監督:五百旗頭幸男
撮影:和田光弘 編集:西田豊和 音楽:岩本圭介
音楽プロデューサー:矢﨑裕行 プロデューサー:米澤利彦
製作:石川テレビ放送 配給:東風
2022年|日本|118分|ドキュメンタリー|(C)石川テレビ放送
お問合せ:info@tongpoo-films.jp
治家、公務員、有権者、マスメディア。みんなそれぞれ一生懸命。だけど、やっぱりズレている?!治家、公務員、有権者、マスメディア。みんなそれぞれ一生懸命。だけど、やっぱりズレている?!

イントロダクション

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舞台は北陸の保守王国、石川県。現職最長となる7期27年目の 谷本正憲 たにもとまさのり 知事(75)は、コロナ禍に「無症状の方は石川県にお越しいただければ」と失言、「4人以下での会食」を呼びかけながら自身は90人以上で会食。永すぎた権力集中が招いた綻びか、仕える者は忖度の度合いを強め、為政者は傍若無人になっていく。そんな長期県政もついに終焉を迎えた。8選出馬に前向きに見えた谷本の機先を制したのは、谷本の選対本部長を務めていた衆議院議員の 馳浩 はせひろし 。新知事が掲げたスローガンは「新時代」。そういえば22年前、衆議院に初当選した馳が掲げていたのもまた「新時代」だった。 の男たちが熱演する栄枯盛衰の権力移譲劇。ここ一番で必ず登場するのは、ご存知キングメーカーの 森喜朗 もりよしろう だ。いっぽうキャメラは、市井の生活者へも向けられる。同調圧力の強い社会で暮らすムスリム一家、車で移動しながら生活や仕事をするバンライファーの家族の姿から、理想や自由をめぐる葛藤と矛盾が浮かび上がる。

監督は、富山市議会の不正を丸裸にした映画『はりぼて』の五百旗頭幸男。富山のチューリップテレビを辞した五百旗頭が、新天地の石川テレビで制作した2本のドキュメンタリー番組「裸のムラ」と「日本国男村」から本作は生まれた。映画は、私たちが暮らす社会に偏在する 家父長制 パターナリズム の徴を笑いとともに抉り出していくのだが、被写体と厳しく向き合うなかで、しだいに高圧的になっていく取材者自身の姿も晒すことになり…。

コメント

敬称略・五十音順
  • 道場破りがやって来る…。真剣を地方政治に振り下ろし、ムスリムとバン・ライファ―の家族にも抜身をチラッと見せる。不調和な撮影対象もなんのその、ドドンと和太鼓を鳴らしてカットバック。これぞ、ドキュメンタリーの醍醐味。はりぼて富山を暴き出し、金沢を丸裸。ドキュメンタリーの旅人よ、次はどこで刀を抜く…。

    阿武野勝彦
    東海テレビプロデューサー

  • この日本で度し難い差別を受けながら、黙し、あるいは会社の束縛から逃走して生きている家族がいる。その淡々とした日常の向こうにいる知事(この作品では石川県)や保守系議員たちの、あの人品骨柄(表情)。そこに「戦後」が凝縮されている。対比が鮮やかだ。

    有田芳生
    ジャーナリスト

  • 政治家を囲む多数のカメラと、それを織り込んだ彼らの振る舞い。
    そんな光景を見慣れた先に、地域に暮らす人へと間近にマイクを向ける五百旗頭記者の姿が不意に映され、観客である自分の立ち位置が揺らぐ。
    ドキュメンタリーって何だろう、と。

    上西充子
    法政大学教授

  • ムラはずれの人々があぶりだすニッポン・ムラの奇ッ怪。
    あなたの足もとにもきっとある。

    上野千鶴子
    社会学者