「子どもの貧困に関すること」
「循環型社会に関すること」
どちらも特別区で注目されているテーマであり、特別区の論文試験で出題される可能性があります。
さて、この2テーマについて、あなたは質の高い論文を作成する自信はありますか?
希望区に行きたい場合には、上位合格できるクオリティの論文を書かなければなりません。
自信がないという人は、今すぐ対策に取り掛かりましょう。
ここでは「論文が上手でなくても、安定的に合格論文を書けるようになる対策方法」を紹介します。
これまで指導してきた上位合格者たちが実践したやり方を挙げていますから、これを駆使すれば、どのようなテーマであってもほぼ間違いなく高得点を獲得できるようになるでしょう。
なお、論文対策全般については下記の記事で徹底解説しています。
上位合格者のトレーニング方法
上位合格者のほとんどは、論文対策に時間と労力を割き、論文試験で高得点を取っています。
25種類程度の予想テーマについて実際に論文を作り、納得できるまで繰り返し修正していたとのこと。そして、出来上がったものを覚えるくらいの勢いで読み込んでいたそうです。
意外だったのは「考えて論文を書く」ということをしている人がほとんどいなかったということです。
論文試験を「論理的に考えて、その場で文章を作り上げるもの」ではなく、「出題テーマに対して、覚えておいた模範解答を淡々と書く作業」と捉えているんですね。
多くの上位合格者は、「模範解答を多く覚えておいて、問題文に沿って少し調整すれば安定する。出題テーマやそのときの自分の状態によって点数が大きく変わるので、答えを暗記してしまうのが最適」と語っています。
つまり、上位合格者たちは「論文=暗記科目」というスタンスで臨んでいるのです。
模範解答の暗記だけで高得点を取れるのか?
ただ、ここで「暗記したようなテーマがそのまま出題されれば良いが、異なるテーマだった場合は困るのではないか?」という疑問が浮かぶのではないでしょうか。
もちろん、違うテーマに対して模範解答をそのまま書いては、ゼロ点に近くなるでしょう。
そうではなく、異なるテーマに対しては「模範解答から吸収した課題・解決策」などを活用して、文章を整えていくのです。
予想通りのテーマであれば、模範解答から変えずに使えばOKです。
つまり、模範解答から得た知識を使えば、どのようなテーマでも応用可能ということです。
実際、模範解答を暗記するといっても、本当に文章の並びだけを機械的に覚えるわけではありません。
暗記をするに伴って、文章の作り方や行政に関する知識など様々な知識が身についていきます。
模範解答を100%そのまま使える出題テーマがベストではあるものの、そうでなくても模範解答を覚える中でたくさんのものを得ることができますから、対策として有効な方法であると言えるのです。
暗記こそ究極の論文対策
通常、「論文対策」という言葉から「暗記」というワードを連想する人はまずいないでしょう。
多くの方は、出題されそうなテーマに関して理解して→論理的に思考して→時間内に文章を完成できるようにならないと!と考えるはずです。
一方、化学や歴史などの典型的な暗記科目については、問題を読んで半分くらい反射的に「答えはこれだ」と解くものです。
もちろんこちらの方が基本的に容易ですし、勉強もしやすいと言えます。
そして、「時間内に論文を書きなさい」と言葉で表現すると簡単そうに聞こえますが、実はかなり難度の高い要求をしています。
それでも上位合格者が論文で高得点を取ることができているのは、暗記科目のように勉強していたからです。
テーマごとに模範解答を覚えて、出題テーマに応じて反射的に論文を書いています。
問題文を見るだけで、「このテーマなら、あれを書けばOKだ」と判断しているのです。
この「模範解答の暗記」については、様々な利点があります。
時間の余裕が生まれる
特別区の論文試験は時間設定が非常に厳しいです。
他の部分で高得点を取っている受験生でも、時間不足で論文をきちんと書けず、不合格になるケースが多々あります。
さて、普通に論文を作る場合の大まかな流れは、
②自分の知識を呼び起こす
③問題点や解決策について考える
④論理的に組み立てる
⑤論理が正しいか精査する
⑥実際に書く
⑦文字数制限や時間と戦いながら微調整し続ける
となります。
