特別区の人気区・不人気区は?区ごとの倍率を考察!(2023年度受験者向け)

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特別区志望者にとって志望区の選択は極めて重要であり、申込期限の間近まで迷い続ける方も少なくありません。

特別区はそれぞれ独立しているため、原則として採用後に他の区に異動することは不可能です。

実は、人事交流制度によって他の区に移ることもできるのですが、家の事情等、「致し方ない理由がある場合」でないと認められません。
少なくとも「イメージと違ったから異動する」ということはできないのです。

例えば大学であれば、それほどこだわらずに選択しても「中退→別の大学に入り直す」ということもできますよね。
そのため大学選びと比べても、さらに重い決断になるのです。

さて、基本的に試験の成績上位者から順に、志望区への受験資格が与えられます。
そのため人気区を志望するとなると、好成績を収めないとスタートラインにすら立てません。

となると、「自分の希望区の人気度」を知りたくなりますよね。
人気の低い区から選んで合格の可能性を高めたいという人もいるはずです。

そこで今回は、特別区の人気区区ごとの倍率などについて、色々なデータから考えていきます。

人気区の推定は可能か?

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そもそも、区別の志望者数データが公式発表されたことはありません。
また、人気区、区別の倍率なども不明です。

ですから、まずは「厳密なデータを知ることはできない」ということを理解しておきましょう。

しかし、合同説明会、区別の人事行政データ、その他調査などから推測することはできます。
こうした情報は、推測の精度を上げるのに大いに役に立ちます。

特別区合同説明会を参考にする

毎年1月頃に、23区合同の説明会が行われています。
この説明会から、人気区と不人気区を客観的に把握することができます。

説明会では、各区が個別のブースを作り、そのブースに参加者が集まることになります。

そしてお察しの通り、人気区であれば人が多く来ますし、人気のない区であれば閑古鳥が鳴くような状態になります。
また、ブースには定員がありますから、人気区のブースに入りたい人は説明会がスタートする数十分前から行列を作っています。

一方、人気の低い区であれば、当然行列はほぼできません。
それどころか、区の職員が説明会に誘うために努力をしている姿さえ見かけます。

この説明会では、想像以上に区ごとの人気度が露骨に表れるのです。
率直に言って人気の低い区に関しては、「辛そうで見ていられない」とさえ感じるかもしれません。

さて、合同説明会への参加経験や聞き取り調査から、大まかに以下のような傾向があると判断しました。

人気度を5段階で評価しています(5が最高です)。

5:千代田区、港区、文京区、渋谷区、杉並区
4:中央区、目黒区、世田谷区、中野区、豊島区
3:新宿区、台東区、品川区、大田区、板橋区
2:墨田区、江東区、北区、練馬区
1:荒川区、足立区、葛飾区

※江戸川区は専願のため除外

もちろん正確なデータは各区しか持っていませんが、おおよそは合っているという自信があります。

また、ぜひあなたも合同説明会に行くことをオススメします。
ただし、「各区の人気度がわかるから」ではありません。
「人気度に振り回されずに、志望区を選ぶことができるようになるから」です。

例えば、何十分も並んで参加できた説明会で「案外質が低いな」と感じ、人の少ない説明会でその区に魅力を感じるということは大いにあります。

実際、この説明会をきっかけに、志望区を変更した人はこれまでにたくさんいます。
そして合同説明会の開催時期的にも、志望区を変える余裕は十分にあるはずです。

そのため「合同説明会から見える人気度」と「申し込み時の人気度」に差がつくケースもあることは理解しておきましょう。

ちなみに、特別区の合同説明会については下記の記事でまとめています。

統計データを参考にする

毎年1万~1.3万人程度が特別区Ⅰ類・事務の受験をします(ちなみに2020年は新型コロナウイルスの影響でかなり少なくなったため考慮しません)。

もちろん、志望者全員にアンケートを取ることはできません。

ただし、当サイトでは「統計学的に十分な人数(本題とは無関係のため詳しい説明は省略します)」を対象に、希望区に関する大規模なアンケート調査を行っています。

※あくまで参考にはなってしまいますが、一定以上の精度はあります。

まずは2022年度の特別区Ⅰ類の調査結果です。

第1志望:千代田区、中央区、文京区、渋谷区、中野区
第2志望:港区、目黒区、大田区、世田谷区、豊島区
第3志望:江東区、品川区、渋谷区、杉並区、板橋区

これは、「第1志望として多く選ばれている上位5区は、千代田区、港区、文京区、渋谷区、中野区」という意味です。
ちなみに各区の差がかなり少ないため、各志望順位内での順位はありません(行政順です)。

