「特別区の面接って3分プレゼンがあるんですか!?」
「特別区の面接には頻出の質問があるって聞いたけど本当?」
「1次試験は合格できそうだけど、面接対策は何をやれば…」
結論から言うと、特別区の面接は他の試験種と傾向が異なります。
3分プレゼン・面接会場・質問される内容、そのどれもが独自色の強いものです。
面接自体は一発勝負の個別面接ですが、筆記試験の成績全体と同じか、それ以上の配点があると言われています。
そのため、面接で合否が決まると言っても大げさではありません。
事前に情報を得たうえで入念な準備を行い、万全の態勢で挑むことが求められます。
そこで今回は、私自身の受験経験と、これまで指導してきた合格者の体験をもとに、特別区の面接を徹底解説していきます!
面接カード
2022年からの変更
2022年試験から、面接カードは受験申込時の提出となりました。
これ以前は、1次試験後に合格者にのみ面接カードが送付され、じっくり作成することができたんですね。
しかしこれからは、1次試験対策と並行して面接カードを作成する必要があります。
今回の変更は、内定辞退者を減らすのが大きな目的だと思われます。
これまでの特別区の採用試験においては、内定辞退者が多いことが常に課題となっていました。
そこで、申込時点におけるハードルを上げることで、軽い気持ちの受験生を排除することにしたのでしょうね。
とてもドラスティックな変更ではありますが、見方を変えれば、本気の受験生にとっては大きなチャンスでもあります。
なお、面接カードの詳細な書き方については下記の記事で徹底解説しています。
※ちなみに、面接カードは提出後に変更・修正することは一切できません。
提出した内容については、PDFファイル等の形で必ず保存しておきましょう!
記入時に意識すべきこと
さて、特別区の面接においては面接カードが重要な役割を演じます。
なぜなら、面接カードに沿う形で面接が進んでいくからです。
そのため、面接カードの完成度が、面接の完成度に直結する傾向があります。
面接カードの設問は3問。1問あたり250字以内です。
面接カードを記入する際に最も意識すべきことは、内容を徹底的に「シンプル」にすることです。
面接官は、面接終了後に面接カードを読み返し、皆さんのことを採点します。
そのとき、面接カードの内容が複雑になっていると、皆さんの話も「なんだかよくわからなかったな」で終わってしまいますね。
受験生の多くが、記入するエピソードのインパクトにばかり目を向けがちなのですが、そこは重要ではありません。
そもそも受験生の多くが大学生なので、インパクトのあるエピソードを持っている方が珍しいでしょう。
それよりも、シンプルさを徹底的に意識し、読みやすい文章を書くことの方がとても重要なのです。
特別区の求める人材像
重ねて大切なことが、特別区の求める人材像を把握することです。
相手がどんな人材を求めているのかがわからなければ、自分をどう売り込めばいいのかもわかりません。
それでは、特別区はどのような人材を求めているのでしょうか?
実は、この答えは公式サイトで既に言及されています。それは「自ら考え行動する人材」です。
特別区は「自ら考え行動する人材」を求めています。ここ特別区には、23の魅力ある個性があります。このまちを愛し、区民の幸せのために、自分の力を発揮したいと願うあなたへメッセージを贈ります。私たちは、特別区の未来をつくっていきたい。そう、他の誰でもない「あなた」と。
聴くあなた 人の思いを理解し、誠実に[聴く]。そうして、自分のことのようにまっすぐ向き合う。
学ぶあなた 向上心を持って、自ら[学ぶ]。そうして、自分を磨き、人として成長していく。
考えるあなた 想像力、そして創造力豊かに、人々が笑顔になるための方法を[考える]。そうして、「私は、こう考えます」とポジティブに表現できる。