万全の状態で臨むならまだしも、疲労とプレッシャーの中でこれらを着実にこなす必要があります。
そして「書き進めてみたら、文字数が足りない・超える」というのが最も困ります。
論文の場合、「必要なだけ書き足して・消して調整する」ことが非常に難しいですから、そのまま時間オーバーになってしまう可能性が高いです。
しかし、模範解答を覚えていればどうでしょうか。
②模範解答を思い出す
③アウトプットしつつ論文として整える
これだけで済みます。
時間的余裕が生まれるのはもちろんのこと、精神的にもかなり楽になることでしょう。
また、模範解答は「出題テーマの課題・解決策に関して研究して、それを反映した文章」ですから、試験本番で本格的に思考する必要はありません。
さらに、模範解答は文章量もちょうど良いですから、文字数が不足したりオーバーしたりすることもまずありません。
疲労やプレッシャーの影響を受けにくくなる
試験本番の疲労やプレッシャーは凄まじいものです。
大半の受験生にとって人生のターニングポイントになるでしょうから、もしかしたら前日しっかり眠ることもできないかもしれません。
特に、論文試験は一次試験の最終科目ですから、教養試験を終えて疲弊している中で受けることになります。
そのような状態で、時間内に正確に、論理的に考えて文章を完成させる必要があるのです。
予備校などでは「論理的思考力を身につけましょう」などと教えることでしょう。
確かに質の高い論文を作るためには大事なことです。
しかし、有限の勉強時間の中で本当にそれを習得することができるでしょうか。
そして、仮に論理的思考力を高めることができたとしても、本番でそれを発揮できるとは断言できません。
時間と労力を費やしても、試験時のコンディション次第では本来の力を出せないかもしれないのです。
これは非常に恐ろしいことですよね。
上位合格者は、そのような「ギャンブル的要素」を排除するために模範解答を暗記しているのです。
淡々と模範解答を書くだけですから、メンタルの影響を受けることはほぼありません。
例えば「覚えた原子記号を書くこと」とあまり変わりません(論文の場合微調整は必要ですが)。
人間のパフォーマンスはそのときの状態や環境によって大きく変わります。
ですから「模範解答を覚えて→アウトプットする」という思考力のいらない方法が最適なんですね。
他の試験で手応えがなくても、配点比率の高い論文試験で挽回することもできるはずです。
正確なインプット・アウトプットに繋がる
テーマに関する理解度が論文の質を大きく左右することになります。
そのため、大半の人はテーマ研究をします。
しかし、テーマ研究を行ったとしても、そのテーマについてのハイクオリティな論文を書けるようになるとは限りません。
なぜなら、「知識を吸収すること」と「吸収した知識を論理的にまとめること」とでは求められるスキルが違うからです。
多くの人はこのことを知らず、やみくもに知識を得ようとします。
それでは良い論文を作ることはできません。
また、試験本番のコンディションによっては、インプットした知識がいびつにアウトプットされてしまう可能性もあります。
「文章を書いている途中は何も感じなくても、翌日見直すと明らかに酷いと気付く」というケースはよくあります。
試験本番の精神状態では、特にこのようなことが起きやすいと言えます。
ですが、模範解答を覚えているのであれば、このような失敗はしません。
研究テーマを「(模範解答としての)完璧な論文」の形で理解していますから、試験本番ではあまり考える必要がありません。
「この問題文なら、これが課題で、これが解決策である」とすぐに判断できます。
・時間感覚が身につく
・時間切れを回避できる
・文章量の感覚が身につく
・課題の解決策を理解できる
・様々なテーマに対応できる
・論文の型やルールが身につく
・論文対策の時間を大きく短縮できる
・論文に自信がつけば他の科目で余裕ができる
・特別区専用の模範解答を覚えれば合格論文を書ける
模範解答の読み込みと写経
ここまでの話からも明らかなように、最も効率の良い論文のトレーニング方法は、模範解答を読み込んだ上で写経をすることです。
費用対効果で言えば、これが究極のトレーニングだと言えるでしょう。
ここで言う写経とは「模範解答を見て、そっくりそのまま同じ論文を書く」ことです。
