特別区の倍率を徹底分析!真の難易度を教えよう!

Competition-rate 特別区ガイド

特別区の受験を考えているそこのあなた!
試験を前にして気になるのは、やはり「倍率」「難易度」ではないでしょうか?

今回は、「特別区Ⅰ類採用」「特別区経験者採用」の過去のデータから倍率と難易度を見ていきます。
倍率のデータから分かることについても詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

なお、下記の記事では特別区の人気区・不人気区など、区ごとの倍率について別途解説しています。
希望区選びで悩んでいる方はこちらもご参照ください。

特別区Ⅰ類事務職の倍率は?

特別区Ⅰ類の事務職には、最も多くの志願者が集まります。
過去6年分の採用試験実施状況を見てみましょう。

特別区Ⅰ類の試験は、1次試験(筆記)→2次試験(人事委員会面接)→区面接と進みますが、2次試験まで合格できればその後の面接試験で落とされることは少ないと言えるでしょう。
(ただし採用漏れ」は毎年発生しています…。採用漏れについての詳細は下記の記事で解説。)

そこで、ここでは2次試験までのデータをご紹介します。

 

【試験区分:事務】

年度 採用予定数 申込者数 第1次試験 第2次試験 合格倍率
受験者数 合格者数 受験者数 合格者数
2022(R4) 983 9,374 8,417 4,246 3,312 2,308  3.6 
2021(R3) 874 11,449 9,019 4,098 3,006 1,881  4.8 
2020(R2) 906 14,339 8,121 4,791 2,197 1,741  4.7 
2019(R1) 966 13,296 11,501 4,244 3,219 2,032  5.7 
2018(H30) 1,130 14,998 12,718 4,505 3,812 2,371  5.4 
2017(H29) 980 15,178 12,683 4,219 3,599 2,176  5.8 

特別区職員採用試験(選考)実施状況より作成)

 

上の表を見ると、過去6年の倍率は4~6倍前後だと読み取れます。

ただし、実はこの倍率は実際の倍率よりも高めになっているのです。
「どういうこと?」と首を傾げたあなた、次にその理由をお伝えしましょう。

本当の倍率はこれだ!

上の表で示した倍率は、「1次試験受験者のうち最終合格者が何人に一人いるのか」を表したデータです。
ということは、「1次試験に合格して2次試験を辞退した人」も人数に入っているということになります。

実際には、毎年1000人以上が2次試験を辞退していますが、その1000人が2次試験を受験したと見なして計算された倍率なのです。
実際より合格倍率が高くなるのは当然ですね。

より現実に即した倍率を確認するために、1次試験と2次試験を分け辞退者を除いた実際の受験者数をもとに再計算すると、次の表のようになります。

 

年度 第1次試験 第2次試験
受験者数 合格者数 倍率 受験者数 合格者数 倍率
2022(R4) 8,417 4,246  2.0  3,312 2,308  1.4 
2021(R3) 9,019 4,098  2.2  3,006 1,881  1.6 
2020(R2) 8,121 4,791  1.7  2,197 1,741  1.3 
2019(R1) 11,501 4,244  2.7  3,219 2,032  1.6 
2018(H30) 12,718 4,505  2.8  3,812 2,371  1.6 
2017(H29) 12,683 4,219  3.0  3,599 2,176  1.7 

特別区職員採用試験(選考)実施状況より作成)

 

ご覧のように、辞退者を除くと、1次試験の倍率は約2~3倍2次試験の倍率は約1.5倍前後であることが分かります。
最初の表と比べて、ずいぶん低くなりますね。

ただ、「本当の倍率はこんなに低いんだ!」と気が緩みそうになったあなたは要注意!
この倍率の人数に入っているのは、全員本気で合格を目指す受験者

人数は減っても「少数精鋭」です。
その中で勝ち抜くのは、決して楽勝ではないはずです。

本気の受験生が増えている

確かにこれまでは、特別区の採用試験では辞退者が多めであるとされてきました。

しかし近年、辞退者は減少傾向にあります。

辞退者が減ったということは、この試験にかけている受験生が増えているということ。

それだけに皆必死で対策をしてくるので、人数が減ったとしてもレベルの高い競争になると考えるべきでしょう。

特にここ数年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による不況の中、安定感のある公務員は人気があります。
辞退者はさらに減少することが予想されます。

倍率のリアルを認識しよう

それでも、「1次試験の倍率約2~3倍、2次試験の倍率約1.5倍前後」という数字は、人気の大企業の倍率と比べればかなり低い!…と感じる人もいることでしょう。
確かに、何十倍、何百倍の倍率よりは“広き門”と言うべきかもしれません。

しかし、思い浮かべてみてください。
ここに、あなたを含めて10人の受験生がいます。みんな本気の受験生です。
この10人のうち、1次試験で7人落ちます。残るのは3人だけです。

その3人も、2次試験ではだれか1人落ち、最終的に残るのは、10人中2人だけです。

いかがでしょうか。
「かなり厳しい」と思う人が多いのではないでしょうか。

特別区合格のための対策は、それなりに長い期間の努力を必要とします。
ぜひ、気持ちを引き締めて受験に望んでほしいと思います。

倍率のリアルをきちんと認識し、「最終的に合格できるのは、本気の受験生10人のうち2人だけ。絶対その2人に入る!」という強い意志を持って勉強していきましょう。

受験生にとって、対策がしづらくモチベーションダウンの原因となりやすいのが論文対策ではないでしょうか。

特別区採用試験では、その論文の配点が非常に高く、論文の出来が合否を大きく左右すると言われています。

独学で論文対策をするなら、模範解答集での勉強がおすすめです。
ひとりで一からやるより、合格論文のイメージがつかみやすく、学習の効率アップが期待できます。

経験者採用の倍率は?

