレベルになる場合のことだが)特技を選ぶ前に、どのクラス・レベルを追加するかを選ぶ。『プレイヤーズ・ハンドブック』のP.145~146にある『レベルアップ』の項を参照のこと。技能や特技を選ぶ前にクラス・レベルを選ぶのだから、必要条件を満たしたその瞬間に上級クラスになることはできないことに注意。たとえば、君が9レベルで《一撃離脱》の特技をとったなら、君が《一撃離脱》を必要条件とする上級クラスのレベルをとれるのは10レベルになるときになるだろう。


Q.蹴散らしの間に敵を足払いするのに成功した場合、《足払い強化》を持っていれば、追加で攻撃を行なうことができますか?

A.できない。《足払い強化》の特技で追加攻撃ができるのは、近接攻撃を使って敵を足払いし、それに成功した場合だけだ(これによって事実上、通常のダメージを与える攻撃を足払い攻撃に置き換えることになる)。蹴散らしを行なう場合、君は近接攻撃としてではなく、突撃の移動部分の一部として足払いを行なう。しかし、突撃を中断して通常の攻撃アクションに切り替え、蹴散らしの間に突き倒した敵に対して通常攻撃を行なうこともできる(訳注:この場合、突撃を行なったのではなく、攻撃アクションによって移動と攻撃を行ない、その攻撃で足払いと《足払い》強化による追加攻撃を行なったことになる)。


Q.《一撃離脱》の特技の説明によれば、《一撃離脱》中の攻撃側の移動は防御側から機会攻撃を誘発しない、とあります。ということは、《一撃離脱》を持っているキャラクターは間合いの長い敵に近付いて攻撃する際の諸問題を考えずにすむのでしょうか?これはかなり有利になります。《一撃離脱》の特技は逃げる時にも役に立ちますか?それとも、機会攻撃を避けるには、攻撃の前と後の両方で必ず移動しなければなりませんか?

A.敵を攻撃するために《一撃離脱》を使う場合、君が自分のターンの間に行なう移動は敵の機会攻撃を誘発しない。たとえ君が敵の機会攻撃範囲内にある複数のマス目を移動した場合でもだ(間合いの長い敵の場合よくあることだ)。

君が自分のターンの間のいつ移動したかとか、何回移動したかとかは重要ではないが、この利益を得るためには攻撃しなければならない。君が攻撃する敵だけが、君の移動に反応して機会攻撃を行なうことができなくなる。その敵の仲間はそうした制限を受けない。


Q.あるキャラクターが《イニシアチブ強化》の特技を持っていて、イニシアチブ・ロールに+4のボーナスを得ているとします。また、別のキャラクターは《早抜き》の特技を持っていて、全ラウンド・アクションではなくフリー・アクションで武器を抜くことができます。さて、戦闘ラウンドが宣言され、このキャラクターたちがイニシアチブを振りました。どちらが先に行動できますか?《早抜き》の特技を持つキャラクターはイニシアチブを振らなければなりませんか?それとも、《早抜き》の特技を持っているだけで充分なので、まずこちらがアクションできますか?

A.第一に、《早抜き》の特技を持っていない場合、武器を抜くのは全ラウンド・アクションではなく、移動相当アクションだ。基本攻撃ボーナスが+1以上なら、移動アクションをとりながら武器を抜くことができるが、それでも武器を抜くためには少なくとも1回の移動アクションを使わなければならない。

先に行動するのは、イニシアチブの結果が高い方だ。確かに《早抜き》があれば、フリー・アクションで武器を抜くことができる。しかし、キャラクターがフリー・アクションをとれるのは、自分のターンの間だけなのだ。そして、自分のターンがいつ回ってくるか知るには、イニシアチブをロールする必要がある。


Q.ロングボウに《軍用武器習熟》、《武器熟練》、《武器開眼》を持っていれば、コンポジット・ロングボウも使えますか?

