特別区職員として働くためには「特別区採用試験」に最終合格したのち、各区で行われる「区面接」で内定を獲得する必要があります。
気になるのが
「区面接でどこの区からも内定が獲得できず『採用漏れ』になる可能性はあるの?」
「落ちる人っているんですか?」
というところ。
採用漏れは全受験生が回避したい最悪の事態ですよね。
しかし、残念ながら採用漏れはあります。
まず事実として、特別区人事委員会は次のように言及しています。
ただし、欠員状況によっては提示されず、その結果、採用されない場合もあります。最終合格が採用内定ではないことにご注意ください。また、提示の有無に関する問合せには応じられません。
※採用候補者名簿の有効期間は、原則として名簿確定後1年です。
最終合格したとしても、区面接での採用漏れがあり得ることが明示されていますね。
つまり、区面接で落ち続ければ、採用漏れが現実のものとなるのです。
そのため、区面接には人事委員会面接以上の準備をして挑むべきなのですが、油断した結果として採用漏れになるケースが後を絶ちません。
そこで今回は、「採用漏れに至るケース」と「区面接で落ちる人の特徴」をお伝えします。
採用漏れになるケース
まずは採用漏れがどのように発生するのかを確認しましょう。
以降では、最終合格後に行われる「各区ごとの面接」から「区からの内定獲得」までの流れを解説します。
流れとしては下記のとおりです。
②人事委員会から区への提示
③区からの連絡
④区面接
⑤内定獲得
⑥不合格・辞退
簡単に説明すると、最終合格者は採用候補者名簿に登録されます。
その後、特別区人事委員会から各区に対して、最終合格の順位が高い順に提示が行われます。
提示とは、最終合格者を各区に推薦することです。
推薦された各区は、原則として当該最終合格者を相手に区面接を実施します。
なお、この辺りの流れについては下記の記事でも詳しく解説していますので、確認してみてください。
区面接で不合格
「最終合格さえすればいい。区面接は形だけのもので、簡単に内定を獲得できる」
このような言説もありますが、これは全くの間違いです。
特に人気区においては、区面接からが真の勝負だと言えるでしょう。
第一希望区から区面接の連絡が来ると、これで決まったとばかりに多くの受験生が油断します。
これが経験者採用の2級職や障害者採用の場合、区面接はほぼ意向確認であるため、油断してもいい(?)かもしれません。
しかしそれ以外の場合には、人事委員会の面接よりも区面接の倍率のほうが高いと考えられるため、落ちる可能性は大いにあります。
特に併願数の多い受験生は、そちらの対策にも時間を割かねばならないため、区面接の対策が後手に回りがちです。
しかし、区面接での不合格が続くと、各区の採用予定者数の枠がどんどん埋まっていき、結果として採用漏れになります。
区面接での油断は採用漏れに直結しているのです。
最終合格しても油断せず、区からの内定を獲得するまで対策を続けましょう。
辞退を繰り返した
過去の記事でも説明していますが、人気区には採用予定者数以上に受験生が集まります。
そして、区面接の連絡は最終合格の順位が高い受験生から順にくることになっているため、順位によっては希望区から連絡がこないことになります。
その場合、残念ながら希望区以外の区から連絡がくることになりますが、受験生の中には「〇〇区以外は行きたくない!」「△△区はイヤだなぁ…」ということで辞退を繰り返す人もいます。
しかし、このように辞退を繰り返していると、その間にどこの区も採用予定の枠が埋まってしまいます。
その結果、希望区に入るどころか、採用漏れとなってしまうケースが後を絶ちません。
こうならないためにも、辞退を繰り返すようなことはせず、ご縁だと思って区面接に挑んだほうがいいでしょう。
区面接で落ちる人の特徴
落ちる人の特徴として最も顕著なのが、区面接を「単なる顔合わせ」「採用前の面談」と考えている点です。
確かに、区面接に挑めるのは最終合格者だけであり、内定一歩手前であることは事実です。
しかし、23区はそれぞれに独自の評価基準を有しており、求める人材像も区ごとに異なります。
それを反映して、面接カードの分量が非常に多い区もあれば、集団討論やプレゼンテーションを課す区など、区面接の内容も区によって大きく異なるのが実態です。
そのため、各区に合わせた対策を最後まで行うことは必須だと言えるでしょう。
実際、区面接では特別区全体ではなく、その区について質問されることになります。
どの区にも当てはまるようなことしか回答しないと「それってどこの区でも当てはまりますよね?」「うちの区の特徴を聞いているんですけど?」と、聞き返されたり、印象が悪くなる可能性が高まります。
そうならないために、まずは区についての徹底的な研究が必要となります。
各区の基本構想や主要課題、求める人材は勿論のこと、区独自の取組・政策について調べておかなければなりません。
また、しっかりと第一希望区から内定を獲得している受験生は、
・区議会の録画配信を見てみる
・区民になったつもりで区報を読んでみる
などの愚直な努力を重ねています。
油断をして採用漏れになる受験生ほど、どこかで聞きかじっただけの浅い内容を話すものです。
そうならないためにも、その区についての地道な下調べをきちんと行うことが大切なのです。
採用漏れを避けるために
これまで述べてきたように、区面接では採用漏れが発生します。
また、採用漏れとなる受験生の数も、決して少なくはありません。
だとしたら、区面接に向けて行うべきベストな対策とは何なのでしょうか?
それは「予想される質問を把握し、自分なりの解答を練る」ことです。
瞬間的に良い解答が出てくる人は少数派。
多くの人はあらかじめ解答を練っており、大学で私が指導してきた各区の内定者もそのように対策してきました。
また、解答を練る作業を通じて自己分析が進み、その結果自己PRや志望動機がより良いものになるという効果も見込めます。
模範解答に完全依存している受験生の不合格率が高いのは、この辺りが原因だと考えられます。
つまり、解答を練る作業を行っていないため自己分析が不十分であり、その結果、面接での説得力を欠いているのです。
それ以外にも、面接官側が「またそれか…」「さっきの受験生もそうだったし…」「どこかの商材を暗記してきたんでしょ?」とウンザリしているのもあるでしょう。
そうならないためにも、過去の区面接受験生が聞かれた質問を徹底的に分析し、自分なりの解答を練り上げることが最重要です。
模範解答を参考にしながらも、しっかり自分の言葉で語ることで、採用漏れという最悪の事態を回避することができるでしょう。
おわりに
記事内で何度も述べてきたように、最終合格しているからと油断してはいけません。
特に人気区を希望している受験生にとっては区面接こそが最大の関門であり、人事委員会面接以上に徹底した対策が求められます。
特別区以外を併願している場合には、そちらの対策も進めなければならないため、とても忙しくなるでしょう。
しかし、内定獲得まであと一歩です!
採用漏れとならないためにも、気を抜くことなく対策を進めてください!