では次に、特別区経験者採用1級職(社会人経験4年以上)と2級職(社会人経験8年以上)の倍率を見ていきましょう。

それぞれ、1級職と2級職の過去4年分の倍率です。

 

■1級職【試験区分:事務】

年度 採用予定数 申込者数 第1次試験 第2次試験 合格倍率
受験者数 合格者数 受験者数 合格者数
2022(R4) 143 1,702 1,287 436 424 215 6.0
2021(R3) 110 1,799 1,302 315 305 172 7.6
2020(R2) 113 1,662 1,247 311 298 155 8.0
2019(R1) 125 2,037 1,601 337 322 173 9.3

 

■2級職【試験区分:事務】

年度 採用予定数 申込者数 第1次試験 第2次試験 合格倍率
受験者数 合格者数 受験者数 合格者数
2022(R4) 63 968 695 220 211 88 7.9
2021(R3) 44 1,093 762 159 154 59 12.9
2020(R2) 45 1,080 809 181 173 57 14.2
2019(R1) 47 1,146 870 185 181 61 14.3

特別区職員採用試験(選考)実施状況より作成)

 

1級職、2級職ともに、Ⅰ類と比較して倍率が高い印象ですね。

しかし、これでも、他の自治体の経験者採用枠と比較すると倍率は低いのです。
例えば、2021(令和3)年度の横浜市社会人採用の事務職の倍率が約30倍だったのと比べればお分かりいただけるでしょう。

では、なぜ特別区経験者採用は他の自治体の経験者採用枠よりも倍率が低いのか?

それは、社会人の採用人数が多いことが理由です。
公務員採用試験は民間以上に積極的に社会人を採用する傾向がありますが、特別区は特に社会人に門戸を開いています。
Ⅰ類合格者の中にも、社会人経験者が多数含まれています。

そのため、入区してからも同じ社会人経験者が多いので、新卒の中で肩身の狭い思いをすることもありません。
前職持ちの方にとって働きやすい環境だと言えるでしょう。

経験者採用1次試験・2次試験の倍率

経験者採用試験においても、公表されている倍率には「1次試験合格後2次試験を辞退した人」が含まれています。

ただ、経験者採用試験がⅠ類と異なるのは、特別区専願の人が多く、辞退者が非常に少ないことです。
つまり、公表されている倍率と実際の倍率には大きな差はありません。

次に、1級職、2級職それぞれの、1次試験と2次試験を分けてそれぞれの倍率を見てみましょう。

 

■1級職

年度 第1次試験 第2次試験
受験者数 合格者数 倍率 受験者数 合格者数 倍率
2022(R4) 1,287 436  3.0  424 215  2.0 
2021(R3) 1,302 315  4.1  305 172  1.8 
2020(R2) 1,247 311  4.0  298 155  1.9 
2019(R1) 1,601 337  4.8  322 173  1.9 

 

■2級職

年度 第1次試験 第2次試験
受験者数 合格者数 倍率 受験者数 合格者数 倍率
2022(R4) 695 220  3.2  211 88  2.4 
2021(R3) 762 159  4.8  154 59  2.6 
2020(R2) 809 181  4.5  173 57  3.0 
2019(R1) 870 185  4.7  181 61  3.0 

特別区職員採用試験(選考)実施状況より作成)

 

2次試験の合否は、2次の面接だけではなく、1次の筆記試験の成績も考慮して決められます。
そのため、1次試験の成績も非常に重要なのです。

1次試験のうち、教養試験の結果は主に足切りに使われるので、合否を大きく分けるのは論文の出来です。

さらに、経験者採用試験では、出願の際に「職務経歴書」の提出を求められます。
エントリーシートのようなものですが、実はこれが試験と同じほどの重みを持っています。

このように考えると、経験者採用試験の実際の難易度は倍率の数字以上だと言ってもよいでしょう。

気を引き締めて、しっかり対策をしたいものです。

受験者数が圧倒的に多いⅠ類と比べると、特別区経験者採用の対策方法は解説しているサイトがとても少ないですよね。

下記の記事では、経験者採用について詳しく解説しているので、受験を検討している人はぜひ読んでみてください。

なお、下記の記事も参考になると思います。

 

おわりに

特別区採用試験の倍率は、非常に高いとまでは言えないかもしれません。
しかし、モチベーション高く、しっかりした対策をする必要があることも、お分かりいただけたのではないかと思います。
さらに、新型コロナウイルスなどの影響で、今後ますます人気が高まることも考えられます。

合格できるよう、ぜひとも十分な対策をして臨んでいきましょう。
健闘をお祈りしています!