A.公式には、『プレイヤーズ・ハンドブック』の表7-4『武器』に項目のある武器にはどれも、それぞれ別の《習熟》、《熟練》、《開眼》が必要だ。たとえば、このゲームには4種類のボウがある。ショートボウ、コンポジット・ショートボウ、ロングボウ、コンポジット・ロングボウだ。DMによっては、武器をグループ化してみたいと思うものいるだろうが、そうしたハウス・ルールは《習熟》にだけ適用すべきで、《熟練》や《開眼》にまで適用すべきではない。


Q.《軍用武器習熟》を持っていないことによるペナルティは、《特殊武器習熟》を持っていないことによるペナルティと累積するのでしょうか?たとえば、バスタード・ソードに対して《軍用武器習熟》も《特殊武器習熟》も持っていないソーサラーが片手でバスタード・ソードを使おうとした場合、何が起こりますか?このソーサラーのペナルティは《特殊武器習熟》を持っていないことによる-4なのですか? それとも、バスタード・ソードを片手で使うには特別の訓練が必要なので、《特殊武器習熟》を持っていないことによる-4に加えて、《軍用武器習熟》を持っていないことによる-4も受けますか?

A.《習熟》していないことによって、ペナルティを2回受けるということはない。ある武器に対して《習熟》しているか、《習熟》していないかのどちらかだ。

中型サイズのキャラクターなら、片手でバスタード・ソードを使うには、《特殊武器習熟:バスタード・ソード》が必要だ。《習熟》していなければ、そもそもバスタード・ソードを片手で使うことはできない。君が例に挙げたソーサラーが中型サイズなら、バスタード・ソードを両手で使わなければならず、その際、《習熟》していないことにより-4のペナルティを被るだろう。


Q.うちのグループでは、《攻防一体》の特技について悩んでいます。《二刀流》と一緒に《攻防一体》を使用したら何が起こりますか?それぞれの武器から1回ずつ《攻防一体》によるアーマー・クラスへのボーナスを得るのでしょうか?それとも、1回攻撃するごとに1回でしょうか?防御専念や防御的戦闘のオプションを使用した場合はどうですか?(それとも、《攻防一体》は防御的戦闘を行なうもう一つのやり方に過ぎないのでしょうか?)〈軽業〉技能に5ランク以上ある場合、防御的戦闘や防御専念にボーナスがもらえます。《攻防一体》に対してはどうですか?

A.《攻防一体》の特技によって防御に割り振った攻撃ボーナス(最大で基本攻撃ボーナスか+5のどちらか低いほう)は、君の次のターンが来るまでに君が行なうすべての攻撃にペナルティとして適用される――これには機会攻撃も含まれる。何回攻撃しようと、いくつ武器を使用しようと、君が得られる防御ボーナスは1回のみだ(これも君の次のターンまで持続する)。たとえば、基本攻撃ボーナスが+9/+4で、《攻防一体》と《二刀流》と《両手利き》を持つ9レベル・ファイターがいたとする。利き手でない手で軽い武器を使っているとすると、このキャラクターは-2のペナルティを受けて3回攻撃することができる。利き手で+7/+2、利き手でない手で+7の追加攻撃となる。《攻防一体》で+2のボーナスをアーマー・クラスに割り振ると宣言した場合、このキャラクターの攻撃ボーナスは+5/±0と+5になる。

