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仕事内容
執筆者:熊崎 タグ: ディレクターゲームデザイナー

『星のカービィ 30周年記念ミュージックフェス Live Blu-ray & Live CD』の仕事 ゼネラルディレクター編

みなさんこんにちは。
「星のカービィ」シリーズ、ゼネラルディレクターの熊崎です。

『星のカービィ 30周年記念ミュージックフェス Live Blu-ray & Live CD』。
私も開封し早速、ちょっと忙しかったあの夏の思い出と共に、音と映像で振り返っております。
そこで今回は、フェスの12曲についてディレクターとして行った仕事、監修や制作時の思い出などを、楽曲ごとに振り返ってみようと思います。

フェスは普段のゲーム開発とはまた違った仕事になりますが、お客さまに喜んでいただくには何が必要か、どんな体験にすべきかを中心に企画することは同じかと思います。
では、いきますっ!

1曲目:グリーングリーンズ~新世界をかけぬけて

このフェスの企画が立ちあがった時、本格始動の前から、サウンドクリエイターの大原がサンプルとして「グリーングリーンズ」を先んじて作成。
その時の構成案を活かしたままの1曲になります。
この企画に対する大原の熱意を感じたのもありますが、採用するだけの高い完成度と説得力があったからこその採用です。
30年のゲームの歴史をこの1曲で感じていただけるように、初代の『星のカービィ』から、最新作の『ディスカバリー』の曲にバトンを渡し、最後はクリアダンスでシリーズの繋がりを感じさせる構成でまとめました。

2曲目:メモリアルカービィフェス:1993~2004

どうにかしてフェス中に1つでも多くの「星のカービィ」シリーズタイトルから選曲したい。
そこでシリーズの歴史を2つにわけてメドレーにし、振り返られるようにと考えました。
サウンドクリエイターの小笠原担当のこの曲は、『夢の泉の物語』の冒頭に流れるあの絵描き歌からはじまり、『鏡の大迷宮』のエンディング曲で締める、その年代のシリーズを駆け抜けるようなメドレーに仕上がりました。

3曲目:Beyond the 25th Anniversary

こちらは大原担当で、サウンドクリエイターの下岡も一部担当した合作とも言えます。
星のカービィ25周年記念のあのオーケストラコンサートとの違いを感じられるように、30周年までの5年の間にリリースされたタイトルの曲で構成しました。
さまざまなゲームジャンルを感じられるようにとも考えて構成しました。
新時代を感じさせるべく冒頭の『スターアライズ』のタイトル曲から、はじけるようなアップテンポと勢いも特徴的に仕上がりました。

4曲目:わいわい!サブゲームフェス

この曲の監修当時も、それぞれのゲーム開発をしながら選曲を進めていました。
この曲は多くのシリーズから選曲され、個々の曲のテンポも異なり、メドレーにするのが難しいと感じていました。
担当者は大変だったかと思いますが綺麗に繋がるメドレーとなり、これを聴くとまた、サブゲームを遊びたくなるユニークな1曲になりました。

5曲目:騎士達の逆襲フェス

大原担当のエネルギー溢れる1曲になります。
騎士と書いてナイトと呼ぶこの曲名通り、シリーズにはナイトと呼ばれる敵が数多く登場します。
彼らのこれまでの活躍を1曲にまとめたこのメドレー。会場で聴いた、ラストの管楽器の伸びやかな音色などは、監修時の音源とは比べものにならないほどエネルギッシュで、生演奏でしか味わえない生命力を感じられます。熱い1曲です!

