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痩せないリングフィットRTA解説の裏側~RTA in Japan ex #1

ヒルトン福岡シーホークで行われたeスポーツイベント「GATE」に出張イベントとなったRTA in Japan ex #1で、リングフィットアドベンチャーの解説を務めさせていただきました。

その経緯と感想を残しておきたいと思います。

リングフィットアドベンチャーの当選

当選と同時に解説に名乗りを上げました。走者もカテゴリも好きだし、その魅力を最大限に伝えたかったから

当選した走者はCOUさん、現在リングフィットアドベンチャーのRTAを走られている中では最古参で、現役の中では唯一私よりもリングフィットRTA歴が長い方。自分としては追っかけてきた走者であり、昔からリングフィットRTAを知り、共に闘ってきた仲間だと思っています。
100%負荷30というリングフィットRTAで最もつらいカテゴリを不眠で走った唯一の仲間ですし、彼が最も多くのカテゴリを走っているのも良く知っていました。

そして当選したカテゴリは「Beat World5 any Intensity Level Not Intended」、つまりWorld5までの最速クリアを目指し、負荷は自由(つまり実質1になる)、そして何よりポイントなのが運動姿勢が自由ということ。つまりゲーム内の運動指示を無視し、反応さえすればどのようにJoy-Conを扱っても大丈夫ということ。リングフィットのバグありカテゴリみたいな感じ。バグが起こるのはゲーム内ではなく、ゲーム外ですが。
私自身もCOUさんのこのカテゴリを見て、非常に創意工夫に溢れ、奇想天外な操作を行っていく様にRTAとして魅力を感じていたので、これは大舞台で多くの人の目に触れるべきだと思っていました。

COUさんも私の解説を快諾してくださり、さっそく作戦会議を始めるのですが、同じリングフィットRTA走者であり、過去に私のリングフィットRTAの解説を務めてくださったひととせはるさんも本人に確認を全くとらず勝手に召喚。断るすきも与えず勝手に巻き込みましたがもちろん喜んで解説をやってくれることになり、解説2人体制ということが決まりました。

自分の中でRTAの解説は実況と解説がいると面白くなるというのは自身がRTA in Japanに出場した際に強く感じたので、解説できる人間が2人いるならしっかりと2人体制でやろうと思っていました。

また同時に台本制作も買って出ました
そもそも台本の必要の有無ですが、過去のRTA in Japanで評判の良かった解説はきれいに台本が用意されているものばかり。今回が初めての解説となる私としては絶対にセリフを一言一句丁寧に用意しようと思っていました。

そして台本制作を買って出た理由は主に2つ
まず1つ目は自分がリングフィットRTAの解説動画を制作していたこともあり、どのように台本を作ればいいか、どのようなポイントがウケるのかなど分かっていたから。
そして2つ目は走者であるCOUさんには絶対に負担をかけさせたくなかったから。
私が過去にRTA in Japanに走者として出た際は解説はほぼ丸投げ状態、だからこそ競技に集中でき良い結果が出せたと思っています。なので今回は私が解説の準備をしっかり負担しようと思いました。

ちなみに解説を買って出た理由はもう一つあるのですがそれは最後に紹介します。


台本制作について

自分として描いていたシナリオやポイントは下記のような感じ

・パーソナルトレーナーのえぬわたが、運動をしないCOUさんに突っ込みを入れていく
・それをひととせはるさんが解説することで漫才と化す
・COUさんの動きが非常に面白いのでそこの注目ポイントは分かりやすくする
・COUさんは実は運動もできるし、そもそもこのテクニックを研究開拓してきた人と伝える
・RTA走者も増やしたいが、一般プレイヤーはマネしないよう念を押す
・運動しながらなので基本的にはCOUさんはしゃべらない(しゃべれるけど当日のマイクの状況も分からず意思疎通できるかも分からないしCOUさんは台本を確認できないため)

これらの方針を元にえぬわた、ひととせはる両名がしゃべるセリフをほぼすべて書き出し丸一日くらいかけて3万字ほどの台本を制作しました。
自分自身リングフィットRTAを相当やりこんでいるし、解説動画も作っていることもあってすらすら書けたと思います。RTAの動画を見なくても書けたくらい。
また意外と走者は当たり前のようにやっていることも視聴者からすればウケるポイントというのはニコニコ動画に上げた解説動画の反応で把握していたのである程度流入したりしていました。

ただ書いていてとても心苦しかったのは自分の大好きな任天堂はこのRTAを良く思わないだろう…ということ。さらに私自身パーソナルトレーナーなのにこんな運動しないカテゴリの解説をしていいのかという葛藤もありました。