防御的戦闘は全力攻撃アクションや攻撃アクションを使用した時にのみ行なえる(『プレイヤーズ・ハンドブック』のP.124を参照のこと)が、そうした場合、それといっしょに《攻防一体》を使うこともできる(『プレイヤーズ・ハンドブック』P.81の《攻防一体》の説明に防御的戦闘についての記述があるため、《攻防一体》とは防御的戦闘の進化したやり方だと思っている人もいるが、それは間違いだ)。《攻防一体》と防御的戦闘をいっしょに使う場合、君はアーマー・クラスへのボーナスと攻撃ペナルティをすべて足し合わせればよい。《攻防一体》も防御的戦闘もアーマー・クラスに回避ボーナスを与えることに注意。このゲームにおけるボーナスの大部分とは違い、回避ボーナスは累積する(『プレイヤーズ・ハンドブック』のP.119を参照のこと)。先の例のキャラクターが防御的戦闘することにした場合、アーマー・クラスにはさらに+2のボーナスが加わり(合計で+4となる)、さらに攻撃に-4のペナルティを受ける。従って、攻撃ボーナスは+1/-4と+1に下がる。《攻防一体》と防御的戦闘の組み合わせはさほど有効ではない。

先の例のキャラクターがさらに〈軽業〉に5ランク以上持っているなら、防御的戦闘による回避ボーナスは+2ではなく+3となり、アーマー・クラスへのボーナスの合計は+5となる。 《攻防一体》と防御的戦闘は別物なので、防御的戦闘をせずに《攻防一体》をする場合、〈軽業〉にランクがあっても役には立たない。


Q.《速射》の特技の説明によれば、全ラウンド・アクションとして-2のペナルティを受けて2回の攻撃ができる、とあります。基本攻撃が+6/+1になれば、《速射》攻撃のあとに3回目の攻撃ができるのですか?私の理解しているところでは、基本攻撃によるものか《速射》によるもののどちらか一方からしか2回目の攻撃は得られず、《速射》を使うと+4/+4で攻撃できることになります。これでよいとすれば、複数回攻撃ができるようになると、《速射》は意味がなくなってしまいませんか?

A.《速射》の特技があれば、射出武器を使った1回の追加攻撃を基本攻撃ボーナスで行なうことができるようになる(“2回の攻撃”ではない)。この特技を使用するには、全力攻撃アクションを使用せねばならず、その全力攻撃アクションの間に行なうすべての攻撃は-2のペナルティを被る。基本攻撃ボーナスが+6なら、全力攻撃で+6/+1の2回攻撃を行なうことができる。その全力攻撃で《速射》を使用するなら、+4/+4/-1の3回攻撃を行なうことができる。


Q.《薙ぎ払い》や《薙ぎ払い強化》の特技を利用するには、全力攻撃アクションを使わなければなりませんか?2回以上攻撃したければ全力攻撃アクションを使わなければならないのだから、そうですよね?

A.違う。どちらの特技も、全力攻撃アクションを使わなくても利用できる。一方あるいは両方の特技をもっているなら、君が敵を倒せば、その攻撃に使用したアクションの種類に関係なく、追加攻撃を行なうことができる(《薙ぎ払い強化》なら2回以上の追加攻撃を得られるだろう)。


Q.《武器の妙技》の特技があれば、キャラクターは軽い武器で近接攻撃を行なう際に、【筋力】ボーナスではなく【敏捷力】ボーナスを使用することができます。このキャラクターは、攻撃ロールとダメージ・ロールの両方に【敏捷力】ボーナスを使うのですか?それとも攻撃ロールだけですか?キャラクターが《武器の妙技:ダガー》を持っていて、両手で1つずつダガーを使ったとすればどうなりますか?利き手でない手では、(【筋力】の場合と同じルールに従うとすると)ダメージに【敏捷力】ボーナスの半分しか得られませんか?2つの武器で戦う時にも、《武器の妙技》を使えますか?使えるとすれば、どのようになるのでしょう?《武器の妙技》で使えるのは、正確にどれとどれですか?