行動するあなた チャレンジする気持ちを忘れず、周りに働きかけて[行動する]。そうして、チームの中で自分の役割を果たしていく。
特別区人事委員会採用試験情報より引用
公式が言及していることを踏まえると、この4つの要素はとても重要だと言えます。
面接カードには、関連する要素をしっかりと記述しましょう。
あなたが特別区でどのような仕事に挑戦したいか、あなたの強みと志望動機も含めて具体的に書いてください。(250文字以内)※面接の冒頭に3分程度でプレゼンテーションしていただきます。
最初の設問です。
「強み」「挑戦したい仕事」「志望動機」、これら3つの要素をしっかりと盛り込まなくてはいけません。
しかし、250字の字数制限を踏まえると、詳細を記すことは困難でしょう。
そのため、面接カードにはキーワードだけを書き、細かい部分は3分プレゼンで伝えるのがベストです。
そして、この3分プレゼンこそが、特別区の面接を特殊たらしめている最大の要因です。
面接冒頭の軽いやり取りが終わると、すぐさま3分プレゼンを求められます。
原稿をしっかり作っておかないと、途中で言葉が出てこなくなる可能性が非常に高いです。
800~1000字程度を目安に原稿を作成し、本番までに内容を暗記してください。(時間も計ってネ)
実際、私が指導してきた合格者も、原稿を作成している人が圧倒的に多かったですね。
発声練習も含め、とにかく準備に時間がかかりますので、早いうちから対策に励みましょう。
3分プレゼンを苦手とする受験生は多いですが、毎日の発声練習を欠かさなければ、必ず上手くいきます。
諦めることなく、継続して練習しましょうね。
さて、最初の設問に書くべき内容ですが、王道は以下のとおりです。
2. 強みを発揮した経験or強みをどう培ったか
3. 挑戦したい仕事(強みと絡めながら)
4. 志望動機(実体験などと絡めながら)
まずは自己分析を行い、そこで見つけた強みを書きましょう。
そして、その強みを発揮した経験か、もしくは強みをどう培ったかをシンプルに記述します。
繰り返しになりますが、詳細は3分プレゼンで話せばよいので、面接カードでは徹底的にシンプルさを意識してください。
次に、挑戦したい仕事を書かなくてはいけません。
挑戦したい仕事は、強みと絡んでいるのが望ましいでしょう。
「〇〇〇という強みがあるので、これを活かして△△△に挑戦したい」という流れが見えると、なぜその仕事に挑戦したいのかを面接官が理解しやすくなります。
最後に、志望動機ですね。
この志望動機については、自身の実体験などを交えながら書くと、面接官の心証は良くなるでしょう。
3分プレゼンは面接冒頭にあるため、この部分で印象が悪いと面接全体の印象まで悪くなりかねません。
最も完成度を高めるべき部分ですので、徹底的に対策しましょう!
あなたが一つのことをやり遂げた経験を挙げ、その中で最も困難だと感じたことと、それをどのように乗り越えたかを教えてください。(250文字以内)
この設問では、「創意工夫ができる人材か」が見られています。
特別区は、日々変化する社会・経済情勢の中で、とても多くの課題を抱えています。
そして、その課題に立ち向かっているのが特別区職員に他なりません。
課題を前にして、思考停止に陥ることは許されません。前例のない課題にも、自らの創意工夫で対処することが求められます。
そんな仕事だからこそ、受験生が「創意工夫ができる人材か」を慎重に見極める必要があるのです。
そういった意図を踏まえると、ここでは「最も困難だと感じたこと」と「自らどのような工夫をしたのか」を書く必要があるでしょう。
重要なのは「自らどのような工夫をしたのか」の部分です。
例え「最も困難だと感じたこと」が大きなものでなくても、それほど問題ではありません。
面接官が本当に知りたいのは、
・なぜそのような工夫をしようと思ったのか?
・その工夫の結果どうなったのか?