また、経験者採用については以下の通りです。

第1志望:千代田区、渋谷区、中野区、杉並区、豊島区
第2志望:文京区、江東区、大田区、世田谷区、杉並区
第3志望:港区、墨田区、品川区、中野区、練馬区

ただし、経験者採用はⅠ類よりもバラつきが大きいのが特徴です。
Ⅰ類に比べると特定の区に人気が集中しておらず、満遍なく散らばっているのが実態ですね。

「大学の立地」が大きな影響を及ぼす

university

志望区を選ぶ基準としては、やはり自分に馴染みのある区を志望する人が多いです。

第3志望まで全て自分にゆかりのある区を選ぶとは限りませんが、最低でも一つは何らかの思い入れがある区を選択する方が大半とされています。

そして中でも、「自分が通っている(いた)大学の学部がある区」を選ぶ方が非常にたくさんいます。
実際、私が指導してきた学生も、大学で通っている区を選択する学生が多くいました。

特に特別区の受験生には、いわゆる「GMARCH(学習院・明治・青学・立教・中央・法政)出身者がかなり多いのが特徴です。

そして、これら大学の主要なキャンパスがある区は以下の通りです。

学習院:豊島区
明治大学:千代田区、杉並区
青山学院:渋谷区(相模原市)
立教大学:豊島区
中央大学:文京区(八王子市)
法政大学:千代田区

やはり人気が高い(と言われている)区ばかりですね。

実際、例えば豊島区役所には、立教大学を卒業している人が多いとされています。

あなた自身も志望区選びで悩んだときは、「まずは自分にゆかりのある区から」と考えてみると良いかもしれません。
もちろん必ずしも大学関連ではなく、暮らしていた区、好きな観光スポットのある区、親戚の区などから選択するのもイイでしょう。

ただ、繰り返しになりますが、やはり最終的には合同説明会に行った上で決めることをオススメします。

なお、当ブログでは論文や面接の参考となるよう各区の基本情報をまとめています。
それらを一覧にしたのが下記の記事となりますので、適宜ご参照ください。

「人気が高い=高倍率」とは限らない

ここまで色々な視点から人気区について考えてきましたが、気を付けなければならないことがあります。

それは、「人気区でも高倍率であるとは限らない」ということです。
なぜなら、各区の採用人数はバラバラだからです。

それでは、実際に各区の採用予定人数を見てみましょう。
採用予定人数が多い順に並べると、下記の表のようになります。

例えば千代田区は人気区とされており、かつ他の区と比べると採用人数は少なめであることを考えると、かなりの高倍率になることが分かります。

しかし、同じく人気区と見られている世田谷区の場合、採用人数が多い(千代田区の2倍以上)ですから、目立って倍率が高くなることはありません。

さて、過去のⅠ類・事務入区実績を明かしている区があります。
全ての区が公表している訳ではないので、公表している区のみを抜粋したのが下記の表です。

※最新の令和4年度の情報が公開されていないものは、令和3年度の情報をもとに作成しています。

 

例えば、練馬区は「採用予定人数42人/実際の採用人数61人」でした。
「採用人数>採用予定人数」ですから、ある程度倍率が高かったと推測することができます。

反対に、文京区は「採用予定人数49人/採用人数38人」。
「採用予定人数>採用人数」となっていますから、比較的倍率が低かったと推測することができます。

※ただし「ハイレベルな人材しか採用しなかったために予定人数を切った」という可能性がないわけではありません。

区ごとの予想倍率は?

これまでの様々な調査を考慮した上で、令和4年度の区ごとの予想倍率を作成しました。
予想倍率が高い順に並べると、下記の表のようになります。

予想倍率ですからズレがあるかもしれませんが、5.0以上の千代田区江戸川区は明らかに難易度が高いと言えるでしょう。
反対に、1.0未満の葛飾区板橋区であれば合格しやすいと判断することができます。

実際には辞退者もいるため、予定人数の倍程度は採用すると見られています。
ただ、年度によって方針が変化しますから気を付けなくてはなりません。

まとめ

どの区も、人気度や倍率は公表していません。
明かしてしまえば、今以上に受験者数が偏るでしょうから当然のことと言えます。

とはいえ予想はできますから、今回の内容を参考にしていただければ嬉しいです。

ただ、いずれにしても志望区にチャレンジするためにはトップクラスで合格しなくてはなりません。
特別区に関しては、上位合格者から順に志望区への受験資格が与えられるからです。

そのため特別区の最も重要な科目である論文の対策をすることが必須です。
たとえ他の部分で満点だったとしても、論文で失敗すればほぼ間違いなく不合格となります。

どのようなテーマで出題されても隙なく対応できるよう、論文対策にしっかり注力することを忘れないでくださいね。