A.《武器の妙技》は攻撃ロールにのみ影響し、ダメージ・ロールには影響しない。《武器の妙技》を使用して命中した場合でも、どれだけダメージを与えたかは【筋力】修正値で決まる。

2つの武器で攻撃するときでも《武器の妙技》は使用できる。君がある武器に対してこの特技を持っていれば、それが君の唯一の武器であるか、2つの武器で戦う際に用いる武器の片割れであるかに関係なく、君がその武器で行なうすべての近接攻撃に適用される。2つの武器で戦う際に《武器の妙技》を使う場合、2つの武器で戦うどんな場合とも同じように処理すること。ただし、この特技が適用されるすべての攻撃において、攻撃ロールに攻撃者の【敏捷力】ボーナスを使用すること。たとえば、少なくとも中型サイズで、【筋力】7、【敏捷力】18の6レベル・ローグがいたとする。このキャラクターは《両手利き》、《二刀流》、《武器の妙技:ダガー》の特技を持っている。このキャラクターが全力攻撃アクションを使って、両手に持ったダガーで攻撃したとすると、キャラクターの攻撃ボーナスはどちらのダガーについても+6となる(基本攻撃ボーナスが+4、【敏捷力】で+4、《両手利き》と《二刀流》があって利き手でない手の武器が軽い武器の場合に2つの武器を使う際の-2)。命中すれば、このキャラクターは1d4-2ポイントのダメージを与える(最低1ポイント)。このキャラクターが【筋力】ペナルティでなく【筋力】ボーナスを持っているとすれば、二次的武器に適用されるのはそのボーナスの半分だけだ(【筋力】ペナルティの場合、利き手でない手の武器にもそのままの値が適用される)。

《武器の妙技》は軽い武器、レイピア、スパイクト・チェインにだけ適用される(“軽い武器”という語の定義については、『プレイヤーズ・ハンドブック』のP.96を参照のこと)。スパイクト・チェインを《武器の妙技》で使用するためには、君は少なくとも中型サイズでなければならず、レイピアを《武器の妙技》で使用するためには、レイピアを片手で使うことができなくてはならない。


Q.第一に、私が《両手利き》を持っておらず、利き手でない手で攻撃したとします。攻撃ロールとダメージ・ロールに対する【筋力】ボーナスは半分になってしまいますか?それともダメージ・ロールに対してだけですか?第二に、《両手利き》を持っていれば利き手でない攻撃へのダメージ・ペナルティはなくなりますよね?そうだと言ってください。そうでないとしたら、一体、なぜなんですか?

A.利き手でない手による近接攻撃ロールには、【筋力】ボーナスがそのまま適用される。利き手でない手による攻撃の場合、君のダメージ・ボーナスだけが半分となる。

《両手利き》の特技を持っていたとしても、君の利き手でない手を用いた場合の【筋力】によるダメージ・ボーナスは半分となる。《両手利き》は利き手でない手による攻撃を行なう際のペナルティを無効化するが、ダメージが下がるのは“ペナルティ”ではない。これはダメージに対する【筋力】ボーナスを決定する際のルールなのだ。君が攻撃に両手を使えば、君はダメージに【筋力】ボーナスの1倍と半分を得る。両手武器の場合、君は【筋力】ボーナスを1.5倍(切り捨て)する。2つの武器を使用している場合、君は利き手にダメージ・ボーナスをそのまま適用し、利き手でない手に同じボーナスの半分(切り捨て)を適用する。

このルールがなければ、君はばかでかくて重い武器を両手で使うより、小さくて軽い武器を2本使ったほうが高い【筋力】値を有利に使えることになってしまう。


Q.私はウィザードとマルチクラスしているバードを持っています。ウィザードなので、使い魔を手に入れることができます。私がフォーゴトン・レルム・ワールドガイドや『Tome and Blood(未訳;ウィザードとソーサラーを取り扱ったクラスブック)』所収の)《上級使い魔》をとるとすれば、この特技の前提条件である秘術呪文の使い手レベルにバード・レベルを適用することはできますか?