の部分です。エピソードの大きさにこだわり過ぎず、自身の「工夫」を丁寧に伝えましょう。
目標達成に向けてチームで行った経験において、チームへの貢献につながったあなた独自のアイディアを、ご自身の役割とともに教えて下さい。(250文字以内)
特別区を含めた行政組織では、チームやグループでの活動が基本となります。
そのため、受験生がチームやグループでうまくやっていけるかどうかを事前に確かめなければなりません。この設問はそのような意図から設定されているのです。
「役割」とはリーダーやサブリーダー、縁の下の力持ちなどが挙げられるでしょう。
「独自のアイディア」と言われるとプレッシャーを感じるかもしれませんが、斬新さを問われているわけではありません。
単に与えられた役割を果たすのではなく、自ら考え、チーム全体に貢献しようとしたのかが問われています。
本質的に問われているのは、あなた個人の考えと、そこでの行動です。
その意味では、本質的には前の設問である「あなたが今までに最も困難だと感じた状況を挙げ、それをどのように乗り越えたかを教えてください」と似たような問いだと言えるでしょう。
そのため、この設問におけるあなたの思考や行動のクセのようなものが、前の設問と似通っているとベストだと言えます。
似通っていればいるほど、あなた自身がどういう人物なのかがハッキリと面接官に伝わるからです。
ただ、強引に似たものにしようとすると不自然さが出るので、さじ加減には注意しましょうね。
面接の基本情報
大田区産業プラザPiO
試験会場・日程
特別区Ⅰ類の2次試験は個別面接1回のみです。
1次試験合格者だけ「1次試験合格通知書、2次試験案内」の2点が送られます。
この2次試験案内に会場の詳細が記されていますが、試験会場・日程は例年下記のとおりです(昨年・一昨年とコロナ禍による会場変更もありましたが、2023年からは例年通りになると予想されます)。
例年の会場は「大田区産業プラザPio」となっています。
最寄り駅はJR、もしくは京急線の「蒲田駅」です。どちらの駅から向かっても大差はありませんので、自身の都合に合わせてルートを決めてください。
ただし、どちらのルートから向かうにせよ、1度は会場の下見をしておきましょう。
私が指導してきた学生たちも、駅から会場までのルートを実際に歩いていますよ。
面接の日にちはランダムに決定されており、どのような事情があろうとも変更することはできません。
Ⅰ類の場合だと、日程が一番早い人と、一番遅い人では10日間ほど日にちに開きがあります。
2023年は2次試験の日程が7/9(日)~7/19(水)となっており、一番早い人は7/9(日)、一番遅い人は7/19(水)に面接本番を迎えます。
また、集合時間は朝9時の人もいれば昼13時の人もいるなど、かなりばらつきがあります。
なお、1次試験の成績順で日程が決まっているという噂がありますが、真偽不明です。
そんな噂を気にするよりも、面接対策に集中しましょう。
ちなみに、これまでの合格者は1次試験終了後すぐに面接対策を始めています。
ライバルたちに勝つためにも、1日も早く面接対策を始めましょう!
面接当日の流れ
一般的な公務員試験の面接では、受験自治体の庁舎などに行き面接を受けるだけです。
しかし、特別区は受験者数が膨大なため、より大規模かつ効率的に面接を実施しなくてはなりません。
そこで、面接がどのように行われるのかを徹底解説していきます。
あらかじめイメージを掴んでおくことで、当日の不安を少しでも小さくしていきましょう。
✅会場到着
指定された時刻までに大田区産業プラザPioに到着しましょう。
✅1Fで受付
会場入口すぐの所に受付がありますので、受付を行います。
✅会議室にて待機
時間まで6F会議室で待機するよう案内されます(1F奥の会議室を指示される場合もあります)。
ここが受験生控室になるので、面接本番まで待機してください。
かなり多くの受験生と待機することになります。
✅開始時間が近づくと、担当者からアナウンス
待機している受験生は3つのグループに分けられます。
試験時間が近づくと、対象グループの人たちだけが呼ばれ、それ以外の受験生は引き続き待機です。
✅1F大展示ホールへ移動
呼ばれた受験生たちは、受験番号順に整列するよう指示されます。
そしてその後、面接会場である大展示ホールへ移動します。
✅面接ブース入口で待機
大展示ホール内には、たくさんの面接ブースが設置されています。
各ブースには番号が振られており、受験生は自身が該当するブース入口で待機します。
✅面接開始
試験開始の合図とともに、ブースへ入場し面接開始となります。
全てのブースで同時に面接が行われます。
✅面接中