ただ逆に「運動サポート機能」という体が不自由な方でもリングフィットを遊べることを紹介できるのはここしかないと思い、それだけはしっかりいれました。
そしてもちろん運動したい人はこの真似をしないでくださいとも何度も言うようにしました。私なりの罪滅ぼしです。

実際に練習してみて

リハーサルは2回ほど行いました。
まずいなと思ったのは台本の量が多すぎて、書いた自分は覚えられているものの、ひととせはるさんは台本覚えられず、COUさんの様子とゲーム画面を見ないと行けないのにさらに台本を見るというのが非常に難しく、台本迷子状態になりがちだったということ。

台本はこまめにステージ名を書き、どこを解説しているか分かりやすくしていたがそれでも限界がありました。

何より今回は当選発表から4週間後に本番という準備期間の少なさ。私自身、3日間ぶっ通し配信という誕生日企画の準備のため台本制作も遅くなり、ひととせはるさんも他に解説を2つも抱えていたりでお互いあまり練習できなかったのもまずかったです。

とりあえず台本に関しては、台本の流れをすべて把握しているえぬわたがひととせはるさんに問いかける形でできるだけ答えやすいようにしました。
また台本が飛んだりしたらすべてえぬわたがフォローするような形をとることにしました。

COUさんには負担をかけたくないと思っていたものの、台本に丁寧にコメント頂いたり、実際に練習した際に細かく気になるところをフィードバックしてくれて色々修正して仕上げていきました。


本番

もともと会場スペースの都合、現地解説1人、オンライン解説1人という形をとる予定だったのですが急遽解説を2人配置できるスペースを用意してくださり、走者の後ろに2人の解説が座るという構図に。リングフィット三銃士の誕生の瞬間です。

正直このおかげで連携もとりやすくなったし、整えてくださった運営の皆様や席移動をしてくださった観客の皆様には本当に感謝しています。

そして開幕、なぜかひととせはるさんのテンションが異様に高く
自分が台本を作った際には
・ひととせはる:ゲームに関する解説
・えぬわた:運動解説、COUさんの動きに突っ込み

のつもりだったのですが、
実際には
・ひととせはる:実況、絶叫、ゲームに関する解説
・えぬわた:運動解説、COUさんの動きに突っ込み、ひととせはるさんが漏らした解説全部拾う

みたいになりました。
結果的にこれが良い結果を招くこととなり本当に良かったです。

自分の頭の中では「プロのたぐちアナのような実況は無理だから、無難にW解説でまとめるべき」みたいに思っていたのですが、
ひととせはるさんは「たぐちアナを出来るだけ真似しよう」みたいな想いがあったようでこのようになりました。
FPSで言えば前衛のひととせはるさんが暴れまくれるように、後衛のえぬわたが後ろからひたすらサポートしたみたいな感じです。最高の役割分担だったと思います。
2人ともひととせはるさんだったら盛り上がるけど解説が意味不明になっていたと思いますし、2人ともえぬわただったら無難なただの解説に終わっていたと思います。

また台本を作ったくせに私自身もアドリブ入れていましたが、お互いリングフィットのRTA走者ということもあって、かなり息があった解説が出来たと思っています。

実況のひととせはるさんがテンション高いからこそ会場のお客さんも一緒にノリノリでビクトリーポーズをしてくれて本当にオフラインイベントでこういったことができて良かったです。

結果として頭に入っていたというのもありますが私も台本見ていたのは4割程度、ひととせはるさんは1割程度だったと思います。「ハンドスクワットセカンド」とか「ドラミングスクワット」とかは私も当日初めて聞きました。ひととせはるさんはゾーンに入っていたようです。

正直1人で解説した方が楽な部分は多いです。
2人で解説するのはとても大変。でもその分クオリティは上がったと思っていますし、2人でやって良かったと思っています。

反響

非常に良かったのではないかなと思っています。トレンド8位くらいに上がっているのは確認しましたし、同時接続者数も3.6万は超えていたようで、大トリとほぼ変わらないくらい。メディアにも多く取り上げられて大成功だったと思っています。コメントでもたくさんのパワーワードを拾ってくれて十分盛り上がっていましたし、Twitter上での反応も上々だと思っています。COUさんはTwitterもTwitchもフォロワーが倍くらいになったのも個人的には非常に嬉しかったです。


最後に

自分は終わった瞬間の様子がとても好きです。
3人ともすぐに後ろの観客にお辞儀をし、運営にも挨拶をし、そして3人で称えあう。
コメントで「この3人仲がよさそうでいいね」みたいに書かれていた方がいてちょっと嬉しかったりもしました。