A.できない。クラス能力として使い魔を手に入れられる秘術呪文の使い手のクラス(現時点ではウィザードとソーサラーのみ)のレベルだけが適用される。君がウィザードとソーサラーの両方のレベルを持っているなら、どの特殊使い魔を手に入れられるか判断したり、(特殊・基本を問わず)使い魔の特殊能力を決める際には、両者のレベルを足し合わせることができる。


Q.アイテム作成特技にはどれも、“術者レベルX以上”という前提条件があります。別々の呪文の使い手のクラス・レベルは累積するのでしょうか?つまり、4レベル・ウィザード/4レベル・ソーサラーは8レベルの呪文の使い手ですか?それとも4レベルの呪文の使い手ですか?

A.呪文の使い手のレベルは累積しない。前提条件が“術者レベルX以上”なら、この前提条件を満たすためには、1つの呪文の使い手のクラス・レベルをXレベルにする必要がある。


Q.《巻物作成》の特技の説明によれば、巻物の基本価格は呪文レベル×術者レベル×25gpだとあります。さらに、キャラクターは基本価格の1/25の経験点を費やし、基本価格の1/2の費用がかかる原材料を消費しなければならないともあります。さて、私の質問ですが、0レベル呪文は巻物にできないのでしょうか?それとも0を掛けるとどんな数でも0になってしまうので、タダで作れるということでしょうか?

A.魔法のアイテムのコストを計算する際には、0レベル呪文は1/2として扱うこと(つまり、0レベル呪文の巻物を作成する際の基本価格は、1/2×25×術者レベルとなる)。魔法のアイテムの作成およびそのコストについての詳細は、『ダンジョン・マスターズ・ガイド』のP.241~246を参照のこと。


Q.1つの呪文に同じ呪文修正特技を2回以上適用することができますか? たとえば、2回威力最大化した呪文や、2回持続時間延長した呪文などは?

A.君はほとんどの呪文修正特技を2回以上適用することができる。レベル上昇を累積させ、追加効果は呪文の基本的な効果に対して適用することに注意。たとえば、呪文を2回持続時間延長すれば、持続時間は4倍ではなく、3倍となる(1回の持続時間延長は、呪文の基本持続時間の100%ぶんを追加するのだ)。

累積させる価値がなかったり意味がなかったりする呪文修正特技もいくつかある。たとえば、呪文を2回以上威力最大化しても、最大ダメージ以上のダメージを呪文から引き出すことはできない(呪文のダメージを上限以上に引き上げたければ、《呪文威力強化》を複数回使うことだ)。《呪文レベル上昇》は呪文の有効レベルを(上げられる範囲で)好きなレベルに設定できるので、この特技を複数回使うことも意味がない。


Q.ソーサラーやバードが呪文修正特技を使用する場合、全ラウンド・アクション(発動に全ラウンド・アクションが必要な呪文の場合は追加でさらに全ラウンド・アクション)が必要です。しかし、バードやソーサラーが1つの呪文に2つ以上の呪文修正特技を使用したらどうでしょう?発動の遅れは累積して、発動までに数ラウンドかかるようになるのですか?それとも、1ラウンドにいくつ呪文修正特技を使用しても、このペナルティは変わりませんか?

A.累積しない。この遅れは1つの呪文に1つ以上の呪文修正特技が適用された場合のものであって、呪文に適用される呪文修正特技1つにつき1ラウンドというわけではない。


Q.たとえ修正しても、マジック・ミサイル は“本当は”1レベル呪文ですから、《呪文威力強化》を使って、術者レベル1のワンド・オヴ・マジック・ミサイル を基本価格3×1×750(有効呪文レベル3、術者レベル1、ワンドの倍数)で作ることができますか?それとも、3レベル呪文を発動できる最低レベルは5レベルなので、術者レベルを5とする必要がありますか?