時間のない人は模範解答を読み込むだけでも効果があるでしょう。
模範解答を見ながら、一言一句同じように書いてみることで、論文の組み立て方やポイント、守るべきルール、時間感覚や書くべき文量まで学ぶことができます。
それ以外にも、テーマ分析に必要な膨大な時間を削減することにも繋がるでしょう。
なぜなら、模範解答を覚え込む中で、結果として頻出テーマの関連知識を習得できるからですね。
これまで述べてきたように、論文の力をつけるためには実際に書くことが不可欠です。
とはいえ、むやみやたらと書くよりは、模範解答を参考にしながら書く方がはるかに効率的でしょう。
予備校不要論のウソ
なお、この方法は「コストパフォーマンスには優れている」と言えますが、予備校での講義などを併用した方が望ましいのは言うまでもありません。
アドバイザー等の中には「予備校での講義はムダ」「模範解答さえあればいい」と極端な主張をする人もいますが、これは大きな間違いです。
模範解答から外れたテーマが出てきた場合、模範解答だけで練習をしてきた人は太刀打ちできません。
そのため、論理的な思考や文章力、幅広い知識や論文の基本的な作法などを講義を通じて学ぶことはとても価値のあることです。
ただ、受験生の中には「対策を始めたのが遅いので短期間で何とかしたい」「通っている予備校が特別区に絞った対策をしていない」という人もいるでしょう。
その人たちにとっては、特別区の模範解答を使って、何とか戦えるレベルにまで持っていくのは合理的だと言えます。
しかし、それは決して予備校が不要であることを意味しません。
予備校を使えるなら使った方がいいのは事実ですから、予備校不要論者の意見を鵜呑みにしないよう注意してくださいね。
特別区の模範解答を手に入れるには?
さて、ここまで模範解答を使ったトレーニングを推奨してきましたが、肝心の模範解答が手に入らなければトレーニングは行えません。
では、どうやって手に入れればいいのでしょうか?
自ら書き上げる
ひとつには、模範解答を自ら書き上げてしまうというのが考えられます。
一部の合格者は、かなりの時間をかけてテーマの分析を行い、各テーマについてゼロベースで論文を書いて「自分なりの模範解答」としていました。
ただ、このやり方はとても大変だと言わざるを得ません。
特別区の論文においては、分析すべきテーマが非常に多いのが特徴です。
また、市販の論文の参考書などは国家公務員や県庁・市役所向けの内容がほとんどであり、残念ながら特別区に絞った分析は行われていません。
とはいえ、ある程度時間に余裕がある人にとっては、自分なりに書き上げてみるのもひとつの選択肢だと思います。
その場合には、区議会HPや特別区長会調査研究機構などから特別区に特化した情報を収集していくのがよいでしょう。
模範解答集を利用する
既に述べたように、模範解答をゼロベースで書き上げるのは大変な手間がかかります。
しかも、書き上げたとしても、そのクオリティが合格を狙えるものかどうかは未知数です。
そのため、昨今の特別区採用試験においては、模範解答集を利用するのが割と一般的になっています。
説明会への参加、面接カードの作成、教養試験・専門試験対策などがある中、論文を大量に書き上げるのは至難のワザですから、無理もない話だと思います。
上記の模範解答集は予想テーマや頻出テーマを網羅しており、特別区Ⅰ類採用に完全特化したものです。
経験者採用や氷河期採用には対応していませんが、Ⅰ類採用での上位合格を目指すのなら最早必携だと言えるでしょう。
その他の候補としては、寺本康之さんの『小論文バイブル』などが挙げられます。
ただし、特別区に固有の事情を踏まえた内容とは言えないため、これのみで対策するのは少し危険かもしれません。
第1志望が国家公務員や市役所・県庁などの場合には、参考にするのはアリだと思います。
模範解答集を使わないという選択肢もあるかもしれませんが、短期間で論文対策を行いたい受験生にとっては、勉強時間を削減し、その他の科目に時間を使えるようになるのでとても有効な対策法だと思います。
特別区の1次試験は論文の配点が高いと言われていますから、模範解答集を使って確実な合格を目指していきましょう。
あなたが最終合格を獲得し、特別区職員として働けることを心から祈っています。
どうか最後まで頑張ってくださいね。