面接官は3人で、通常は各区および各組合(特別区人事・厚生事務組合等)の管理職が担当します。
簡単なアイスブレークの後、3分プレゼンを行うよう指示されます。
3分プレゼンが終了すると、その内容への質疑応答に入り、そこからは通常の面接と同じ形で進みます。
面接開始から終了までは、30分程度となります。
✅面接終了
全てのブースで同時に面接開始となるので、終了のタイミングもほぼ同じです。
場合によっては多少の前後もありますが、気にする必要はありません。
控室には戻らず、終わったブースから順に帰宅することになります。
このように、通常の公務員試験の面接とは大きくスタイルが異なります。
面接の流れのイメージを掴み、イメージトレーニングを繰り返して当日の不安を少しでも小さくしておきましょう。
ちなみに「面接会場や面接ブースはどんな感じなんだろう?」と気になる人も多いでしょう。
まず、会場となる大展示ホールですが、下記の画像のとおりです。
1F大展示ホール
会場の広さがよくわかると思います。
画像では机や椅子が並んでいますが、面接当日は会場内に数多くのブースが設営されており、そこで面接が行われます。
なお、面接ブースは下記の画像をイメージしてください。
このようにパーテーションで区切られた小さなブースで面接が行われます。
ブースはパーテーションで区切られているだけなので、隣のブースの音も多少聞こえてきます。
そのため、大きな声ではっきりと話さないと、面接官に声が届きません。
特に特別区では、現在コロナ対策でマスクを着用した状態で面接が行われるため、大きめの声を意識することはとても重要です。
模擬面接など、普段の練習でも声量を意識しましょう。
面接は3人体制で実施
特別区の面接は、各区の管理職3名と受験生1名の体制で実施されます。
合格者の話によると、かなり高い確率で第一希望区の管理職が1名いるとのこと(私の時もそうでした!)。
受験生の希望区を考慮して、特別区側が配慮をしてくれているのでしょう。
ただし、江戸川区だけは例外です。
江戸川区は「江戸川方式」と称される専願制を採っているので、江戸川区の職員だけが面接を担当します。
ところで、特別区の面接官は管理職ではあるものの、普段から人事を担当しているわけではありません。
福祉や環境、産業振興といった他部署の管理職も相当数にのぼります。
その意味では「人事・採用のプロフェッショナル」が面接官を務めているとは言えません。
しかし、管理職は普段から課を率いてマネジメントを行っている人物です。
受験生が入庁後にやっていけるかどうか、長年の現場経験やマネジメント経験からシビアに判定をしてくるでしょう。
管理職からすれば、受験生は自分の部下として配属される可能性があるわけですから、真剣にならざるを得ません。
アドバイザーの中には「面接官はプロじゃない!」「ゆるい気持ちで挑んでも何とかなる!」などと言う人もいますが、その認識は間違っています。
管理職は「行政のプロ」です。
緊張感を持って、真剣に挑むべきだと思います。
ブースごとに違いはある?
受験生に面接の感想を聞くと「とっても優しい面接官でした!」という人がいる一方で、「ずっと圧迫されました…」「1回も頷いてくれなかったし、厳しい表情でした…」という人も相当数います。
市役所などの採用試験では、多くの受験生が同じ面接官のもとで面接を受けることになりますが、特別区は日程やブースによって、面接官が大きく異なるのが特徴です。
そのため、ブースによっては面接官との相性が良いこともあれば、もの凄く相性が悪いこともあるのです。
受験生の中で「当たり部屋」「ハズレ部屋」と言われるのがコレですね。
とても理不尽に思えますが、こういった「運」が絡んでしまうのは特別区の面接では回避することができません。
冷静に論理を詰めてくる面接官もいれば、スタンダードな質問ばかりの面接官もいます。
圧迫をしてくる面接官、ニコニコした面接官。
親戚のおじさん・おばさんかのような雰囲気の面接官もいるでしょう。
このように、どんなタイプの面接官が現れるのかは当日ブースに入ってみるまでは分かりません。
そのため、模擬面接などを通して、色々なタイプの面接官に慣れておくのが重要です。
優しいタイプの人としか模擬面接をしていない場合、本番で圧迫されると言葉が出なくなりますから注意が必要でしょう。
特別区の面接で聞かれる質問
受験生が最も気になるのが「面接で何を質問されるのか?」でしょう。
何を聞かれるのかがあらかじめわかっていれば、事前に備えることができます。
一方で、何を聞かれるのかが不明瞭では、準備のしようがありません。
そこで特ゼミでは、私自身と特別区の元同僚、そしてこれまで大学で指導してきた受験生たちが聞かれた質問を徹底的にまとめ、その特徴を分析しました。