A.後者だ。《呪文威力強化》の利益を受けたマジック・ミサイル はそれでも“本当は”1レベル呪文だが、《呪文威力強化》を使用した呪文は通常より2レベル高い呪文スロットが必要なため、(君がウィザードなら)少なくとも5レベルでなければならない。ワンドの値段を計算するためには、修正後の高いほうのレベルを使用しなければならず、それに従ってワンドの術者レベルも上げなければならない。君が例に挙げたワンドの市価は11,250gp(3×5×750)となる。この市価にすれば、君はそれぞれが(1d4+1)×1.5ポイントのダメージを与える3本の魔法の矢が出てくる(5レベルの術者はマジック・ミサイル で3本の矢を作り出す)ワンドを作ることができる。


Q.威力最大化したサモン・モンスター 呪文を発動した場合、招来されるクリーチャーのヒット・ポイントは最大値になりますか?

A.されない。こうした呪文やパワーの数値効果は招来されるクリーチャーの数だ。クリーチャーのロールするダイスではない。


Q.《呪文距離延長》の特技の説明によると、距離延長された呪文は距離が2倍になるとあります。また、“効果範囲”や“効果”が距離によって決まる呪文はそれに比例して“効果範囲”や“効果”の広さが増すともあります。ライトニング・ボルト 呪文は、幅が5フィートの場合、距離は100フィート+10フィート/術者レベルです。幅が10フィートの場合、距離は50フィート+5フィート/術者レベルです。6レベル・ウィザードが幅10フィートの距離延長したライトニング・ボルト を発動した場合、出てくる稲妻は幅10フィート×長さ160フィートですか? それとも幅20フィート×長さ160フィートですか? ライトニング・ボルト に《呪文威力強化》を使った場合はどうなりますか?

《呪文威力強化》はすべての変数を半分だけ増加させます。その場合、威力強化されたライトニング・ボルト の幅は何フィートになりますか?

A.術者の選択した幅によって、ライトニング・ボルト 呪文の距離が決まる。ライトニング・ボルト を距離延長した場合、距離は2倍になるが、幅は変化しない。従って、7レベル・ウィザードが距離延長されたライトニング・ボルト を幅10フィートで発動した場合、そのライトニング・ボルト の距離は170フィートになるはずだ(5フィート×7=35フィート;基本の50フィート+35フィート=85フィート;2倍して170フィート)。同じ術者が幅5フィートのライトニング・ボルト を発動したなら、その距離は340フィートになるはずだ。ライトニング・ボルト を距離延長すると4レベル・スロットが必要になり、6レベル・ウィザードには4レベル呪文のスロットはないため、6レベル・ウィザードでは距離延長したライトニング・ボルト を発動できないことに注意。

《呪文威力強化》の特技は呪文のランダム変数にのみ影響を与える(説明文の後から2つ目の文を参照のこと)。ライトニング・ボルト 呪文の距離はレベルの変数だが、《呪文威力強化》のいう“ランダムな変数”ではない。ライトニング・ボルト 呪文のダメージは“ランダムな変数”であり、威力強化されたライトニング・ボルト は1.5倍のダメージを与える(セーヴィング・スローを振る前に倍数を掛けること)。


Q.【知力】15の11レベル・ウィザードがいたとします。このウィザードは《呪文音声省略》で強化したテレポート呪文(5レベル呪文)を準備し、6レベルの呪文スロットを使用することができるのですか? このウィザードでは(【知力】が低いために)6レベル呪文を準備できないのに。

A.呪文修正特技を使用すると、その呪文は本来より高いレベルの呪文スロットを必要とする。しかし、実際に呪文のレベルを上昇させる《呪文レベル上昇》を除けば、実際に呪文のレベルが変化することはない。従って、そのウィザードはその呪文を本来のレベルで発動できるだけの【知力】を備えているかぎり(5レベルのテレポート呪文ならば15あればよい)、その修正呪文を発動することができる。ところで、そのキャラクターが6レベルの呪文スロットを使うためには、呪文修正特技を使用しなければならないということはない。スロットのレベルより呪文レベルが低い呪文であればどれでも、そのスロットに準備することができるのだ。


Q.ソーサラーやバードや、任意発動を使用するクレリックは《呪文高速化》の呪文修正特技を使用できますか?