特にCOUさんは昔から知っていたけど中々交流がなく、解説の打ち合わせや練習ついでに「昔はああだったね」とか絡む前のお互いの印象の話とかしたりして今回の件でグッと心の距離が縮まったと思っています。
実は私はこの解説のあと14時間リングフィットRTAをするのですが、それにいやな顔一つせず付き合ってくれて本当にいい人だなと思っています。
ちなみにひととせはるさんは前回解説やってもらっていますし、そもそも最初から距離感ゼロの男なので相も変わらずです。同い年ですしね。

振り返り配信
https://www.twitch.tv/videos/1406429696


最後に2

最後に解説を買って出たもう一つの理由について
それは解説業というものに憧れがあったから。正直いうと、私は推しのRTA走者よりも推しの解説者の方が多かったりします。
解説があることでこんなにRTAが面白く見えるのか、解説の人たちはこれだけ本気で準備しているのかというのが自分にとって非常に刺激的でした。

最後に少しだけ自分が刺激や影響を受けた走者・解説を紹介させてください。(もちろんここで紹介しきれない好きな走者や解説もたくさんいます)そして私自身RTAイベントにはまり始めたのは去年の夏からですので最近のしかありませんがご了承を。

ぼぶそんさんSuper Cable Boy / RTA in Japan Summer 2021
私が「解説」というものに興味をもった瞬間だったと思います。
Super Cable Boyのレースを分かりやすく、走者の気持ちを伝えつつ解説していく様が凄まじいなと思い、特にその準備を綴ったnoteを見て憧れの人になりました。そもそも実況解説の本を読むところから始めるなんて目からうろこでした。自分もこんな解説したいと解説業に興味を持ったのもこれを見たからですし、中途半端な気持ちで解説をするもんではないと気が引き締まったものでした。
https://note.com/bobson55/n/n4a525ebddeb2


asutoroさん桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番! / RTA in Japan Summer 2021
マシンガントークで一人で走者実況解説茶番などなど全てやり切った方。私自身は「走者」を務めるのに精一杯だったのにこれを全てやり切るのは本当にすごいなと
これだけセリフを一言一句丁寧に書いているのをnoteで知り、今回私がセリフを一言一句丁寧に書こうと思ったきっかけになりました。https://note.com/yudaiatasutoro/n/nad4d009d8e78


レツさんのきあさんWHAT THE GOLF / RTA in Japan Winter 2021
冬のRiJ2021でゴルフミームを生み出した漫才。解説はのきあさんですが、漫才風にしようと決めて台本を作成したのはレツさん、その用意周到さがnoteから感じられました。それに付き合って磨き上げたのきあさんもすごいなと。
今回突っ込みをいれてく解説にしたのもこの方々に影響を大きく受けています。
https://note.com/retsu_teno/n/n1174a3452499


アジーンさんまじかるキッズどろぴー / AGDQ2022、RTA in Japan Winter 2021バックアップ)
印象的だったのはバックアップ採用だったRTA in Japan Winter 2021の方、走者Stoneさんはガッツリ練習するし、アジーンさんもそれにしっかり付き合う、結局出番はなかったのだけれども、Stoneさんは常に出るつもりくらいで練習していたし、アジーンさんもそれに合わせるといった関係がとても良かったなと。走者に合わせていくというのも見習おうと思いました。
もちろんAGDQ2022では披露し、非常に熱いものとなったのでぜひ見てほしいです。
https://www.twitch.tv/videos/1264942124


墨酢さんメトロイドドレッド / RTA in Japan ex #1
RTA in JapanのR4の「黙ります」で知りました。良いBGMがゲーム内で流れるからその間は解説をしないということをやった方。物事の本質が見えている方だなと。
ということもあって好きになり配信もお邪魔していたのですが、今回バネさんのメトロイドドレッドの解説を未プレイながら解説に合わせてやり込み成長していく過程を見させていただきました。
自身の好きな走者の魅力を伝えるためにできる最大限の努力をするその姿勢は同じイベントに出る身としてとても刺激になりました。
https://www.twitch.tv/videos/1305308019


改めて自分もまだまだ解説を極めたいと思いました。
自分自身やったことのあるRTAはリングフィットだけですので解説出来るタイトルの幅を増やすにはそもそもRTA走ってみるタイトルを増やさないといけなかったりと課題を感じていますが自分の出来る範囲で少しずつやっていきたいと思います。

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リングフィットRTA走者のえぬわたです。100%カテゴリやany%カテゴリの負荷30の世界記録保持者。RTA in Japan Summer 2021で大トリを務めました
痩せないリングフィットRTA解説の裏側~RTA in Japan ex #1|えぬわた