具体性の追求
1つめの特徴が、受験生が話すエピソードについて、最初から最後まで具体性を追求してくる点が挙げられます。
「どんな背景があったんですか?」
「その役割を担うことになった理由は?」
「話し合いは誰としたんですか?人数は?」
「なぜその提案をしようと思ったんですか?」
「そういったトラブルはよくあるんですか?」
「何について話し合いが必要だったんですか?」
といった具合に、具体的な内容について深掘りが行われます。
なぜこのように具体性を追求してくるのかというと、受験生の多くが「ウソ」のエピソードを話すからです。
残念ながら、面接をくぐり抜けるためにエピソードをでっちあげる受験生は少なくありません。
面接官としては、そのエピソードが本当かどうかを確かめる必要があります。
そこで、エピソードを具体的に話せるかどうかで、真偽をはかろうとしているのです。
本当のエピソードなら、具体的に話せるはずですからね。
しかし、これは裏を返すと「本当のエピソードであっても、具体的に話せないとウソだと思われる」ということでもあります。
話すエピソードについては、詳細を聞かれたときに具体的に話せるよう準備をしておきましょう。
どのように考えたか
あなたの回答に対して、「そのときあなたはどう考えたんですか?」とあなたの思考や感情を聞いてきます。
特別区の求める「自ら考え行動する人材」であるかどうかを見極めるために、こういった質問がなされています。
私の指導経験から言うと、エピソードをスラスラ話せても、その時々の思考や感情まで整理できている受験生は少数派です。
しかし、だからこそ他の受験生との差をつけやすいポイントだと言えるでしょう。
当時の状況を振り返り、何を考え、何を思ったのかを言葉にして整理しておきましょう。
「他にはありますか?」
特別区の面接で最も特徴的なのが、この「他には?」攻撃です。
例えば「チームで活動した経験について教えてください」と質問され、あなたは用意していた回答を話すとします。
しかし、その直後に「他にチームでの活動経験はありますか?」「他にもエピソードがあれば聞かせてください」と面接官が追及してくるのです。
他の自治体でも「他には?」系の質問はありますが、特別区では段違いに追及が厳しい傾向にあります。
そして、もしもあなたが他のエピソードを用意していなかった場合、「他には…ありません…」と答えるしかありません。
それは確実に減点となるでしょう。
そういった事態を避けるためにも、「他には?」と聞かれた際の答えを用意しておかねばなりません。
ただし、聞かれ得る全ての質問について、もう1つのエピソードを用意しておくのは困難だと思います。
まずは、面接カードの設問&よく聞かれる質問についてだけは「他には?」への回答を用意しておきましょう。
特別区の政策や取組
また、先の「他には?」攻撃は政策や取組についても当てはまります。
他の自治体でも「興味のある政策」「関心をもった取組」を聞かれることはありますが、追及は特別区の方が厳しいように思います。
例えば「環境分野の取組で興味のあるものを教えてください」というふうに、分野をピンポイントで指定されることも少なくありません。
この場合、環境分野の取組を知らなければ答えようがありませんね。
それ以外にも「〇〇さんは千代田区が第一志望区ですが、千代田区の事業で興味のあるものはありますか?」と、特定の区の取組を聞かれることもあります。
したがって、各分野の政策・取組だけでなく、各区という切り口でも知識を入れておかなければなりません。
参考までに、昨年の受験生が聞かれた質問を一部公開します。
「志望区の予算規模は知っているか」
「〇〇区の政策で評価できるものを教えて」
「特別区の取組で魅力を感じるものはあるか」
「〇〇の分野で区の行っている施策を知っているか」
「特別区のDXについて、考えるところやアイデアはあるか」
「環境問題に対して特別区はどのような対策を進めるべきか」
「投票率向上のために特別区が行っている取組を知っているか」
「希望区は〇〇区だが、区の課題としてどんなものが挙げられるか」
「特別区の取組でいいなと思うものと、改善すべき点を話して欲しい」
「アフターコロナに向けて、特別区はどんな事に注力すべきだと思うか」
このように、政策や取組に関することも面接では追及されているのです。
現実的には、全ての政策分野や全ての区の情報を知るというのは不可能だと思いますが、自身が興味のある分野や、希望3区については最低限知識を入れておくべきでしょう。
なお、各区が行っている最新の政策・取組を下記の記事でまとめています。
自分一人で調べるのは大変でしょうから、是非参考にしてくださいね。
固有の事情は質問されない?