A.できはするが、やっても意味はない。呪文に呪文修正特技を使用するソーサラーやバードは、その呪文を全ラウンド・アクションとして発動しなければならない(呪文の通常の発動時間が1アクションよりも長い場合は、その通常の発動時間に1全ラウンド・アクションを足したものになる)。任意発動を使用するクレリックも同じルールに従う。そのため、これらのキャラクターにとっては、《呪文高速化》は意味がなくなっているのだ。


Q.呪文を高速化しても、ふだん必要な構成要素(音声、動作、物質)が必要ですか? たとえば、サイレンスをかけられて、組みつかれた状態のウィザードは高速化したディスペル・マジックを発動できますか?

A.《呪文高速化》を使えば、呪文は高速化される。ただし、ふだん必要とされる構成要素はすべて、高速化された呪文でも必要とされる。君が組みつかれた状態で呪文を発動したければ《呪文動作省略》が、サイレンスをかけられた状態で呪文を発動したければ《呪文音声省略》が必要となる。


Q.高速化した呪文を発動することは機会攻撃を誘発しますか?高速化された呪文に対して攻撃や呪文相殺を待機することはできますか?それとも速すぎて識別したり相殺したりすることはできませんか?

A.高速化した呪文は機会攻撃を誘発しない(『プレイヤーズ・ハンドブック』の表8-4を参照のこと)。高速化した呪文は通常のルールを用いて相殺することができる。


Q.《呪文レベル上昇》は実際に呪文のレベルを変化させるんですよね? ということは、この特技を使うとマイナー・グローブ・オヴ・インヴァルナラビリティ のような防御呪文を無視できるようになるんですか?

A.そうだ。《呪文レベル上昇》の説明にも、マイナー・グローブ・オヴ・インヴァルナラビリティ を打ち破ると書いてある。そうするためには、呪文を4レベル以上にレベル上昇させなければならず、そのためには4レベル以上のスロットが使えなければならず、君の呪文発動能力に関わる能力値が少なくとも14はなければならない。低いレベルの呪文を発動するのに高いレベルの呪文スロットを使用する場合、基本(呪文修正特技で修正されていない)レベルで呪文を発動できるだけの能力値があればよい。しかし、《呪文レベル上昇》の場合は実際に呪文レベルが変化するため、特殊なケースとなっている。


Q.《退散回数追加》の特技は、アンデッドを威伏させる能力を持つ中立や悪のクレリックにも役立ちますか?

A.アンデッドを威伏させる能力を持つクレリックは、《退散回数追加》によって、1日にさらに4回、アンデッドを威伏できるようになる。真なる中立のクレリックはアンデッドを退散させるか、威伏させるかどちらかを行なうことができ、両方を行なうことはできない。たとえば、アンデッドを威伏させる能力を選んだ真なる中立のクレリックは、《退散回数追加》をとることで、1日にさらに4回、アンデッドを威伏させる能力を得ることができる。しかし、《退散回数追加》をとることで、アンデッド退散を4回使用できるようにはならない。


Q.元素の領域のいずれかか、植物の領域を持つクレリックが《退散回数追加》をとった場合、どの退散/威伏能力も回数が増えますか?

A.ルールにかなりはっきり書いてあると思うが、《退散回数追加》はアンデッドを退散させる能力にだけ適用され(P.30とP.43を参照のこと)、他の退散能力には適用されない。

とはいえ、《退散回数追加》をアンデッドだけに限る強い理由もない。DMは、《退散回数追加》をほかの退散能力に適用させてもよいだろう。《退散回数追加》をとるたびに、アンデッド退散能力か、君のキャラクターが行なえるほかの種類の退散能力の1つに適用すること。この特技を1回とるだけで、すべての退散能力を増加させることはできない。君が太陽の領域を持っているなら、君がアンデッドに対する退散の試みに成功した場合、それらのアンデッドは破壊される。