6曲目:メモリアルカービィフェス:2005~2022

『タッチ!カービィ』以降のシリーズをひとまとめにした1曲です。
どうしても代表曲と言うと、最終決戦の曲になりがちなのですが、それも取り入れつつ、さまざまなゲームの場面の思い出が蘇るような選曲にしました。
締めのムードを高めるため、「フォルアースに吹く風」と「北のホワイトストリート」のどちらにするか迷いましたが、フェス当時の最新作から選ばせていただきました。

7曲目:ハル研ドリームバンドによるデデデ大王フェス

演奏をハル研のサウンドチームの6名、そしてデデデ大王のボーカルは私が担当させていただきました。ヴァーッ!
カービィカフェにて、閉店後に集まり収録を行いましたが、やはりクリエイターチームが集まり1つのものを作り上げるのはよいですね。
普段とは異なり、映像のディレクターさんから指示をいただく仕事は少し新鮮でしたが、ゲーム開発同様、モノづくりの楽しさも感じました。
曲はサウンドクリエイターそれぞれの得意とする持ち楽器を取り入れつつ、デデデ大王とカービィの戦いの歴史が蘇るような構成になっています。

8曲目:激突!カービィのレースフェス

カービィのレースにまつわる楽曲で構成した1曲です。
長く続くシリーズのなかで、レースをしたり、乗り物に乗ったりするカービィの姿が見られますが、そのタイトルごとに個性豊かな楽曲があることがわかります。
ノリの良い「激突!グルメレース」からはじまり、ムーディな「シティトライアル」の街の曲で締める、多様性を感じる1曲となりました。

9曲目:カービィのクライマックスバトルフェス

大原担当の大作です。監修の回数も一番多かった大規模な1曲かと思います。
ラスボスの曲はとてもエネルギーがあり、どの曲をどのタイミングでお聴かせしようか悩みましたが、フェスそのもののクライマックスを感じされるように後半のこのタイミングにまとめました。
『夢の泉の物語』から、『ロボボプラネット』までのクライマックスの思い出を感じていただける1曲になったかと思います。

10曲目:組曲:星羅征く旅人

ラスボス曲のメドレー、こちらもかなりの大作です。
『スターアライズ』のラスボス戦の「組曲:星羅征く旅人」を、本当に組曲として序奏からフィナーレまで繋がる1曲にしました。
構成はゲーム中のインタラクティブミュージックの繋がりを再現した、長く続くエンデ・ニルとカービィとの戦いの情景が蘇るような構成になっています。

11曲目:スペシャルライブ:グリーンツリーメモリーズ~WELCOME TO THE NEW WORLD!

編曲は小笠原担当、作詞は自分の担当です。
「グリーンツリーメモリーズ」はカービィが再会するキャラクターとの繋がりを意識して書き、「WELCOME TO THE NEW WORLD!」は、ゲームのイメージソングでもありながら、新たな世界への旅立ちを夢見た人々の希望を書いたものです。
25周年記念コンサートの時にはなかった歌を活かし、シリーズのこれまでと、これからを表現してみました。
「WELCOME TO THE NEW WORLD!」は、異世界言語の歌詞か、日本語にするか悩みましたが、世界観がバトンタッチするように、歌い手の入れ替わるタイミングで言語が変わる演出にし、どちらも楽しめ、最後はみなさんで歌える日本語版で終える構成にしました!

12曲目:星のカービィ メモリアルエンディング

最後はアンコール曲です!アンコールはみなさんの拍手があってこそ実現しますが、ありがたいことに当日も鳴り止まない拍手をいただきました。
このメドレーの選曲もとても悩みましたが、初代の『星のカービィ』や『スーパーデラックス』からはじまり、フェス当時最新作だった『ディスカバリー』も、物語の核心部分は伏せる形で取り入れ、最後は『20周年スペシャルコレクション』のエンディングに登場する初代『星のカービィ』のゲームボーイ音源を感じさせる構成を活かし、フェス全体のフィナーレを飾る形にしました。

以上になります!
監修の仕事を思い返しながら、ちょっとしたライナーノーツのようにまとめましたが、1年ちょっと前のフェス開催当時は、ゲーム開発も立て込み、またコロナ禍の影響もあり、これらの多くの監修や制作はリモートで行いました。
多くの方のお力添えもありこうして無事にフェスを終えられ、そしてそれを『Live Blu-ray & Live CD』という形で発売できたこと、とても嬉しく思います!!

「星のカービィ」30周年に関連する商品企画は、いよいよこれでフィナーレになるかと思いますが…これからの「星のカービィ」シリーズもよろしくお願いします!