アドバイザーの中には「特別区の事情は問われない」「細かい部分を聞かれることはない」という人もいますが、この認識は妥当とは言えません。
既に紹介したように、過去の合格者の多くが特別区の政策や取組について聞かれたり、データについて聞かれたりしています。
この一点を取っても、固有の事情が質問されないというのは言い過ぎだと言えるでしょう。
また、面接冒頭の3分プレゼンでは「特別区で挑戦したいこと」を話すことになりますが、ここでは当然「〇〇という課題があるので、それに対して私は××という形で課題解決に向けて挑戦していきたい」という流れになるでしょう。
ここで面接官としては、例えば「その〇〇というのは、どういう風に課題なんですか?」「より具体的に言うと、どんな問題が起きていると考えていますか?」という質問を投げかけたくなるはずです。
その時に、あなたが「特別区の事情は問われない」「細かい部分を聞かれることはない」という言葉を鵜呑みにして、何も準備をしていなかったとしましょう。
その時に、面接官はあなたに高い評価を下すでしょうか?
とてもそうは思えませんよね?
現実的には、23区全てについて事細かな事情を把握しておくのは不可能でしょう。
そして、そこまでやる必要があるとも思いません。
しかし、繰り返しになりますが、自身が興味のある分野や、希望3区については最低限知識を入れておくべきです。
「行政に関する質問はされない」という甘い言葉に乗せられないよう注意してくださいね!
なお、特別区が抱える固有の課題については下記の記事でまとめています。
究極の面接対策
これまで述べてきたように、特別区の質問は他の自治体とは明確に傾向が異なります。
また、そこでの解答も様々なものが有り得るでしょう。
既に解説したように、特別区の面接は面接カードに沿って行われます。
そして、その面接カードの内容が千差万別である以上、答えるべき内容も千差万別になるのが自然なのです。
だとしたら、今後行うべきベストな面接対策とは何なのでしょうか?
それは「予想される質問を把握し、自分なりの解答を練る」ことです。
瞬間的に良い解答が出てくる人は少数派。
多くの人はあらかじめ解答を練っており、大学で私が指導している上位合格者もそのように対策してきました。
また、解答を練る作業を通じて自己分析が進み、その結果自己PRや志望動機がより良いものになるという効果も見込めます。
模範解答に完全依存している受験生の不合格率が高いのは、この辺りが原因だと考えられます。
つまり、解答を練る作業を行っていないため自己分析が不十分であり、その結果、面接での説得力を欠いているのです。
それ以外にも、面接官側が「またそれか…」「さっきの受験生もそうだったし…」「どこかの商材を暗記してきたんでしょ?」とウンザリしているのもあるでしょう。
そうならないためにも、過去の特別区受験生が聞かれた質問を徹底的に分析し、自分なりの解答を練り上げることが最重要です。
模範解答を参考にしながらも、しっかり自分の言葉で語ることで、あなたの最終合格はより確実なものとなるでしょう。
おわりに
ここまで読み進めてくれたあなたは、
「特別区に絶対入りたい!」
「今までの努力をムダにしたくない!」
「家族を安心させたい!」
そんな気持ちを抱いているのではないでしょうか?
元受験生として、私にはその気持ちが痛いほどわかります。
私も受験生時代は「長い間一生懸命に勉強をしてきたのに、面接でダメだったらどうしよう…」「もう1年頑張るなんて考えられない…」そんな気持ちをずっと抱いていました。
当時、面接の情報はほとんど世に出ておらず、手探りで面接対策を進めていました。
運良く最終合格することはできましたが、今振り返ると、もっと効率的に対策を進めることができたように思います。
多くの自治体がそうであるように、特別区は面接重視の自治体です。
配点は公表されていませんが、多くの識者が「筆記試験よりも面接の配点は大きい」と指摘しています。
実際に、面接で逆転合格を果たす受験生を数多く見てきました。
例え筆記試験の手応えがなかったとしても、ライバルたちよりも早く、入念な面接対策をすることで、あなたは合格を勝ち取れるのです。
あなたが最終合格を獲得し、特別区職員として働けることを心から祈っています。
どうか最後まで頑張ってくださいね。