「9時~17時勤務を嫌がる米国人女性」に喝! サラリーマンが患う“症候群”とは
ITmedia ビジネスオンライン / 2023年11月21日 11時22分
今回のアセロさんの涙の訴えに対する、日本人のリアクションは、この「自分が苦労していたんだから他人にも同じ苦労をさせたい症候群」の典型的な“症状”だと思う。
大学を卒業したばかりで社会人経験が浅いというのは、逆に言えばこの社会の中の悪しき慣習や理不尽なことに毒されていないので、社会をよりよく変えるための大きな「気付き」になる。
実際、本件について報じた米ForbesのJack Kelly記者は、このような問題提起をしている。
『オフィスでの長時間労働は、効率や効果を向上させない。誰もが経験したことがあるだろう。流れに乗って仕事をこなしていると、次々と邪魔が入る。元の状態に戻るのは難しい。このような日々を繰り返すのは時間とエネルギーの膨大な浪費だ』
『人にはそれぞれのバイオリズムがある。9時から17時と決めて働くのではなく、個人の生産性のピークに合わせて従業員の勤務時間を調整する方が、企業にとって理に適っているのではないか』(Forbes japan 11月6日)
しかし、日本ではこういう意見は少ない。しかも、ネットやSNSに意見を書き込むような人の多くは、先ほど紹介したように「甘えるな」という感じで否定的だ。自分の仕事がいかに長時間労働で、ハードで苦しい思いをしているのかを切々と訴えて、米国のZ世代女性に対して「だからあなたもがんばりなさい」と言わんばかりの人もかなりいるのだ。
●パワハラ臭が漂う社会
国も労働文化も違う。仕事によって事情も異なる。にもかかわらず、「9時から17時まで働くのは人として当然」という自分たちの価値観こそが正義だと押し付けていく。これは誰がどうみても、「自分が苦労していたんだから他人にも同じ苦労をさせたい症候群」ではないか。
さて、そこで次に気になるのは、なぜ日本社会でこのようなパワハラ臭の漂う文化が広まっているのかということだ。まず大きいのは「教育」だろう。
日本人は小学校や中学校という義務教育の中で「我慢」や「忍耐」を学ぶ。みんなのためには自分を殺すことを徹底させて、痛みや苦しみを経験することで人として成長して、強い大人になると考えられる。その代表がいまだに教育現場や部活動にある体罰だ。
京都大学の岩井八郎教授の『経験の連鎖ーJGSS2000/2001による「体罰」に対する意識の分析ー』という論文には、以下のような興味深い事実が確認されている。
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